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プレスリリース 第3回国連防災世界会議、閣僚級ラウンドテーブルが終了(2015年3月17日、仙台)

2015年03月17日

本メディア用参考資料は国連広報局が3月17日に発行した英文の抄訳です。

閣僚級ラウンドテーブル (午後)

 仙台での閣僚級ラウンドテーブルの終了にあたり、防災のための早期警報システムは「公共材」として公共投資を財源に実施されるべきと参加者が同意

仙台で行われている国連防災世界会議で本日開催された第5回(最終)閣僚ラウンドテーブルでは、公共投資は、強靭性を増し、生命を守り、破壊された家屋、施設ならびにインフラの修復を加速させるため、防災に対して相当の戦略的、戦術的、そして運営上のメリットがあると認められた。

「防災のための公共投資戦略」と題された当セッションを開始するにあたり、議長を務めるルーマニア内務省のラエド・アラファト大臣は、防災に関する政府の取り組みは、特に、各国の組織構造、権力ならびに意思決定の権限の配分、処理能力と資源、ならびにセクター間を超えたステークホルダーの協力体制において、過去 10 年間で大きく進展してきていると述べた。

それにもかかわらず、防災対策は国家レベルにおいてまだ不十分な面があり、リスクの多方面的性質のために、防災対策はもはや全体的なガバナンスの枠組みから切り離しては見るべきではないと述べ、「適切なガバナンス・メカニズムを構築することが必要である」と付け加えた。

世界気象機関(WMO)のミシェル・ジャロー事務局長は、過去50年間に発生したすべての自然災害の約 90 % は、天候、川や海、あるいは極度の気候現象に直接起因するか、もしくはそれによって深刻化したものであったと述べ、良い知らせとしては、これらの現象はすべて早期警報をおこなうことができ、それにより生命を救い、費用を最小限にすることが可能であると語った。

早期警報システムは、国家の包括的防災対策における必要不可欠なかつコスト効率が高い設備であると同氏は述べ、早期警報システムがどの国においても例外なく「公共資材」であることから、公共投資を財源として実施されなければならない、と付け加えた。更に、それらの投資は、強靭性を構築し、命の損失の最小限化し、復興の速度を加速化するため、社会にとって「非常に高い」利益をもたらすと強調した。

同様に、マリオン・ウィリアムス在ジュネーブ国連バルバドス政府代表大使は、バルバドスでは、災害そのものおよび国民とその他の国家資産の脆弱性という2 つの要素に絞って防災戦略を立てていると述べ、政府は方向性を定め、防災対策のために適切な環境ならびに必要な資源の両方を提供しているとし、その中には「ハード」としてのインフラと「ソフト」としての取り組みが含まれると語った。

バルバドスも防災対策に係る経費を投資として見ており、災害の危険性について国民に知らせ、警告することは、きわめて重要なことであると同氏は述べた。同国は、世界初の複数国の共同出資により加盟国に手頃なコストで効果的に災害が発生した際に保障を提供するカリブ海諸国災害リスク保険機構にも参加していることを同氏は紹介し、最終分析として、各国政府には本来防災に向けて多大な公共投資を行う義務があると述べた。

トリニダード・トバゴのカール・アルフォンソ国家安全保障大臣は、同国の島々が「ハリケーン・ベルト」にあり、そのため、同国が低平地、水はけの悪い地域、ならびに海岸近くの高人口密集地域の洪水を引き起こす地震や雷雨などの様々な自然災害の危険性に晒されてと述べた。さらには、島々の海岸や沖合の産業インフラならびに繊細な環境保護の地域は、津波、洪水、およびその他の気候変動による海面上昇効果を含む海や海岸の脅威に、曝されていると同氏は付け加えた。

アルフォンソ大臣は、公共投資プログラムは、政府が防災計画を実体的なプロジェクトに落とし込むための予算上の戦略的計画ツールであり、海岸の浸食防止プログラム、水はけ対策プロジェクト、洪水制御プロジェクト、エネルギーの再生・効率化に係る試験計画を含むと説明した。災害が発生した際、国民に救済支援を提供できるための準備をしておくことは非常に重要なことだと同氏は述べ、また、地域間協力も重要で、機動性のある緊急防災対策センター、コミュニティ対策チーム、ならびにコミュニケーション・システムを実行に移すことへの期待を語った。

タジキスタン非常事態・市民防衛委員会のキャリディン・アブドラキモフ会長は、同国が山の多い国であるため、防災対策に多額の投資が必要であると述べ、同国政府は、脆弱性を引き下げずに持続可能な発展を行うのは不可能であると認識し、災害リスク削減を最優先課題としていると説明した。例えば、2010 年には、同国の政府は災害リスク管理に関する戦略を採用し、その中で将来のタジキスタン国民がより安全で発展した生活をしなければならないという認識を明らかにしていると同氏は述べ、単一の防災に向けた資金源を特定することが必要であり、そのためには地域ならびに全世界レベルでの連携が必要であると訴えた。

ガーナの国家災害管理機構のコランテン・アブロクァ理事長は、同国は沿岸国であるため、洪水や暴風雨で、国民が家を失い、また時には命を失うといった災害に悩まされていると述べた。同国ではまた、疫病に苦しめられており、南部地域では地震が起こりがちであるため、政府は、防災のためのタイムリーな資金提供を確実にし、早期警報システムの設置と利用の啓蒙ならびに防災に向けたベスト・プラクティスの構築を行うための災害基金を設立することを目指していると同氏は述べ、また、緊急防災対策制度や医療センターを建てるにあたり、草の根からの協力を得るために地方政府や地方議会と協同していると説明した。

当ラウンドテーブルにはバーレーン、バングラディシュ、ブルキナファソ、カーボヴェルデ、エジプト、エルサルバドル、フィジー、イラン、キルギス、マダガスカル、ミャンマー、ニジェール、パナマ、フィリピン、南アフリカ、チュニジア、ウズベキスタン、およびベトナムの代表者が参加していた。

他に、カリブ諸国連合の運輸・防災担当ディレクター、東アフリカ共同体副事務局長、ボゴタのリスク管理・気候変動研究所ディレクター、経団連防災に関する委員会の共同委員長、ナブルス地方自治評議会代表、国連欧州経済委員会委員長ならびに、ユース・ビヨンド・ディザスターズの代表が参加していた。

 

事務総長、南蒲生浄化センター視察  UN Photo/Eskinder Debebe