• プリント

パレスチナ人民連帯国際デー(11月29日)に寄せる潘基文(パン・ギムン)国連事務総長メッセージ

プレスリリース pr09-075-J 2009年12月25日

62年前、国連総会は決議181により、イスラエルとパレスチナの2国家共存というビジョンを打ち出しました。現在、イスラエルという国は存在しますが、パレスチナという国は存在しません。パレスチナの人々は今も、民族自決という不可侵の権利を求めて闘い続けています。

国際社会は、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)をはじめとする国連機関の活動などを通じ、引き続きパレスチナの人々を支援、保護しています。このような人道的取り組みは極めて重要ですが、それだけでは不十分です。紛争の根源に取り組む政治的解決策を何よりも重視しなければならないからです。

パレスチナ主権国家の樹立は不可欠です。そのためには、1967年の停戦ラインに基づき、土地と引き換えの和平協定と、難民問題の公正な合意による解決が必要です。それこそ安全保障理事会の決議で謳われた、確実な承認された国境線の中で、イスラエルと平和共存するパレスチナ国家の姿だからです。

私は、2国家共存という解決策の実現に向けたネタニヤフ首相とアッバース大統領の決意を歓迎する一方で、イスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)との話し合いが1年近く中断したままになっていることを深く憂慮しています。米国は、イスラエル人とパレスチナ人双方の安全、国境、難民、エルサレムをはじめ、あらゆる最終的地位の問題に関する有意義な交渉の再開に向けた努力を重ねていますが、私はこの取り組みを支持します。

この共通の目標達成に向けた最大の課題は、当事者が実質的かつ具体的な交渉再開に向けた信頼と信認を取り戻せる条件を整備することです。

パレスチナ側では、自治政府がヨルダン川西岸地区で、ロードマップによる義務の履行に向け大きな前進を遂げています。私はすべてのパレスチナ人に対し、暴力的な過激主義と闘い、扇動を控え、国家機関の構築を目指してたゆまぬ努力を続けるよう呼びかけます。こうした努力の結果、経済と治安の状況は改善していますが、これをさらに持続、拡大すべきです。私は、こうしたプラスの動きに貢献するためにイスラエルが講じた当初の措置を歓迎するとともに、イスラエル当局に対し、実質的な変革をもたらすべく、このような措置をさらに拡大するよう呼びかけます。

私は東エルサレムその他のヨルダン川西岸地域で、違法な入植地の建設が続いていることを深く憂慮しています。ネタニヤフ首相が最近、入植活動の抑制を発表したことには留意します。これは以前の立場に比べれば前進といえますが、特に東エルサレムが除外されていることを考えれば、ロードマップによるイスラエルの義務が果たされたことにはなりません。私は「自然成長」を含むすべての入植活動を凍結し、2001年3月以降に作られた入植地を撤廃するというロードマップの公約を守るよう、イスラエルに繰り返し呼びかけます。

また、パレスチナの人々は依然として、分離壁によって重要な社会事業、農地、そして東エルサレムへのアクセスを妨げられています。国際司法裁判所は、この壁が1967年の停戦ラインからパレスチナ被占領地に深く切り込んで設けられていることを国際法違反と判断しました。

私はエルサレムの情勢も憂慮しています。パレスチナ人の追放や住宅の取り壊し、占領中の東エルサレムにおけるパレスチナ自治機関の継続的閉鎖はいずれも、ロードマップによるイスラエルの義務に反するものです。東エルサレムでのこのような行為は、緊張を高め、苦難をもたらし、信頼をさらに損なうものであるため、私はイスラエルに対し、こうした行為を中止するとともに、パレスチナ自治政府機関を再開するよう呼びかけます。

私は、エルサレムの最終的地位が当事者間の交渉に委ねるべき問題であるという信念を改めて表明したいと思います。4者協議でもすでに述べられたとおり、一方的な行為は交渉結果を左右できないばかりか、国際社会の承認も得られません。エルサレムは2国家の首都とし、聖地については全員が受諾できる取り決めを行うべきです。

ガザの危機については、持続可能な形での解決が引き続き急務となっています。厳しい冬を控え、現地の人道状況には深く憂慮せざるを得ません。安全保障理事会決議1860に沿ってガザの封鎖を解除し、人道援助、商品、そして人々が自由に往来できるようにすべきです。また、同決議にしたがい、ガザへの武器密輸を防止するための措置や、パレスチナ人によるイスラエルの民間人に対するロケット弾攻撃の中止を含め、イスラエルの正当な安全保障上の懸念にも取り組まなければなりません。

ガザとイスラエル南部での武力衝突から10カ月を経た今も、国際人道・人権法違反が疑われる多くの事件について、責任問題の解明は十分に進んでいません。私はイスラエルとパレスチナ関係当局の双方に対し、ガザ紛争に関連する深刻な人権侵害の疑いについて、直ちに信頼できる内部調査を実施するよう呼びかけます。

ガザ、ヨルダン川西岸両地区の再統一も欠かせません。パレスチナ領土の統一がない限り、2国家共存の解決策は実現し得ないからです。私はこの点で、エジプトによる取り組みを支持いたします。

政治への信頼を取り戻すことは、これまで以上に必要です。暴力や既成事実によって和平に向けた歩みを止めようとする者に、政治的な主導権を握らせてはなりません。

国連としては、安全保障理事会決議242、338、1397、1515および1850、これまでの諸合意、マドリード枠組み、ロードマップ、さらにはアラブ和平構想に基づく交渉を通じ、中東での公正かつ恒久的な和平の実現に向けた取り組みを続けてゆきます。そして私も、あらゆる関係者と引き続き連携し、占領の終結と、平和と安全の中でのイスラエル、パレスチナ2国家共存という目標の実現を図ってゆく所存です。