広島平和記念式典に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長挨拶(広島、2026年8月6日)
プレスリリース 26-039-J 2026年08月06日
代読:軍縮担当上級代表 中満泉
81年前の今日、広島は廃墟と化しました。
数万人の方々が一瞬にして尊い命を落とされました。
そして、世界は核戦争の恐るべき力に直面しました。
今日、私たちはこの場においてあの日の出来事を振り返り、犠牲となられた方々の魂を偲びます。
そして、被爆者の方々に敬意を表します。被爆者の方々の数は年々減っていますが、彼らの平和へのメッセージは、これまで以上に重要な意味を持っています。
この記念日は、厳粛な追悼の日であるだけではなく、私たち自らに問いかける時でもあります。
81年前、この地が炎に包まれた経験から、私たちは何かを学んだのでしょうか?
人類は平和な未来を選ぶのでしょうか?
それとも、核による破滅という暗い影の下で生き続けるのでしょうか?
私たちは今、地政学的な分断が深まり、不信感がつのり、競争が激化する時代にいます。
核による惨禍を未然に防いできた規範と方策は、今、危機に瀕しています。
数十年にわたって続いた核兵器削減の潮流が逆行しつつあります。
核実験禁止という国際規範も脅かされています。
世界の軍事費は急増し2025年には2兆9000億ドルに達しました。
力の誇示と強制のため、核兵器による恫喝も横行しています。
広島の教訓は、核兵器の恐ろしさだけではありません。核兵器の脅威が、そして使用が考えられない世界を築く必要性を教えてくれました。
平和とは恐怖と力によって得られるものではありません。
平和とは信頼によって築かれるものです。
対話、外交、国際協力への継続的な投資によって。
国際法への揺るぎないコミットメントによって。
すべての国、特に核兵器保有国が、リスクを軽減し、信頼を再構築し、完全なる軍縮に向けての行動をとることによって。
グローバルな軍縮体制を強化することによって。
そして、核兵器こそが究極の安全保障であるというゼロサム思考を断固として拒否することによって ―― 実際、核兵器は安全保障の対極に位置するのです。
国連は、世界から戦争という惨禍を根絶するために設立されました。
そして、1946年の第一回国連総会における最初の決議は、核兵器の廃絶を述べています。
その約束は未だ果たされていません。しかしそれは、決して不可能というわけではありません。
広島は、不屈の精神、復活、そして希望の象徴として、私たちに力強いメッセージを伝えてくれます。
最も暗い時代を経験しても、私たちは異なる未来を選択し、築き上げることができると、広島の人々は世代を超えて、私たちに示してくれるのです。
原爆投下から81周年を迎えるにあたり、確固たる意志と信念を持って行動しましょう。
分断ではなく対話を、対立ではなく協力を、無意味な競争ではなく共通の安全保障を選びましょう。
そして、広島の悲劇が二度と繰り返されない世界へと、一歩一歩歩んでいきましょう。
2026年(令和8年)8月6日
国際連合事務総長
アントニオ・グテーレス
* *** *


