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RBM特別代表のアストリッド・ベルギー王女、世界マラリア・デーを前に東京を訪問

プレスリリース 13-015-J 2013年04月22日

グローバルRBMパートナーシップ、マラリアとの闘いに対するアジアの投資増額求める

(2013年4月22日、東京)ベルギーのアストリッド王女がロールバック・マラリア・パートナーシップ(RBM)の特別代表として来日しました。東京において、マラリア撲滅活動におけるアジア太平洋、アフリカの両地域諸国の地域間調整の強化、そして日本をはじめとするアジアの国々に対し、マラリア対策への投資増額を求めるグローバル・パートナーシップに参加します。アストリッド王女は世界マラリア・デー(毎年4月25日)の啓発活動の一環として、4月22-23日に世界の主要各国政府および民間セクターの関係者と会い、マラリア対策や国際的な開発課題について話し合う予定です。6月1‐3日に横浜で開催されるアフリカ開発会議(TICAD V)では日本とアフリカ諸国の首脳が喫緊のアフリカ開発課題を話し合う予定で、アストリッド王女はこの会議に先駆けて日本を訪問しています。

「マラリアはもはや、単なる健康問題ではありません。最も高いレベルで、政治的な関心およびコミットメントを要する国際的な課題です。財政的な問題と市場で最も効果的な抗マラリア薬に対する耐性が出現するなか、アジアとアフリカの両地域における政府的リーダーシップ、地域間の調整や協力、マラリア対策への投資継続はかってないほど重要になっています」とRBM特別代表のアストリッド・ベルギー王女は語っています。

近年の著しい進歩にも関わらず、マラリアは依然として、世界で年間約2億1,900万人が感染し、約65万5,000人が死亡する疾病です。全症例の9割はアフリカで発生し、1分間に1人のペースで幼い子どもの命が失われています。この疾病によるアフリカ大陸の被害コストは、生産性の喪失によるものだけでも、毎年少なくとも120億米ドルと言われています。その一方、最近のデータによると、アフリカのマラリア対策に1米ドルを投じると40米ドルのGDPが回復することが明らかになっています。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、マラリア対策は健康・開発指標から見た場合、費用対効果が最も高く、ローコスト・ハイリターンの開発投資であると述べています。

「パートナー間の調整強化と、世界エイズ・結核・マラリア対策基金への主要拠出国である日本などのパートナーによる拠出金増額により、2000年以来、マラリア対策において著しい進展がみられました。しかし最近は世界的な経済的な低迷状態によって資金不足に陥り、これまでの進展の継続が危うくなっています」とRBM事務局長のファトゥマタ・ナフォ・トラオレ博士は語ります。「最も深刻な被害を受けているアフリカだけでも、2015年までに、約36億米ドルの資金不足が予測されており、私たちが一致団結して実効的な投資を行わない限り、百万人単位の生命が失われることでしょう」

アジア太平洋地域はアフリカの次にマラリア被害が多い地域です。20カ国がマラリア流行地域であり、毎年3,000万件発症し、42,000人の死者が出ています。インド、インドネシア、パキスタン、ミャンマー、パプア・ニューギニアの5カ国が最も被害が大きく、地域のマラリア症例の89%を占めています。また最近、大メコン圏の複数地域において、実効性が最も高い抗マラリア薬であるアルテミシニンをベースにした併用療法への薬剤耐性が出現し、これまでの世界的な成果を脅かしています。

「日本は貧困撲滅、世界的な保健衛生の課題の克服、主要な開発指標の達成を支援するミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けて、確固として揺らぐことのないパートナーです。今週、私たちが世界マラリア・デーを迎えるにあたり、日本をはじめとするアジアの国々に対し、マラリア対策への投資を増額し、私たちの目標実現、人命救助を引き続き支援をしていただくようお願いします」 ナフォ・トラオレ博士はこう述べます。「日本はG8、太平洋経済協力会議(APEC)、ASEANプラス3の主要メンバー、かつ政治的リーダーであり、この疾病が引き続き、地域の最優先課題とされ、課題の克服に必要な調整と政治的意思をもって対応が図られるようにする上でふさわしい立場におられます」

RBMパートナーシップの下、マラリアとの闘いは、世界の公衆衛生で最も効果的なイニシアチブの一つを形成し、活動の調整、最もニーズが高い地域への資源配分において、大きな成功をおさめてきました。2000年から2010年にかけて、この協力関係の強化によって、マラリアによる死亡率は減少し、アフリカでは33%、世界全体では25%の減少をもたらしました。RBMによる調整活動によって、少なくともアフリカの10カ国ではマラリア発症率の減少がみられ、子どもの死亡率は過去10年間で最大で80%まで急減しました。

「マラリア予防対策への投資は、コミュニティ単位で行われます。私たちの活動は命を救うだけではなく、将来のリーダーとなる子どもたちの潜在性を生かすことをも可能にします」とRBM特別代表を務めるアストリッド王女は述べています。「マラリア対策への投資とは、すべての人のための経済開発の進展をもたらすものなのです」

東京の訪問後、アストリッド・ベルギー王女は、カンボジア政府厚生省と世界保健機関(WHO)の招聘を受け、4月24日から26日の日程で同国を訪れます。同国滞在中、アストリッド王女はRBM特別代表として、世界マラリア・デーの祝賀式典や「大メコン圏地域におけるアルテミシニン薬剤耐性への緊急対策」に関するWHO枠組みの立ち上げへの出席のほか、マラリアおよび開発課題に関する政府関係者との会合が予定されています。

報道関係お問い合わせ先
– Herve Verhoosel
RBM External Relations
E-mail: hverhoosel@rbmny.org
Tel: +1 917 345 5238
** Verhoosel氏は4月20日(土)午前中から24日(水)午前中まで東京に滞在する予定です。

ロールバック・マラリア・パートナーシップ(RBM)について

ロールバック・マラリア・パートナーシップは1988年にユニセフ、WHO、UNDP、世界銀行が中心となってマラリアに対する予防対策を調整するグローバルフレームワークとして設立されました。今日、RBMは500以上の官民組織から構成されるパートナーシップとして、コンセンサスを形成し、マラリア対策や戦略を策定するための中立的なプラットフォームを提供しています。またマラリアを世界の優先課題とし続けるべく、高いレベルの政治的コミットメントを促進し、普遍的目標の実現に向けた進捗状況をモニターします。

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会見の動画は、Youtube の日本記者クラブ専用チャンネルで見ることができます。

4月22日(月)、日本記者クラブで行われた記者会見