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世界最大の気候変動対策基金の増資に画期的な動き 各国の野心の高まりを反映(GCFプレスリリース・日本語訳)

プレスリリース 19-109-J 2019年10月25日

2019年10月25日、パリ(フランス) — 気候変動対策に関する緊迫感の共有はきょう、27カ国が今後4年間にわたり「緑の気候基金(GCF)」に97.76億ドルの増資を誓約するという歴史的な前進となって現れました。この資金は、開発途上国が温室効果ガス排出量を削減し、海面の上昇や記録的な気温、長引く干ばつ、異常気象の頻度と深刻度の増大など、地球温暖化の悪影響に適応するための支援として用いられます。

まだ誓約を行っていない拠出国があるにもかかわらず、今回の誓約額は、前回の2014年のGCFプレッジング会合で発表された93億ドルをすでに上回っています。4分の3の国は、自国通貨建てで拠出誓約額を増額しました。誓約額を2倍以上に増やした国もほぼ半数に上ります。これにより、年間プログラム資金は70%増加します。拠出額で上位を占めるのは英国、フランス、ドイツ、日本、スウェーデンです。GCFは今後4年間にわたり、拠出を受け続けることになります。

今回の拠出誓約は低排出や、気候変動に強い開発に向けたパラダイムシフトを促進するGCFの独自の能力に対し、引き続き強い信頼が寄せられていることを実証しています。特に、今回の拠出表明によって、GCFが野心的な気候行動計画の策定と遂行に取り組む開発途上国を支援できる能力は高まります。各国政府は2020年までに、パリ協定の履行においてカギを握る最新計画「自国が決定する貢献(NDCs)」を提出することが期待されています。

フランスのブリュノ・ル・メール経済・財務大臣は次のように述べています。「気候変動との闘いに取り組む世界のリーダーとして、フランスは緑の気候基金第1次増資会合のホスト国となれたことを誇りに思います。潤沢な資金を備えた基金は、2015年のパリ協定の目標を具体的な行動へと移し、その経済をさらに環境に優しく、気候変動に強いものにしようとする開発途上国の取り組みを支援するうえで欠かせません」

「私はすべての参加国に対し、今回の会合で多額の資金を提供するよう呼びかけます」アントニオ・グテーレス国連事務総長は参加者に対するビデオ声明で、このように述べています。「開発途上国、特に気候変動による影響の矢面に立たされている国々は、皆さんの拠出を必要としています。基金の受益国はすでに約100カ国に上っています。野心的な増資を行えば、GCFは開発途上国における適応、レジリエンス、カーボンニュートラルな開発を引き続き促進できることでしょう」

「私たちは、各国やコミュニティーが気候変動対策に対する野心を高め、これを実現できるよう支援するGCFの能力に、国際社会が信頼を寄せていることを名誉に思います」こう語るのは、ヤニック・グレマレックGCF事務局長です。「私たちのパートナーが、気候危機のペースと緊急性に見合った気候変動対策への投資を革新、加速、拡大するためのエンパワーメントを図るうえで、これからの数年間は極めて重要な意味を持っています」

「気候変動との闘いでは、全世界の市民が表明した正当な期待に応える必要があります。開発途上国で再生可能エネルギーの普及を図るための資金の動員は、特に最も弱い立場にある人々の利益となるような形で気候危機に対処するうえで欠かせません。フランスはこうした理由から、国際社会がGCFへの拠出増額を表明したことを歓迎します」フランスのブリュヌ・ポワルソン環境連帯移行大臣付副大臣は、このように語っています。

GCFが支援する投資はすでに、下記をはじめ、全世界の開発途上99カ国で、人々の暮らしを変容させています。

  • ルワンダとケニアにおける電力利用面でのエネルギー格差縮小
  • モンゴルにおける再生可能エネルギーへの移行と危険な大気汚染の削減に対する支援
  • バルバドスにおける水供給のレジリエンス構築
  • 地域の生計も改善できる持続可能な営農実践を通じたモロッコのベルベル人女性の気候変動に対するレジリエンス向上

最大限のインパクトを達成するため、GCFによる公共投資は、開発途上国の気候変動対策を後押しするとともに、低排出で気候変動に強いイノベーションに関する民間市場整備も支援しています。基金に10億米ドルが投資されるごとに、受益国からの拠出を含め、30億米ドル近い追加資金が得られます。

今回の増資の成功で、2019年12月2日から13日にかけてチリ(のちにスペインへ変更)で開催される気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)と、2020年11月9日から19日にかけて、英国とイタリアを共同ホスト国としてグラスゴーで開催予定のCOP26をはじめとする国際会議の場で、気候変動対策のグローバルな協力が強化されることが期待されます。

10月24日、GCFプレッジング会合と並行して開催された「ワン・プラネット・イベント」では、官民から独特な顔ぶれのパートナーが集い、国際的な気候変動対策を強化するために、革新的な手段を通じた野心の向上を図りました。地域の金融機関を含む公共金融機関と市中銀行は、開発途上国向けの気候変動対策資金の動員に決定的な役割を演じています。

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背景

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)締約194カ国は2010年、開発途上国に気候変動対策資金を提供する目的で緑の気候基金(GCF)を設立しました。2015年のパリ協定は、地球の平均気温上昇を摂氏2度よりもはるかに低く抑え、各国の気候変動に対するレジリエンスを高める地球規模の対策を結集するうえでGCFが果たす中心的な役割を確認しました。GCFは、官民の資金を活用しながら、緩和と適応に同じく支援を提供することをねらいとすることにより、気候変動対策のパラダイムシフトを支援しています。

緑の気候基金(GCF)第1次増資では、下記の国々が拠出を誓約しています。

 ** 基金の初期資金動員から、拠出額(自国通貨建て)を2倍以上に増額することを誓約した国

* 基金の初期資金動員から、拠出額(自国通貨建て)の増額を誓約したものの、2倍以上の増額は予定していない国

 

オーストリア*

ベルギー

カナダ

デンマーク**

フィンランド*

フランス**

ドイツ**

ハンガリー

アイスランド**

アイルランド**

イタリア*

日本*

韓国**

リヒテンシュタイン

ルクセンブルク**

モナコ**

オランダ*

ニュージーランド**

ノルウェー**

ポーランド**

ポルトガル

スロバキア

スロベニア

スペイン*

スウェーデン**

スイス*

英国**

注:スロベニアは2019年、緑の気候基金に初の拠出を行います。

さらに詳しい情報については、下記にお問い合わせください。

Michele Pietrowski, Head of Communications, Green Climate Fund
携帯:+82 10 4458 7751
メールアドレス:mpietrowski@gcfund.org

Simas Gerdvila, Green Climate Fund
携帯:+ 82 10 2634 7644
メールアドレス:sgerdvila@gcfund.org

GCFプレッジング会合に関するデジタル・プレスキット:
https://www.greenclimate.fund/event/pledging-conference

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原文(English)はこちらをご覧ください。