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平和記念式典に寄せる事務総長メッセージ(広島、2012年8月6日)

プレスリリース 12-038-J 2012年08月06日

アンジェラ・ケイン国連軍縮担当上級代表が代読

毎年8月6日、世界中の人々は、広島市について思いを馳せます。

1945年にこの地で起こった人類の惨事により、何がもたらされたかについて考えます。

この運命の日に亡くなった数万人の市民のことを思い起こします。

生き残った人々やその家族、そしてその後の世代の人々が耐え忍んできた信じがたい苦難について思いを馳せます。

しかし、過去の惨事について思いを巡らせるこの日は、広島という素晴らしい街の復興にあたり、市民が何を成し遂げてきたかを理解する日でもあります。

広島は、現代生活の快適さにあふれた街となりました。そして、核軍縮の絶対的な必要性をすべての国々と分かち合うための多くの英知も有しています。

歴代市長や市民の方々は、数十年にわたって被爆という経験を共有し、核兵器の全面禁止に向けた緊急措置を取るよう訴え続けてきました。

皆さんの声は届いています。数多くの被爆者による証言が様々な言語に翻訳されていることは喜ばしいことです。こうした取り組みを支援するため、国連は、被爆者の方々が自身の体験を語るマルチメディアによるウェブサイトを開設したところです。世界中の国々の、特に若い世代に被爆者の言葉を伝え、理解してもらうことはとても重要です。

国連事務局はまた、国際的な「アート・フォー・ピース」コンテストや「平和のための詩」コンテストを後援し、あらゆる国の青少年に核兵器のない世界を想い描いてもらうよう働きかけています。多くの意味で、私たち人類の未来は、若い世代がこの目標を理解し、支えていけるかにかかっています。

本日、広島の地において、改めて宣言します。核兵器による攻撃は二度と繰り返してはなりません、二度と再び。

核兵器の廃絶は、先見性のある目標というだけでなく、将来における核兵器使用を最も確実に阻止する方法なのです。

核兵器が使用されれば、市民への無差別な影響が避けられないことはよく知られています。

安全保障の専門家や防衛アナリストたちも、核兵器は力の均衡を確保するどころか、本質的に不安定にするものであると認めざるを得なくなっています。

そのような兵器がこの世に存在することは正当化できません。核兵器廃絶は、道徳的に正しく、また、人類を守るため現実的に必要なことなのです。

核兵器を容認せず、違法であるとみなす国が増えれば、核兵器の拡散、取得、テロリストによる使用等の問題はより容易に解決できるでしょう。

これこそが、私が核兵器禁止条約や核兵器廃絶を目的とした様々な手段の枠組みに向けた交渉への努力を支援してきた理由です。

数十年前に広島で起こった惨劇は、今も人々の心に響いています。亡くなった方々を追悼し、被爆者の方々と心を共にし、将来の世代に何を残していくかについて考えながら、本日ここに集うすべての皆様に、核兵器のない世界の実現に向けた高潔な取り組みを今後とも続けていただくようお願いいたします。この大義を皆様とともに推し進めていけることを光栄に思います。

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