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平和記念式典におけるブーク・イェレミッチ第67回国連総会議長あいさつ(広島、2013年8月6日)

プレスリリース 13-048-J 2013年08月06日

御列席の皆さま、私たちは本日、人間の手によりもたらされた未曽有の大惨事の犠牲となられた方々を追悼し、被爆者の方々に連帯の気持ちをお伝えするため、ここに集いました。

原爆ドームの前に立つ誰もが、これまで使用された中で最も破壊的な殺戮兵器による攻撃に見舞われた広島、長崎の数十万のありとあらゆる人々の苦しみの大きさに圧倒されます。原爆は、空を切り裂く強烈な閃光を放ち、その後、キノコ雲が空高く広がり、埃や煤を伴った雲が街を覆いました。そして、火災が起こり、急速に広がった火の手は熱風の塊を生み、火の粉が街中に降り注ぎました。人間はそのような力の前ではなす術がありませんでした。被爆者たちの人生そのものが、知識や経験が、愛する人々が、そのすべてが失われたのです。

しかし、被爆者たちは、最悪の恐怖に見舞われた広島、長崎においても、最終的には生が勝つのだという信念を持ち続け、決して諦めることはありませんでした。

皆さま、被爆者の方々の不屈の精神と威厳があったからこそ、人類は核兵器のない世界の実現に向け努力し続けてきました。

国連はその創設時から、核兵器廃絶への取り組みを先導してきました。国連総会で初めて採択された決議は、核兵器ならびに「大量破壊兵器となり得るその他のありとあらゆる主要な兵器」の廃絶を求めるものでした。その後も、核問題は議案の優先事項であり続け、核実験禁止条約をはじめとするいくつかの重要な成果をもたらし、ここ数十年においては、核兵器の削減・不拡散の分野でも、進展を遂げてきました。それにもかかわらず、私たちは未だ人類滅亡という脅威に怯えながら暮らしています。私たちは引き続き、この平和への深刻な脅威に世界の注目を向けなければなりません。

私は、核軍縮に関する初の国連総会ハイレベル会合の準備責任者を務めていることを、光栄に思います。この会議は、国連決議67/39に則り、今年9月に開催される予定です。68年前の広島、長崎の悲劇が二度と繰り返されることのないよう、この会議が核兵器廃絶という目標の実現において大きな一歩となるよう願っています。

皆さま、ニューヨークの国連本部の事務所のそばにはバラ園があり、その入口には日本が寄贈した平和の鐘が置かれています。この鐘は、ここからほど近い場所で鋳造されたもので、世界60カ国の硬貨が使われており、その中には私の母国の硬貨も含まれています。平和の鐘は、伝統的な社(やしろ)形の鐘楼に吊るされています。表面には、厳かに一言「世界絶対平和萬歳」と刻まれています。この人類の強い願いを呼び起こす象徴として、毎年9月にこの鐘を突いています。

平和とは、単に敵意のない状態を意味するものではありません。平和とは、二度と戦争を引き起こす状況にならないようにすることです。平和とは、長年の恨みを克服する勇気、復讐心を捨てる意志、和解を達成する決意を持つことです。被爆者の皆さまはこれまで長きにわたりこの大義を持ち続け、気高く歩んでこられました。努力することで、最愛の人たちの死に崇高な意味を持たせたのです。

また、この神聖なる場所を訪れた私たち一人ひとりは、この大きな課題の解決には今後何年もの時間を要するであろうと認識しつつも、新たな目的意識を持ち、この大義を持つ必要があります。私たちは、次世代の皆さまがこの大義が象徴するものすべてを受け入れ、一日も早くこの地球上に完全な平和が保たれる日へと導いてくれるよう願っています。

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