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国際高齢者デー(10月1日)に寄せる潘基文国連事務総長メッセージ

プレスリリース 08-053-J 2008年10月02日

2008年の国際高齢者デーのテーマ「高齢者の権利」は、世界人権宣言60周年にあたる今年にまさにぴったりのテーマです。

高齢者の自立、参加、尊厳の促進は長らく国連の検討課題であり、高齢化に関するマドリード国際行動計画実施の中心となっています。6年前の第2回国連高齢者問題世界会議でこの行動計画が採択されるにあたり、国連加盟国は、「年齢に関する差別を含む、あらゆる形態の差別を廃絶すること」を約束しました。そして、「人間は年をとっても充実した人生を送り、健康を保ち、安全が確保されるべきであり、社会生活においては、経済、社会、文化、そして政治生活に積極的に参加すべきである」との認識を示しました。また、加盟各国は「高齢者への尊厳の認識を高め、あらゆる形態の軽視、虐待、そして暴力を廃絶すること」を決意しました。

こうした約束にもかかわらず、世界中の多くの場所では、高齢者の権利が日々侵されています。職場での高齢者に対する年齢に関した差別は、頻繁に起こっています。社会環境の中で、高齢者は自分たちに対する認識と尊重が欠如していると感じていることでしょう。社会・経済・文化、そして政治分野において、全面的な参加が妨げられているかもしれません。多くの国々で、高齢者を顧みず、虐待し、暴力が振るわれるという事実があり、それが全く稀なことでも特別なことでもないのは、非常に遺憾であると言わざるをえません。

高齢者が社会で担うきわめて重要な役割を認識することは、マドリードで採択された行動計画の柱となっています。今年の初めに、この行動計画の第1回再検討と評価が行われ、高齢者への支援と収入保証および社会保護を促進し、保健医療の質と長期ケア・サービスを提供するよう、さらに多くのことがなされる必要が国家単位レベルであることが明らかになりました。これらを実現するには、国家単位での高齢化に特化した枠組みが実質的に改善されるべきであり、高齢者の懸念が、より広範囲な政策枠組みにおいて、その主流として組み込まれるべきです。

国際高齢者デーは、高齢者の権利促進についての議論に刺激を与え、高齢者の完全な社会参加が確保されるようパートナーシップを強化する機会です。高齢者の権利の実現とすべての年齢層の社会という理想の社会の実現に向けて、私たちはより一層の努力をしていこうではありませんか。