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人権デー(12月10日)事務総長メッセージ

プレスリリース 15-107-J 2015年12月10日

全世界では大規模な残虐行為や虐待が広がっています。このような中、「人権デー」は、私たちが時代を越え、集団的に堅持を約束した諸原則を推進するため、より一層のグローバルな協調行動を起こすべき機会です。

国連創設70周年に当たる今年、私たちは第2次世界大戦を受けて生まれた、現代の人権運動の歴史から着想を得ることができます。

フランクリン・D・ルーズベルト米大統領は当時、すべての人々が生まれながら持つ権利として、表現の自由、信仰の自由、欠乏からの自由、恐怖からの自由という4つの基本的自由を明らかにしました。大統領夫人のエレノア・ルーズベルト氏は国連で、全世界の人権擁護者と力を合わせ、これらの自由を「世界人権宣言」に組み込みました。

今日の途方もない課題は、この4つの自由というレンズを通して捉え、取り組むことができます。

第1に、表現の自由は、数百万人が享受できておらず、ますます大きな脅威にさらされています。私たちは市民社会のために、民主的な実践と空間を擁護し、維持し、拡大しなければなりません。それは恒久的な安定に欠かせないことです。

第2に、信仰の自由です。全世界でテロリストが宗教をハイジャックし、宗教の名のもとに殺害を行うことによって、その精神に背いています。その他、宗教的少数者を標的にしたり、恐怖を煽って政治的利益を得ようとしたりする動きも見られます。私たちはこれに対し、すべての人々の基本的平等と宗教の自由権に基づき、多様性の尊重をさらに進めなければなりません。

第3に、欠乏からの自由は依然として、多くの人々の手に届いていません。世界のリーダーは9月、貧困に終止符を打ち、すべての人々が平和で健全な地球で、尊厳を持って暮らせるようにすることをねらいに、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択しました。私たちは今、このビジョンの実現に向けて、あらゆる手を尽くさねばなりません。

第4が、恐怖からの自由です。数百万を数える難民と国内避難民は、この自由を実現できなかったことによる悲劇的な結末といえます。第2次世界大戦以来、これほど多くの人々が避難を余儀なくされたことはありません。これらの人々は大陸や海を越え、しばしば命の危険を冒して、戦争や暴力、不正から逃れているのです。私たちはこれに対し、扉を閉ざすのではなく、門戸を開放し、庇護を求める権利を差別なく、すべての人々に保障しなければなりません。貧困や絶望を逃れようとしている移住者も、基本的人権は享受すべきです。

私たちはきょう、自らの活動の基盤として人権を守ることを改めて決意します。それこそが、大規模な暴力を防ぎ、これに対処することをねらいとする国連「Human Rights Up Front(人権を最優先に)」イニシアティブの精神なのです。

「人権デー」にあたり、基本的自由を保障し、すべての人々の人権を守る決意を新たにしようではありませんか。

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©UN Photo