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国連アカデミック・インパクト参加大学に聞く:九州大学編①

2013年05月08日

九州大学は、国連アカデミック・インパクト(UNAI)に日本からの大学としては2010年2月という最も早い時期に参加しました。同大学は2011年10月、「ユヌス&椎木ソーシャル・ビジネス研究センター(SBRC)」を立ち上げ、これまで行ってきたソーシャル・ビジネスに関する調査、研究、教育の普及を強化しています。

ここで言う「ソーシャル・ビジネス」とは、バングラデシュ出身のムハマド・ユヌス氏(グラミン銀行創設者、ノーベル平和賞受賞者)が提唱した新たなビジネス・モデルのことで、ユヌス氏はその功績によって2006年、ノーベル平和賞を受賞しました。また同大学ではSBRC設立に先立ち、2007年よりバングラデシュにあるグラミン企業の一つと交流技術協定を締結。「開発途上国の社会情報基盤構築と情報格差による貧困是正への貢献」を目指し現在も多分野に渡る共同研究・プロジェクトを展開しています。

九州大学SBRCのエグゼクティブ・ディレクターを務める岡田昌治教授によると、「ソーシャル・ビジネス」は二つのベクトルを持っています。一つは、貧困、保健、環境、エネルギー、教育、自然災害などの社会課題を解決するビジネスであること。もう一つは、「そこそこ儲ける」ビジネスであることです。

このたび国連広報センターは、九州大学のSBRCのエグゼクティブ・ディレクターを務める岡田先生とそのセンターでソーシャル・ビジネスを学ぶ二人の学生にお話を伺いました。UNAIの原則の一つ『貧困問題に取り組む』(原則8)を柱に進められている九州大学SBRCでの取り組みをご紹介します。

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アジアにおけるソーシャル・ビジネス展開のハブを目指す九州大学。その「ユヌス&椎木ソーシャル・ビジネス研究センター(SBRC)」で日々指揮を執っているのが、岡田教授です。「実は、国連は高校時代からの憧れでした。1985年に国連に就職するための競争試験に合格し、国連で働くことを真剣に考えましたが、結局当時勤めていた会社に残ることにしたのです。時が流れ、2009年ムハマド・ユヌス先生との出会いをきっかけに、国連アカデミック・インパクト(UNAI)と関わることになり、国連と再会したというわけです」と、国連との運命的なつながりも話してくださいました。

SBRCは2011年秋、グラミン・クリエイティブ・ラボ@九州大学(GCL@九州大学:2010年設立)を母体として設立されました。SBRCでは、ムハマド・ユヌス氏が提唱する「ソーシャル・ビジネス」の研究、調査、普及を行っています。ユヌス氏は農村部の低所得者に無担保小額融資を行うグラミン銀行創設者で、その活動功績により2006年ノーベル平和賞を受賞しています。

「ソーシャル・ビジネス」とは、貧困をはじめとする世界の様々な社会的課題を事業ビジネスの手法を用いて解決していこうとするものです。SBRCでは定期的なワークショップやユヌス博士を招聘した国際的なシンポジウム開催等を通じて、そのコンセプトの普及ならびに実質的なソーシャル・ビジネスの創出に力を入れています。また、学生が自発的にソーシャル・ビジネスを学び、社会課題解決に向けた諸活動を行う任意団体「ユヌス・ソーシャル・ビジネス・クラブ(YSBC)」の立上げとその活動をサポートしており、同クラブが企画・運営を行う「ユヌス・ソーシャル・ビジネス・デザイン・コンテスト」やバングラデシュへのスタディ・ツアー、その他活動のサポートを通じて学生の国際協力分野における意欲的な参加を後押ししています。

「国連の強みは、何と言ってもそのブランド力です。九州大学の学生もUNAIを通じて同じ思いを持つ世界の学生たちとつながることができると思います。そうすることで、お互いの活動に新たな展開が生まれますし、何より本校学生への刺激にもなります」と語る岡田先生。SBRCでソーシャル・ビジネスについて学ぶ学生さんのいきいきとした姿からも、先生の意図が実を結んでいることが実感できました。

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九州大学SBRCエグゼクティブ・ディレクターの岡田昌治教授。ノーベル平和賞受賞者であるムハマド・ユヌス氏が提唱するソーシャル・ビジネスの研究と普及に取り組む
九州大学箱崎キャンパスにあるユヌス&椎木ソーシャル・ビジネス研究センター(SBRC)
岡田教授の指揮のもとソーシャル・ビジネスの研究と普及に励む主要メンバー。壁画はSBRCのロゴマークで、障害をもったアーティストのデザインによるもの
無担保少額融資を行う「マイクロ・クレジット」によりグラミン銀行を創設し、いまや多分野にわたるソーシャル・ビジネスを経営し、バングラデシュの貧困問題に取り組むムハマド・ユヌス氏。岡田教授とともに
グラミンBASFが現地で製造・販売する防虫蚊帳。企業の技術とグラミングループのネットワークが社会課題の解決につながっている
「グラミン雪国まいたけ」は、現地で緑豆を栽培し、その3割を安価で販売、残りを日本に輸出してもやしを生産する合弁事業プロジェクト。現地での雇用創出や栄養改善と緑豆の安定供給を実現し、双方にメリットをもたらしている
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