UNICインターン、「国際ガールズ・デー」記念イベント(10月5日、土曜日)特別レポート
2013年10月11日
10日11日は、国連が定めた「国際ガールズ・デー(International Day of the Girl Child)」です。この日を迎えるに先立ち、10月5日に国連広報センター(UNIC)と国際NGOプラン・ジャパンの共催で「国際ガール・デー記念イベント~世界を変えるもう一人のマララたち」が国連大学、ウ・タント国際会議場にて開催されました。
世界の国々の女子(18才未満)の多くが経済的、文化的な理由により学校に通えず、10代前半での結婚を余儀なくされ、貧困の中で暮らしています。この状況の改善を目指し、2011年12月、国連総会は10月11日を「国際ガールズ・デー(International Day of the Girl Child)」と定めました。世界の貧困層の7割は女性だといわれ、世界の労働の3分の2を担っていながら、その収入は全体の1割、土地などの財産所有にいたってはわずか1%というのが現状です。教育や雇用の面でも差別を受け、先進国を含めても、世界の国会議員に女性の占める割合は2割に届きません。極度の貧困の半減や男女の教育の平等を掲げた国連ミレニアム開発目標(MDGs)を2015年までに達成するためには、女子のエンパワーメントが不可欠との認識から生まれたのが、この新しい国際デーなのです。
今年で2回目を迎える「国際ガールズ・デー」記念イベント。メイン・フォーラムに先駆けて行われたワークショップでは、タリバンに銃撃されたマララ・ユスフザイさんのドキュメンタリーと今年7月12日の国連で行われた彼女のスピーチ映像を高校生・大学生を中心とした参加者およそ40名とともに鑑賞し、自分たちの身の回りにあるジェンダーの壁について話し合いました。
司会に抜擢された渋谷教育学園幕張高校2年の池端佳音さんはマララさんと同い年の16歳。彼女のMCにより、メイン・フォーラムは始まりました。国連広報センターの根本かおる所長が開会の挨拶、および潘基文国連事務総長のメッセージを読み上げました。
基調講演では、パキスタンから来日した女子大学生イルム・ヌ-ルさんが、貧しい中でも懸命に学ぶ彼女自身の経験を通して、女子教育の大切さ、それを妨げる女の子に対する差別、早婚などについて語りました。「私がこの社会に生まれたことは私の責任ではありません。しかし、この社会を変えられなければ、それは私の責任になります。」大学卒業後は家族を支えながら、貧しい女の子でも通える学校をつくりたい、と希望に満ちた将来の夢を語る彼女の姿はとても印象的でした。
基調講演に続いて、国連広報センターの根本かおる所長がモデレーターを務めたパネル・ディスカッションでは、イルム・ヌ-ルさんに加え、大崎麻子さん(プラン・ジャパン理事)と加藤俊一先生(中央大学副学長)を迎え、「女子教育のためのイノベーション」をテーマに、女子の社会進出やリーダーシップ育成の促進について議論しました。
大崎さんは、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成や、震災などの災害復興において、また政治的、経済的、科学的分野の意思決定に女性が参画する重要性を強調。女の子が「自分の人生を自分で決める」力を身に付け、リーダーシップを発揮出来る環境づくりの必要性を語りました。
「日本の大学で理工系学部を選択した女子学生は、自身が活躍できるキャリアや進路を自ら限定してしまっています」と、加藤中大副学長は現状を説明。教育の場において、女子の進出が少ない科学技術部門で働く女性のロール・モデルを紹介することで、女子学生のキャリア構築に対する意識を変えていくことの大切さを語りました。
「メディアの役割はとても重要です」とイルム・ヌールさん。「今、パキスタンではテレビのドラマなどで、今までとは違った女性のイメージを描こうとしています。これは女性や、そして男性の、女性に対する考え方に大きな影響を与えています」
今回のパネル・ディスカッションでは、女の子へのエンパワーメントと同時に、両親を含む周囲の人々の意識の変化が実は求められていると議論。これまでの女性像に縛られることなく、女の子にはあらゆる可能性があると、その認識を共有しました。
イベント終了後、UNICインターンの女子4名がイルム・ヌ-ルさんにインタビューをしました。インタビュー冒頭、緊張している様子のイルムでしたが、話が進むにつれ、家族の話やアルバイトをしながら勉強を続ける想い、そして大変な苦労をしながらも、彼女を支えてくれたお母さんへの感謝の気持ちを語ってくれました。
初めて訪れた日本の印象を聞くと、「女性が自由であることに驚きました。家族の同伴なしに街に出たり、学校へ行ったり、仕事をしたり、私の国では考えられません。常に男性の目を心配しないといけないのです。」と語りました。
今後のパキスタンでの女子教育の普及については、「女の子自身が教育を受ける権利があると知る事がとても大切です。」とイルム・ヌ-ルさんは指摘しました。自分の人生の可能性を教育で大きく広げた彼女からは、マララさん同様、「教育が世界を変える」という強い意思が伝わってきました。
今年の国際ガールズ・デーは、私たちUNICインターンにとって世界の女子教育の現状に対する理解を深めるともに、女の子のエンパワーメントという課題が開発途上国に限らず、日本においても広めていく必要を認識した一日でした。