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特集:国連平和構築とは何か、そして紛争防止におけるその役割とは?

2016年08月12日

国連安全保障理事会で、過去数十年間にわたる平和構築の進化について発言するオスカル・フェルナンデス=タランコ国連事務次長補©UN Photo/JC McIlwaine

2016年7月27日 – 紛争において、国連は平和維持活動やその「ブルーヘルメット」と関連づけられることが多くなっていますが、国際社会の焦点は、紛争後の復興や社会経済開発を含め、紛争の全段階を通じて当事国を支援するという「平和構築」の理念、そして紛争発生の予防へと移ってきています。

オスカル・フェルナンデス=タランコ国連事務次長補はUN News Centreのインタビューに答え、「平和構築の理念は、より予防的な行動、すなわち国連システム全体が行う活動として捉え直されています」と語りました。

「それは実際、紛争を予防し、将来の世代を戦争の惨禍から守るという、国連の設立目的の中心をなす理念と言えます」

過去10年間、国連では平和構築委員会、フェルナンデス=タランコ氏が率い同委員会を補佐する平和構築支援事務所、そしてフェルナンデス=タランコ氏が管理する平和構築基金が平和構築の役割を担ってきました。

国連内部の橋渡し役としての平和構築委員会

平和構築委員会は、15の理事国が主として世界の平和と安全の維持を担当する国連安全保障理事会、193の加盟国がすべて参加する総会、そして、14の国連専門機関と連携する経済社会理事会(ECOSOC)を仲介する「独創的な政府間機関」です。

フェルナンデス=タランコ事務次長補はUN News Centreのインタビューに答え、紛争後の対策から国連システム全体による予防措置に至る平和構築の進化、および、このシームレスな手法が紛争と課題に対する国連の取り組みをどのように促進するかについて語った

 

平和構築委員会には、国連に対する資金・兵員提供のトップ・ドナー国ほか、世界銀行や国際通貨基金(IMF)、さらには欧州連合(EU)やイスラム諸国会議(OIC)といった地域機関の代表も加わっています。

フェルナンデス=タランコ事務次長補は次のように語ります。「この独自の構成によって、委員会は加盟国との一定の会話を確保できる独創的なプラットフォームとなっています」

こうした会話では、単に紛争終結国だけでなく、国連の各部署がどのように連携を強化すれば、これら国々での紛争の再発を予防できるかという問題も取り上げられるようになりました。その目的は、国連システム全体に関わる平和構築が、平和と安全、人権、開発という3つの基盤を横断して機能できるようにすることにあります。

平和構築の現場はニューヨークではありません。フィールドです。しかし、ニューヨークは極めて重要な話し合いの場となり、外交の基盤として国際的、地域的アクターを支援することができます。

このアイデアは2016年4月、安保理と総会がほぼ同時に採択した画期的な決議S/RES/2282およびA/RES/70/262)(S/RES/2282の邦訳 および A/RES/70/262の邦訳)に盛り込まれています。この決議によって、平和構築は紛争後のプロセスから「紛争の発生、激化、継続および再発の防止をねらいとする活動」へと拡大し、しかも「紛争の全段階において国連の3本柱すべてを貫くものとすべき」ことが定められました。

その中には、紛争の根本的原因に取り組み、国民和解を確保し、当事国に復興、再建、開発への道のりを歩ませることも含まれています。

フェルナンデス=タランコ事務次長補によると、この決議は、平和構築委員会の役割をより一層、早期対応に軸足を置くものとして捉え直し、「その創造性と柔軟性、関与性をはるかに高める能力」を与えるものとなっています。

決議はまた、紛争の兆しが見えた時点で、国連がはるかに迅速な対応を行えるよう、国連各部署と地域グループやドナーとの橋渡しをするという平和構築委員会の役割に、さらに重点を置いています。

このように、平和構築は、対立する勢力の代表を話し合いの席に着かせ、コミュニティー内部での平和を構築するという従来の考え方だけでなく、武装解除や選挙支援、給水の援助、雇用創出など、基本的な安全に対する支援も含む理念となっています。

「加盟国の最近の議論は、平和構築委員会に直ちに実効性を高めるよう要求するものになっている」とフェルナンデス=タランコ事務次長補は指摘します。

全会一致で採択された国連平和構築体制に関する画期的な安保理決議2282により、国際社会は、平和構築を紛争後のプロセスから「紛争の発生、激化、継続および再発を予防することをねらいとする活動」へと拡大し、専門機関を含む国連と地域グループ、ドナーは、紛争の兆候への対応を迅速化することに注力できるようになった©UN Photo/Manuel Elias

全会一致で採択された国連平和構築体制に関する画期的な安保理決議2282により、国際社会は、平和構築を紛争後のプロセスから「紛争の発生、激化、継続および再発を予防することをねらいとする活動」へと拡大し、専門機関を含む国連と地域グループ、ドナーは、紛争の兆候への対応を迅速化することに注力できるようになった©UN Photo/Manuel Elias

総会も同日、実質的に同じ内容の決議を採択したため、この2件の決議によって、国連システム内で「持続的な平和(sustaining peace)」に焦点を絞る動きにさらに弾みがついた。画面に映っているのは、議事進行役を務めたモーエンス・リュッケトフト第70回国連総会議長©UN Photo/Loey Felipe

総会も同日、実質的に同じ内容の決議を採択したため、この2件の決議によって、国連システム内で「持続的な平和(sustaining peace)」に焦点を絞る動きにさらに弾みがついた。画面に映っているのは、議事進行役を務めたモーエンス・リュッケトフト第70回国連総会議長©UN Photo/Loey Felipe

「平和構築の現場はニューヨークではありません。フィールドです。しかし、ニューヨークは極めて重要な話し合いの場となり、外交の基盤として国際的、地域的アクターを支援することができます」フェルナンデス=タランコ事務次長補はこのように付け加えました。

国際的組織犯罪や薬物密売、過激主義など、国境をまたぐ課題を抱える国々にとって、この点は特に極めて重要な意味を持っています。

2件の決議はまた、事務総長に対し、持続的な平和の進捗状況について2017年に報告するよう求めることで、平和構築を国際社会の最優先課題に据えています。

アフリカでの平和構築:ギニアビサウ

ギニアビサウは、平和構築委員会の検討対象とされている国の一つです(他はブルンジ、シエラレオネ、ギニア、リベリア、中央アフリカ共和国の5カ国)。世界で最貧の20カ国に含まれるギニアビサウで内戦が終結したのは、1999年5月のことでした。以来、同国は政治的混乱からの脱出に努めているものの、憲法秩序が回復されてからわずか1年後の2015年、再び混乱に陥りました。

ギニアビサウが抱える大きな課題の一つとして、脆弱な制度が挙げられます。西アフリカにある同国は80を超える島々を抱えていますが、中には孤立しているものも多いため、麻薬密売人の格好のターゲットとなっています。国連薬物犯罪事務所(UNODC)によると、2005年以来、数十億ドル相当の薬物が西アフリカを経由して密輸されています。

平和構築委員会はギニアビサウ政府を支援し、法の支配強化に取り組んでいるほか、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)やEUなどの地域機関とも連携し、密輸の取り締まりを図っています。

「近隣国や地域機関と協力せずに、独力で平和構築の課題やニーズに取り組める国は、今日ではもうありません」とフェルナンデス=タランコ事務次長補は語ります。

安保理は7月28日、平和構築に関する閣僚級協議を開催します。議長は、7月の安保理議長国である日本の岸田文雄外相が務めます。

この協議では、アフリカにおける平和構築関連の課題、特に紛争予防の基盤となる制度構築が中心議題となる予定です。

UN News Centreでは、この安保理閣僚級協議の模様についてもお伝えします。

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最も頻繁に生じる平和構築ニーズとは?

  • 地雷対策、民間人保護、武装解除・動員解除・社会復帰、法の支配強化、治安セクター改革への着手など、基本的な安全への支援
  • 選挙プロセスを含めた政治プロセスへの支援、および、包摂的な対話と和解の推進
  • 水と衛生、保健、初等教育などの基本的サービス提供への支援、および、難民と国内避難民の安全かつ持続可能な帰還への支援
  • 基本的な行財政をはじめとする中心的な政府機能回復への支援
  • 特に若者や動員解除後の元戦闘員向けの雇用創出など、経済再生への支援

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原文(English)はこちらをご覧ください。

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