長崎平和祈念式典に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長挨拶(長崎、2026年8月9日)
プレスリリース 26-040-J 2026年08月09日

代読:軍縮担当上級代表 中満泉
81年前、長崎は人類がいかに破壊的になれるかの象徴となりました。
毎年8月9日、私たちは長崎の原爆で命を落とされた方々を追悼いたします。
この街を再建し、悲劇を克服された世代に敬意を表します。
そして、想像を絶する苦しみを揺るぎない道徳性をもって、同じ過ちを二度と繰り返してはならないと世界に訴えた被爆者の方々に敬意を表します。
彼らの不屈の精神、協調、そして希望のメッセージは、今もなお生き続け、これからも永遠に生き続けることでしょう。
2018年、私はこの長崎の追悼式典に出席した初の国連事務総長となり、そのことを今も光栄に思っています。
ここで起きたことを世界は決して忘れてはならない ― 私はそう固く信じています。
今日、私たちは深刻な地政学的緊張の時代にいます。
信頼は失われつつあり、悲劇が再び起こるのを今まで防いできた規範が失われつつあります。
数十年にわたって続いた核兵器削減の潮流が反転するやもしれません。
核実験禁止という国際規範も脅かされています。
世界の軍事費は急増し2025年に2兆9000億ドルに達しました。
そして、核兵器による恫喝が横行しています。
誤解、エスカレーション、そして戦争のリスクが年々高まっています。
これはとても見過しできることではありません。
人類が恒常的な脅威の下で生きなければならない理由はないのです。
歴史は、たとえ激しい対立の時代にあっても、協力・進歩が可能であることを私たちに示しています。
しかし、進歩のためには政治的意志とリーダーシップが必要です。
私たちの安全保障は相互に依存しており、核兵器は不確実性を助長するだけだという認識が必要なのです。
そして、長崎が示した核戦争の真の恐ろしさについての教訓に耳を傾ける必要があります。
平和な未来への道は、信頼と予測可能性を強化することによって築かれます。
戦争のための武器ではなく、対話、外交、協力といった平和の手段に投資することによって。
すべての国、特に核兵器保有国が、リスクを軽減し、核兵器廃絶に向かう措置を講じることによって。
そして、数十年にわたり核の惨禍を防いできたグローバルな軍縮体制へ再びコミットすることによって。
私たちは共に、未来を対立と危機ではなく、協力と安定によって形作らなければなりません。
長崎は今日、私たちに警告を発するとともに指針をも示してくれます。
長崎は、私たちにただ惨禍を記憶にとどめるだけでなく、行動を起こすことを求めています。
そして、信頼を再構築し、協力を強化し、分断ではなく外交を選択することを私たちに求めているのです。
過去数十年にわたる長崎の人々を模範とし、私たちは皆、恐怖ではなく共通の目的によって支えられる平和な世界を築くことを誓いましょう。
そして、この81周年の記念日に、被爆者の勇気を言葉だけでなく行動で称えようではありませんか。
国連は、この目的を達成するため、皆様とともに歩むパートナーとなることを切に願ってやみません。
2026年(令和8年)8月9日
国際連合事務総長
アントニオ・グテーレス
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