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脅威の時代ではなく、新たな機会に富む時代と捉えたい・アナン国連事務総長、新年の記者会見で

プレスリリース 03/002-J 2003年01月24日

以下は1月14日、国連ニューヨーク本部で行われた記者会見でコフィー・アナン国連事務総長が行った発言内容です。

 私たちは不安とともに新しい年を迎えました。それは、イラクでの戦争の兆し、朝鮮半島での核拡散、そして、中東での際限のない暴力の応酬に対する不安です。アフリカでもっとも安定し、繁栄した国の一つであったコートジボワールでさえも、今では紛争の深みにはまろうとしています。

 グローバル・テロの脅威は消え去っていません。次の事件はいつどこで起きるのか誰にもわかりません。

 しかも、これらは見出しを飾っている危機にすぎないのです。

 全世界で蔓延するエイズは今年、イラクで戦争が起こった場合よりもさらに多くの命を奪い、その数は2004年、2005年と進むにつれて、さらに多くなるでしょう。南部アフリカや「アフリカの角(アフリカ北東部)」では今年、3,000万人もの人々が餓死の脅威にさらされています。そして、貧困のため、母と子は至る所で早死にし、空腹のまま床につき、清潔な飲み水を利用できず、学校にも通えないままになっています。

 他方、気候変動はすでに現実のものとなっています。暴風雨、洪水および干ばつがこれほどまでに増え、ますます多くの人道的な緊急事態や悲劇がもたらされている一因もここにあります。

 それでも、私は事を楽観しつづけています。

 今日の脅威は、私たちが遭遇する初めての脅威ではありません。しかも、この10年、私たちはこれらの脅威へのよりよい対処方法を学んできたと思います。

 あまりにも長い時間を要したものの、ボスニアでの戦争は終結しました。コソボでは復興が始まり、東ティモールは独立し、シエラレオネの恐怖は収まり、エチオピアとエリトリアも戦争を止めました。

 この先を見ても、キプロスの再統合、スーダンの内戦終結、そして、アフリカ初の世界戦争の異名をとったコンゴ民主共和国での戦争の収拾は、もう一歩のところまで来ています。

 諸国が協力すれば現状を変えることができます。法の支配を堅持する国々は実際、より公正な世界という理想に近づくことができるのです。

 2003年を迎えるにあたっての希望の根拠はここにあります。

 私は依然として、イラクでも、朝鮮半島でも、さらにはイスラエルとパレスチナの間でさえも、各国が忍耐と決意を持ち、これらすべての問題について協力するならば、和平は可能であると確信しています。

 そして私は、国連加盟国191カ国が力を合わせ、テロリストに隠れ家を拒み、その資金源を絶つならば、テロでさえも打ち負かすことができると信じています。

 皆様からのご質問をお受けする前に、現在、私にとって特に懸案となっているさらに2つの問題に触れたいと思います。

 アフリカにおける飢饉の脅威についてはすでにお話ししました。皆様もご存知のとおり、これはアフリカの南部において特に深刻です。問題の中心となっているのがジンバブエの危機です。ジンバブエはかつてアフリカ南部の穀倉地帯でしたが、今では飢餓とHIV/エイズによって壊滅的な打撃を受けています。この悲劇的な状況は、自然の力だけでなく、管理の不行き届きによっても引き起こされています。そのどちらが大きな原因かを議論すればきりがないでしょう。しかし、現在の課題は、すべてのジンバブエ国民がともに一丸となり、かつ国際社会とも協力して、手遅れになる前に解決策を見出すことです。

 もう一つの問題はベネズエラです。過去20年間、ラテンアメリカは民主主義を標榜し、独裁的な政府形態に背を向けてきました。ベネズエラに変化をもたらそうとしている人々がこの成果を尊重し、人権と正義の原則に沿って民主的かつ合憲的手段以外には訴えないよう私は期待します。

 最後に、今を脅威の時代ではなく、新たな機会に富む時代と捉えるべきだということを申し上げたいと思います。私たちが真剣に努力し、かつ、指導者たちに当地でのミレニアムサミットで自らが行った約束を守らせることができるならば、私たちは貧困を打ち破る最初の世代となるのです。

 確かに、世界は混乱に満ちた場所です。しかし、問題に対処するための手段はあります。その中でもっとも重要な位置を占めているのが国連です。