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第7回アフリカ開発会議(TICAD7)におけるアントニオ・グテーレス国連事務総長挨拶 (横浜、2019 年8月28日)

プレスリリース 19-068-J 2019年08月29日

©UN Photo/Ichiro Mae

このたび、第7回アフリカ開発会議(TICAD)で皆様とご一緒できたことを嬉しく思います。折しも、日本は「令和」という、美しい調和を意味する新たな時代を迎えたばかりです。そしてこの調和こそ、私たちが全世界で大いに必要としているものです。

私はTICADに象徴される、日本のアフリカに対するコミットメントに感謝いたします。

26年前に始まったTICADは、アフリカの平和と安全、持続可能な開発に対する国際的な支援を結集し、持続させるためのオープンで包摂的な多国間フォーラムへと進化を遂げました。

私はアフリカを、チャンスにあふれた活力ある大陸として捉えています。そこでは希望という風がかつてなく強まっています。

TICADは、アフリカのオーナーシップと国際社会 のパートナーシップという2つの原則に基づき、国際的な対話の焦点をアフリカに当てるうえで欠かせない役割を果たしてきました。

このパートナーシップは、起業と貿易を通じ、アフリカ経済の転換に大きく寄与しています。

また、医療、教育、水と衛生に対するアクセス改善を支援するとともに、平和と安定の促進にも役立ってきました。

「アフリカに躍進を!ひと,技術,イノベーションで」というTICAD 7のテーマは、まさに時宜に適ったものです。

技術とイノベーションは、アフリカの大きな潜在性を解き放ち、誰一人取り残さないという私たちが共有するビジョンを実現するうえで、中心的な役割を担います。

アフリカ諸国はTICAD 6以来、成長の持続、ガバナンスの強化、保健と教育の促進、紛争への取り組み、ジェンダーの平等推進、そして地域協力・統合の加速という点で、目覚ましい前進を遂げています。

7月にニジェールで開催されたアフリカ連合サミットで「アフリカ大陸自由貿易協定」が成立したことは、特に重要な成果といえます。

これによって、貿易と投資の大きなチャンスが開かれる可能性があります。

「アフリカ大陸自由貿易協定」の潜在的可能性を実現するためには、地域的なインフラとインフォストラクチャー(情報システム基盤)に投資し、陸路、海路、空路で、そしてデジタル時代の通信を通じて、アフリカ諸国をつなげる必要があります。

そうすれば、ビジネスのコストも低下し、大陸全体の競争力も高まるでしょう。

教育に投資し、これを改善することも、アフリカが潜在能力を十分に発揮するためのカギとなります。

この分野については、教育へのアクセスを拡大し、その質を高めるために、はるかに多くの取り組みが必要とされています。

私たちはあらゆる年齢の人々に、21世紀の仕事にふさわしい能力を身に着けてもらわねばなりません。

科学・技術・工学・数学(STEM)教育に十分な投資を行わなければ、アフリカの成長を阻害し、若者のチャンスの芽を摘んでしまうおそれがあります。

TICAD 7は、アフリカがその持続可能な開発のために、技術とイノベーションの力を借りられるよう、支援に向けた大きな勢いを作り出すことができます。

私たちはデジタル格差を埋め、技術的進歩を活用することで、アフリカの国々と経済が繁栄できるよう、力を合わせねばなりません。

皆様、

アフリカの持続可能な未来は、深刻化する気候非常事態に対する私たちの集団的な取り組みにもかかっています。

アフリカ諸国はすでに、その矢面に立たされています。アフリカは気候変動をほとんど助長していないにもかかわらず、その劇的な打撃をまともに受けているのです。

私たちが大胆かつ決定的な行動を起こすために残された時間は、あとわずかしかありません。

私はこの理由から、9月23日にニューヨークで「気候行動サミット」を招集します。私は政府や企業、市民社会のリーダーに対し、私たちがこの生存に関わる課題に立ち向かうための野心的な対策を発表するようお願いしています。

最後に、アフリカの潜在性発揮は、平和と安定にもかかっています。

アフリカ大陸の長期的見通しは明るいものの、武力紛争や暴力的過激主義は、地域全体の持続可能な開発にとって大きな障害となっています。

これは複雑な問題ですが、私たちは平和と安全、開発、よいガバナンス、包摂、そして気候変動に対するレジリエンス構築の間にある関連性に、特に関心を向けなければなりません。

アフリカの開発には平和が必要です。

私はアフリカ連合による「紛争のないアフリカ(Silencing the Guns)」イニシアティブを支援するパートナーシップの強化を求めています。

そして私は、資金供与と訓練教官の提供を通じ、2015年から「三角パートナーシップ・プロジェクト」に寛大な支援を行っている日本に感謝いたします。

現在までに、工兵330人と通信兵2,700人が訓練を受け、アフリカ連合ソマリア・ミッション(AMISOM)を含むフィールド活動に派遣されています。

皆様、

私は事務総長就任当初から、国連とアフリカ、特にアフリカ連合との連携のさらなる強化を決意してきました。

喜ばしいことに、私たちのアフリカ連合との戦略的協力には、飛躍的な進歩が見られています。

私たちは現在、共有の課題に取り組める態勢をはるかによく整えています。

2つの組織は、平和と安全だけでなく、2030アジェンダやアジェンダ2063の実施についても、密接に連携しているところです。

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」とアフリカ連合のアジェンダ2063は、相互に補完、補強する関係にあります。

私は、これら2つのアジェンダに沿って平和と持続可能な開発に向けたパートナーシップを拡張するために不可欠な手段として、TICAD 7横浜宣言とその実施を歓迎します。

これから数日間にわたる生産的な議論が、アフリカ全土の平和と持続可能な開発を推進するための共通の一貫した行動に向けた優先課題に関し、共通の理解を生み出すことを楽しみにしています。

ありがとうございました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。