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世界環境デー(6月5日)に寄せる アントニオ・グテーレス国連事務総長メッセージ

プレスリリース 21-029-J 2021年06月05日

私たちは、地球にとって取り返しがつかない局面へと急速に近づいています。

私たちは、生物多様性の喪失、気候崩壊、汚染の深刻化という三重の環境緊急事態に直面しています。

あまりにも長い間、人類は地球上の森林を伐採し、河川や海洋を汚染し、草原を開墾して消滅させてきました。

私たちは、社会を下支えする生態系そのものを荒廃させているのです。

そのことによって、生存に必要な食料や水、資源を失う危険性に、自らをさらしているのです。

自然界の破壊はすでに、人類の40パーセントに相当する32億の人々の福祉を損ないつつあります。

幸運にも、地球にはレジリエンス(強靭性)があります。

しかし、私たちの助けを必要としています。

私たちが与えてしまったダメージを回復する時間はまだ残っています。

今年の「世界環境デー」にあたり、「生態系の回復に関する国連の10年」を立ち上げる理由はここにあります。

このグローバルな運動は、地球を癒すという前例のない取り組みに向けて、各国政府や企業、市民社会、市民を結集させるものです。

生態系を回復することで、すべての持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する変革を推し進めることができます。

成すべきことは膨大にあります。

私たちは再植林を行い、森林を保護しなければなりません。

河川や海洋を浄化しなければなりません。

そして都市を緑化しなければなりません。

これらを成し遂げることは、地球の資源の保護につながるだけではありません。

2030年までに何百万人分もの新たな雇用を創出し、毎年7兆ドルを超える利益を生み、貧困や飢餓の撲滅につながります。

「生態系の回復に関する国連の10年」は、グローバルな行動呼びかけです。

回復の規模を飛躍的に拡大するため、政治的支援、科学的研究や資金力を結集させるものです。

誰もが貢献できます。

これからの10年が、気候変動による惨禍を回避し、汚染という致命的な流れから引き返し、種の喪失に終止符を打つ最後のチャンスだと科学は教えてくれています。

今日を新たな10年の始まりにしようではありませんか。私たちがついに自然と和解し、すべての人にとってより良い未来を確実にする10年となるように。

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