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事務総長、アフリカで「平和と繁栄の種を育てる」共有の責任を安保理で強調

2016年08月15日

「アフリカにおける平和構築」に関する安全保障理事会での公開協議©UN Photo/Rick Bajornas

「アフリカにおける平和構築」に関する安全保障理事会での公開協議©UN Photo/Rick Bajornas

2016年7月28日 – 潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、南スーダンからマリ、さらにはリビアに至るまで、多くのアフリカ諸国で情勢不安が続いていることを指摘しつつ、紛争後の平和構築と制度回復は長期的なプロセスであり、当事国の歴史的、政治的、社会的、文化的、経済的背景に根差すものとせねばならないと強調しました。

「万能の解決策などありません」事務総長はアフリカにおける平和維持に関する安全保障理事会での公開協議でこのように発言する一方で、「制度が脆弱な国が繁栄するはずはありません。包摂的で責任ある制度こそが、国家と国民を結び付ける絆となるのです」と強調しました。

治安や司法、さらには衛生と医療から、ビジネスが繁栄するための環境整備に至る必須サービスは、いずれも制度が提供するものです。潘事務総長はこれらを「平和と持続可能な開発の基盤」としています。

「アフリカの平和は最優先課題です。こうして私たちが会合を開いている間も、南スーダンでは、今にも奈落の底に落ちそうな政情不安が続いています。新国家樹立によって平和、正義、機会が実現するのではないかという期待は裏切られました。私は、国連の人権チームが報告した性的犯罪の規模に、衝撃を覚えています」事務総長はこのように述べ、すべての残虐行為の責任を問うこと、そして南スーダンの指導者たちが和平プロセスに真剣に関与することを求めました。

事務総長はその他、アフリカで「重大な懸念」となっている多くの状況に触れながらも、これらが「アフリカのストーリー全編」には当たらないことを強調することも重要だと述べました。事実、経済成長や生活水準の向上、民主的空間の拡大など、ほとんど語られることのない別の側面があることも確かです。

「こうした平和と繁栄の種を育ててゆくことは、私たちが共有する責任です。包摂的で透明、かつ効果的で責任ある制度を育て、アフリカ諸国による持続可能な開発目標(SDGs)の達成を支援していくことは、この責任を全うする方法の一つです」と事務総長は説明しました。

15カ国で構成される安保理は、この協議の結果、「アフリカにおける平和構築と平和持続に不可欠な要素として、アフリカ諸国の国内開発戦略に留意しつつ、包括的なアプローチを要する制度構築の重要性」などを強調する幅広い議長声明を採択しました。

「アフリカにおける平和構築」に関する公開協議で発言する潘基文事務総長©UN Photo/Rick Bajornas

「アフリカにおける平和構築」に関する公開協議で発言する潘基文事務総長©UN Photo/Rick Bajornas

今回の協議は今年4月、安保理と国連総会がともに、紛争前、紛争中、紛争後に生じるプロセスとして平和構築を幅広く理解し、これを「持続的な平和(sustaining peace)」という言葉で体現するという画期的決議を採択したことを受けて開催されました。

7月の安保理議長国を務める日本が事前に作成したコンセプトペーパーに基づき、協議では、アフリカにおける平和構築のベストプラクティスを明らかにするとともに、国際社会がいかにその支援の効果と効率を高められるかについて議論することが主眼となりました。

潘事務総長は「効果的かつ正当な制度の構築は、簡単なことではありません」と述べ、いくつかの教訓を披露しました。

事務総長によると、制度構築は各国の歴史的、政治的、社会的、文化的、経済的背景に根差すものとせねばならず、外部のモデルを紛争終結国に押し付ければ、有害無益となりかねません。

制度構築はまた、政治的合意に基づくものとする必要があります。事務総長は、各国の自主性とリーダーシップがその鍵を握ると述べました。そのためには、中央政府や地方自治体、コミュニティー、民間セクター、さらには若者や女性、社会から隔絶された集団をはじめとする市民社会が参加する幅広い包摂的な対話が必要となります。事務総長は、このような対話が社会的一体性を強め、国家の正当性を強化し、改革の持続可能性を高めることになると付け加えました。

さらに、事務総長によると、制度の構築は、時には数十年を要する長期的プロセスとなります。各国の制度については、試行錯誤による学びや適応を可能にすべく、漸進的な発展を認めるべきです。ドナー国がすぐに成果を出すよう圧力をかければ、長期的な開発目標だけでなく、最終的には平和も阻害することとなりかねないからです。

事務総長は、国連のミッションと人道・開発関係機関が一体となって密接に連携し、ソマリアやコンゴ民主共和国をはじめ、アフリカでの制度の再構築と強化に本腰を入れて取り組んでいると述べました。

2014年、中央アフリカ共和国で公務員への給与支給の支援に用いられたツールは現在、リビアでも試験的に採用されており、今後はイエメンのほか、事務総長が「今にも奈落の底に落ちそうな政情不安」が続き、「新国家樹立によって平和、正義、機会が実現するのではないかという期待が失われた」と指摘する南スーダンでも展開が予定されています。

事務総長は近年、安保理から平和維持活動と政治ミッションに対して与えられる制度構築のマンデートが急増していることを指摘しました。

事務総長はその一方で、こうした要請に必ずしも現実的な時間枠や、必要な資源と資金が伴っていないことを付け加えたうえで、各国政府に対し、絶望的な資金不足に陥っている平和構築基金への支援を呼びかけました。さらに、安保理に対しても、平和構築委員会との関係強化を継続するよう促しました。

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