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報道解禁 2007年7月2日 現地時間午前12時1分
アジアにおける貧困の大幅削減のかげに不平等の拡大
国連報告書、経済格差の広がりを指摘

プレスリリース 07/042-J 2007年06月26日

報道解禁
2007年7月2日
現地時間午前12時1分

7月2日、国連、ジュネーブ

 本日発表された国連報告書によれば、アジアにおいては、その急速な経済成長によって、極貧と飢えの根絶に向けた進展が目覚しく、一ドル以下で暮らす人の割合も半減しました。

 この国連報告書は、ミレニアム開発目標(MDGs)の実施のための15年間の中間年での発表となります。MDGsとは、世界各国の首脳が2015年までにその達成を約束した8つの開発目標のことです。

 最も大きな進展があったのは東アジアであり、極貧に暮らす人々の割合が1990年の33%から2004年には9.9%に減少しました。東南アジアにおいては、1990年にすでに20.8%でしたが、2004年にさらに6.8%まで減少しました。

 報告書によれば、この数値は、アジア地域がMDGsの第1目標、つまり、2015年までの極貧と飢えの半減の達成という目標に向けて着実に歩みを進めていることを示しています。

 しかし、アジアにおけるこの前例をみない貧困削減の進展に伴う現象として、経済成長の利益が大陸のすべての場所で共有されていないという問題がある、と報告書は指摘しています。南アジアにおいて、人口の3割は依然として、一日1ドル以下で暮らしています。

 貧困削減の画期的な進展の影には、国家のなかの急速な格差拡大という問題があります。東アジアは所得不平等が最も劇的に拡大し、同小地域の最も貧しい層の所得(あるいは消費)の割合は1990年の7.3%から、2004年には4.5%へと減少しました。

  同時に、報告書に使われた統計によれば、アジアのMDGs達成への道には、他の分野における課題、例えば、健康、環境持続性、ジェンダー平等などの阻害要因が立ちはだかる可能性があります。これらの課題には、森林伐採、無計画な都市化、一部諸国におけるHIV/エイズの急速な感染拡大なども含まれます。

 子どもの栄養改善における進展は依然として、受け入れがたいほどに緩慢です。現在の傾向が続くとすれば、主に、南アジア、東南アジアにおける緩慢な進展が原因となって、体重不足の子どもの割合の半減というMDGの目標を到達することができない、と報告書は述べます。2005年、南アジアでは5歳未満の子どもの46%、東南アジアでは28%がいまだに栄養不良の状態にあります。こうして、これらの小地域は依然、世界中で、栄養不良に苦しむの子どもの割合が最も高い小地域の一つに数えられています。

 アジアはまた、ジェンダー平等とエンパワーメントの促進というMDGの目標においては、その進展がはかばかしくない、と報告書は指摘します。数多くの女性がいまだに、雇用を得られず、衛生/健康面のケアを十分に受けられずにいます。

 南アジアにおいて、有給の非農業雇用に従事する女性の割合は1990年の13%から2005年には18%へと上昇しました。しかし、それでもなお、世界中で、非農業労働の分野で、賃金労働に従事する女性の割合としては最低レベルに留まっています。

 健康面については、南アジアとサハラ以南アフリカにおいて、妊婦の死亡率が最も高い、と報告書は指摘します。また出産時に妊婦に付き添う熟練職員の割合も最低です。報告書によれば、南アジアにおいては、出産時に付き添いの職員からヘルスケアの提供を受けられるのは、すべての女性のうち、3分の1をわずかに上回る程度です。

 報告書によれば、政治および政府においては、女性の進展はそれほどめざましいものではありません。南アジアにおいては、議会における女性議員の割合は1990年の6%から、2007年の13%へと上昇しました。東南アジアにおいては、同じく、1990年から2007年の間に、10%拡大し、17%へと増加しました。東アジアにおいては実際、女性の議員の割合は1%減少し、19%となっています。

 「ミレニアム開発目標報告2007」はミレニアム開発目標の達成に向けたグローバル及び地域の進捗状況を示す統計報告であり、毎年発行されます。国連総会の要請に従って作成されます。報告書はMDGsに関して、国連内外の多数の国際機関が集めた最新のデータを使用した、最も包括的な評価報告であり、国連事務局の経済社会局が監修しています。

DPI/2464C —July 2007