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生物多様性条約第10回締約国会議(CBD COP10)ハイレベル・セグメント ジョセフ・ダイス国連総会議長による開会の辞 (名古屋、2010年10月27日)

プレスリリース 10-086-J 2010年10月29日

総理、
各国代表の方々、
皆様、

生物多様性条約第10回締約国会議ハイレベル・セグメントの開会に当たり、こうして皆様にご挨拶できることを大変嬉しく思います。

私の訪日はこれで5回目になりますが、その度ごとに私は、日本の皆様の温かいもてなしと、自然を大切にする心に感銘を受けています。京都議定書という名前がまさに示すとおり、日本は多くの革新的な環境への取り組みと、多国間協力への尽力により、今年の締約国会議に素晴らしい舞台を提供してくれました。

生物多様性は常に、人類の生存に欠かせない要素です。私たちは先祖代々、寛容な自然に依存しながら、身体的、精神的なニーズを満たしてきたのです。しかし現在では、人間の行動が主な原因となって、生物多様性は世界中で失われつつあります。

生物多様性が失われた結果、ホッキョクグマやアマゾンの植物が消え去っていくことは、それだけでも悲しいことですが、事はそれだけで終わりません。生態系がすべて密接に絡み合っているという事情から、人間の生活基盤それ自体が揺らいでいるのです。

生物多様性損失の脅威は、私たち全員に及んでいますが、中でも最も貧しい人々は、さらに深刻な影響に直面しています。豊かな生物多様性を誇る地域の多くは開発途上国にありますが、そこに住む人々は農林水産業に特に大きく依存しながら生計を立てています。

だからこそ私たちは、生物多様性を然るべく緊急の優先課題とし、協調的な対策を講じていかねばならないのです。私は名古屋での会合が、この喫緊の課題に対する取り組みを実質的に進めることに役立つものと期待しています。

全世界の環境担当大臣その他の関係者は先月、ニューヨークに集い、生物多様性に関する国連総会ハイレベル協議を開催しました。出席者は一致して、生物多様性を守っていくという強い政治的意志を示しました。また、貧困を根絶し、ミレニアム開発目標(MDGs)を達成するという私たちの取り組みにとって、生物多様性がどれだけ重要かも強調しました。さらに、生物多様性損失が開発途上国の最貧層に対し、どれだけ深刻な影響をもたらすかについても力説しました。

私のハイレベル協議総括の全文は、すでに皆様にも公表済みですが、協議の中で繰り返し強調された点をいくつか改めてご紹介したいと思います。

第一に、加盟国はCOP10で、来たる10年間に関し、意欲的、現実的かつ測定可能な生物多様性目標を盛り込んだ戦略計画が採択されることに大きな期待を表明しました。また、遺伝資源に対するアクセスとその恩恵の共有に関する実効的議定書の採択、および、生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォームの早期設置も求めました。

特に、生物多様性と生態系サービスの真の経済価値を経済・金融活動や政策立案過程に幅広く取り入れることの重要性を指摘する向きが多くありました。

第二に、加盟国は生物多様性や気候変動、砂漠化などその他の環境課題について、包括的なアプローチを採用する必要性を強調しました。

例えば、森林減少・劣化に由来する温室効果ガス排出の削減を目指す取り組み(REDD+)は、生物多様性と現地住民の生活をともに改善できる可能性を秘めています。

第三に、開発途上国の中には、豊かな生物多様性を誇る国々が多くあります。途上国がこうした資源から利益を得るとともに、これを持続可能な形で利用できるようにすることが重要です。

加盟国は、生物多様性に関する各国の公約と戦略を実施に移していくうえで、資金や技術移転、能力育成が重要であるという点に注意を促しました。そして、南南協力や三角協力を呼びかけるとともに、民間や若者、先住民コミュニティをはじめとする社会全体に対し、生物多様性保全への取り組みに積極的に貢献するよう求めました。

皆様、

2010年は「国際生物多様性年」に当たります。私としては、COP10が生物多様性の実質的な保護と持続可能な利用に向けた国内的、地域的、国際的取り組みをうまく指導できる戦略計画を採択することで、国際年を祝うべき理由をもう一つ提供してくれるものと期待しています。それはまさに、現世代と将来の世代の健康、繁栄、そして安全をもたらしてくれるのです。生物多様性の保全は贅沢ではなく、義務なのです。

会議のご成功をお祈りしています。