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人権デー(12月10日)、潘基文事務総長メッセージ

プレスリリース 09-070-J 2009年12月07日

差別のない国などありません。それは、古いものであれ新しいものであれ、隠密なものであれ露骨なものであれ、公的なものであれ私的なものであれ、あらゆる形で見られます。具体的には、制度化された人種主義や民族闘争、不寛容と排斥の盛り上がり、さらには他者のアイデンティティを否定する正式な国家史観として現れることがあります。

差別の標的となるのは、障害を持つ人々、女性と女児、貧しい人々、移住者、少数者、その他異質とみなされるあらゆる人々など、攻撃にさらされやすい個人や集団です。

このように弱い立場にある人々はしばしば、コミュニティの経済的、政治的、文化的、社会的な活動から排除されます。こうした人々に汚名を着せ、排除しようとする偏狭な考え方は、過激派に付け入る隙を与えます。一部の国々では、新たに排外主義を掲げる政治勢力の台頭も見られます。

しかし、これら差別の犠牲者は孤立しているわけではありません。国連はその味方となり、すべての人々、特にもっとも弱い立場にある人々の人権擁護に全力で取り組んでいます。それが私たちのアイデンティティであり、使命でもあるのです。

国際人権コミュニティは、偏見や憎悪との闘いを続けています。世論の認識の高まりは、差別と不平等な取り扱いからの法的な保護を定める世界的な条約の採択へとつながりました。

しかし、抽象的な約束だけで十分とはいえません。私たちは引き続き、不平等や不寛容がどこで生まれようとも、これと闘ってゆかねばならないのです。

人権デーにあたり、私はあらゆる場所、あらゆるレベルの人々に対し、全世界で国連や人権擁護者と手を携え、差別との闘いを繰り広げていただくようお願いしたいと思います。