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「2300年の世界人口」報告書
人口部報告に関するプレスブリーフィング

プレスリリース 03/127-J 2003年12月19日

2300年の世界人口は現在よりも30億人近く増え、およそ90億人に達すると見られます。この「中位」予測は経済社会局のジョセフ・チャーミー人口部長が国連本部でのプレスブリーフィングで提示した「2300年の世界人口」報告書に収められています。
 
 国連本部ではこの報告書に関する専門家レベル会合が予定されています。報告書にはまた、同じ時期に関する「高位」「低位」および「不変」シナリオも含まれています。今から300年後の世界に焦点が当てられていること、および、大陸別ではなく国別の予測が行われていることという2点で、今回の報告書は従来の慣行から一歩踏み出すものとなっています。
 
 チャーミー氏は、報告書で示されたシナリオが2003年の世界ではなく、今日の世界で用いられるべきもので、リプロダクション(生殖)率と出生率のほか、死亡率と移住も考慮されていることに注意を促した上で、男女1組あたり子ども2人の平均リプロダクション(生殖)率を仮定した「中位」予測によれば、世界人口は2300年に約90億人で横ばいとなるだろうと述べました。
 
 しかし、「中位」シナリオと1組あたりの子どもの数を4分の1人だけ違えただけの「低位」および「高位」シナリオによれば、世界人口はそれぞれ20億人に低下することも、逆に360億人に膨れ上がることありえます。さらに興味深いことに、現在のリプロダクション(生殖)率が続けば、世界人口は何と1,340億人に達する可能性もあるのです。このシナリオによれば、人口密度は平均で1平方フィートあたり10人に達し、今日でもっとも人口過密な国をさらに数倍上回ることになります。
 
 チャーミー部長は再び「中位」シナリオについて、予測人口90億人のうち、アフリカが占める割合は現在の13%からほぼ25%へと倍増するのに対し、ヨーロッパの割合は現在の12~13%から約6~7%へ低下するだろうと指摘。高齢化との関連では、平均年齢が現在の26歳から2300年までに50歳へと上昇するであろうと述べました。また、60歳以上の高齢者が占める割合も、現在の10%から38%へと上昇することになります。
 
 300年後の予測を出したのは、気候変動やその他諸行動の帰結などの現象に取り組む関係者や科学者のニーズに応えるためだった、とチャーミー氏は説明。特に年齢構成、出生率および平均寿命の変動がいつ安定化するのかという点で、今回の報告は50年後、150年後の予測で示された動向の集大成となったとも付け加えました。
 
 予測される人口減少に対する各国の政策的取り組みに関し、チャーミー氏は、多くの先進工業国で出生率が人口補充水準を大きく下回っていることから、移住者の受入れを拡大した国々もあるとしながらも、出生率の上昇のみが長期的解決策であることを考えれば、これは短期的な対策にすぎないことを指摘。その一方で、出生率上昇を目的として財政インセンティブを与えたり、出産や子育てと両立できる勤務形態を導入したりする動きも見られると述べました。
 
 2075年あるいは2100年頃に出生率が全体的に人口補充水準に達するとの予測があるが、こうした出産行動変化の根拠は何かとの質問に対し、チャーミー氏は今のところ、出生率の低い国々が、20代前半の女性の出産先延ばしという現象を解決できると見られるからだと回答。政府が出生率引上げの措置を講じることも予測されていると述べました。
 
 報告書の予測に対するHIV/エイズの影響に関し、チャーミー氏は、中位予測で特にサハラ以南アフリカにつき、壊滅的な影響が考慮に入れられていることを指摘した上で、今後10年から50年の間に、エイズは人口増加に劇的な影響を及ぼすだろうと発言。2050年の世界人口推計の引下げ幅4億人のうち半分はエイズの影響によるものだとしました。現在の感染者が今後死亡することから、エイズによる死者数は増大すると見られています。
 
 しかし、長期的にはエイズの影響は限られたものになると予想されています。行動の変化、および、治療と予防の改善に関連する仮定では、エイズが今日の結核やマラリアなどの病気と同じく、風土病の一種となることが示されています。
 
 チャーミー氏は引き続き、地政学的側面に関し、国連改革などの問題を検討中の人々は、人口変動の予測を考慮すべきだと発言。第2次大戦後、パキスタンの人口はロシア連邦の3分の1に過ぎなかったのに対し、今世紀半ばまでに、パキスタンの人口はロシア連邦の3倍になるだろうとの実例を示しました。アフリカについても同じような動きが予測されています。
 
 最後に、「低位」あるいは「高位」シナリオよりも「中位」シナリオが実現する可能性はどれだけ高いのかとの質問に対し、チャーミー氏は、慎重な人口学者であれば、各シナリオの確率を同じと見るであろうことを認めた上で、子どもが欲しい人々は多いものの、人口補充出生率は当面の間、達成されないだろうとの個人的な見解を表明しました。よって、2300年の90億人という人口予測は少なくとも的外れではない、というのが同氏の見方です。

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