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激動の時代に「国連の活動がかつてないほどに必要」:国連事務総長が訴え(UN News 記事・日本語訳)

2022年11月14日

ウクライナ、リヴィウの主要鉄道駅を出発する母子© UNICEF/Giovanni Diffidenti

 

2022年9月15日-アントニオ・グテーレス国連事務総長は、国境を越えて広がる課題として、長引く新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック、ウクライナでの戦争、深まる気候危機に言及し、「過去一年で、根深く相互に結びついた複数の危機はその規模と深刻性を一層増し、国連の活動がかつてないほどに必要とされている」と訴えました。

 

グテーレス事務総長は、国連総会の開幕を翌週に控えた9月15日に年次報告書を発表。パンデミックが続く中、低所得国のワクチン接種率は20%に満たず、その復興にもばらつきがあると指摘しました。

さらに、ウクライナでの戦争が、同国内およびはるか遠くに暮らす何百万もの人々を苦難に陥れ、気候危機による影響や長きにわたる不平等を世界中で増幅させています。

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これらすべてのことを念頭に、グテーレス事務総長は報告書の序文で次のように強調しています。「国連は2021年を通じて、国際協力と連帯のプラットフォームとしてステークホルダーを招集した。とりわけ、貧困の削減や気候変動への取り組み、エネルギーおよびデジタル変革の推進、食料システムの改革に向けたグローバルなアドボカシーと協力を推進した」

また、「国連システムが一丸となって政策の選択肢と解決策を提案し、戦略策定を支援し、最前線にいる人々や取り残された人々の声を拡げた」と指摘しています。そして、不平等を是正し、持続可能な開発投資を大規模に推進するための資源と行動協力を結集し、各国を正しい軌道に戻す国連の取り組みにも言及しています。

持続可能な開発目標(SDGs)は、すべての人にとってよりよい、より持続可能な未来を築くための青写真©UNDP

 

『私たちの共通の課題(Our Common Agenda)』

さらに、事務総長は次のように述べています。『私たちの共通の課題(Our Common Agenda』に関する画期的な報告書を通じて、「国連は『持続可能な開発のための2030アジェンダ』と『持続可能な開発目標(SDGs)』に基づき、また人権に下支えされた、より公平で強靭、かつ持続可能な世界を築くための国、地域および世界レベルでの解決をめざす長期的な提言を行い、前進を図っている」

事務総長によれば、この報告書には「社会的結束と連帯を強化し、危機を予防・管理し、安全に対する現在の脅威と新たな脅威に取り組む方法に関する提案が含まれている」「これを受けて、加盟国はただちに進めることができる提案の承認を行うとともに、『私たちの共通の課題』を実現するためにさらなる活動や対話が必要な提案に全面的に取り組んでいる」のです。

ウクライナに関する深夜の緊急会合を開催する安全保障理事会© UN Photo/Mark Garten

「極度の緊張」にさらされている平和と安全

また、「直近のウクライナでの戦争が表すように、国際の平和と安全の構造は、極度の緊張にさらされている上、集中する脅威、地政学的な戦略上の競合、組織的な不平等が、暴力に巻き込まれた人々以外にも壊滅的な結果を招いている」と事務総長は述べています。

そして、「国連は、紛争を予防・緩和・管理・解決し、民間人を保護し、女性と子どもが直面する脅威に立ち向かい、紛争や危機を脱して持続可能な開発と平和へと向かう道筋を構築する様々な方法を展開した」とし、「例えば、イエメンでは国連が更新可能な2カ月間の停戦を円滑に進めたため、国内の暴力が減少した」と指摘しています。

さらに、「ウクライナで戦争が勃発した後、私たちは国連憲章に沿った同国の主権、独立、および領土の保全を支持するとともに、国際法の遵守と説明責任の必要性を一貫して述べてきた。また、世界的な食料危機への取り組みを支援するために、穀物やその他の食料品、肥料の円滑な輸出を促進する交渉にも積極的に関わった。その結果、国連の後援の下でウクライナ、ロシア連邦、トルコが2022年7月22日に黒海穀物イニシアティブに調印した」と語っています。

モガディシュとその周辺で、過激派組織アル・シャバーブの影響を受けた民間人を治療する診療所で診察を待つソマリアの女性と女児たち© UN Photo/Stuart Price

 

人道的活動

「国連の人道支援活動の目的は、新たな紛争や長期化する紛争、壊滅的な自然災害、気候変動の副次的な影響、COVID-19のパンデミックの影響によって困窮している何百万もの人々を支援することだ」と事務総長は述べています。

2021年に国連が調整した対応計画には、60カ国におよぶ1億7,400万人の救命支援と保護に377億ドルが必要でした。ドナー国からの惜しみない支援と国連のパートナーによって、国連は過去最高の202億5,000万ドルを動員し、約1億700万の人々に支援を届けました。

「女性と女児に対する差別を終わらせるための国連の取り組みに、『平等を目指す全ての世代フォーラム』が採り入れられた。このフォーラムは、政策、計画立案、アドボカシーに関する誓約と400億ドルの財務コミットメントを促進した」事務総長はこのように指摘したうえで、ジェンダーに基づく暴力の防止やサバイバーへの対応に関する行動を結集するための国連活動の一環として、「スポットライト・イニシアティブ」が市民社会と女性の草の根組織に4,800万ドルを割り当て、世界30カ国以上で女性と女児に対する暴力を根絶する国家行動計画を強化したと述べています。

「世界子どもの日」を記念する特別イベントで平和を呼びかける紙を掲げる、世界各国から集まった若者たち© UN Photo/Manuel Elías

 

国連の活動が「かつてないほどに必要とされている」

あらゆる取り組みにおいて、国連はその憲章、人権の枠組み、持続可能な開発目標(SDGs)、「および自然と調和しながら、すべての人々にとって持続可能な平和で包摂的な未来と繁栄を確保し、誰一人取り残さないことを目指して国際的に合意されたその他の公約」に常に導かれている、と事務総長は述べています。

「この激動の時代に、国連の活動がこれまで以上に必要とされている。危機が起きてから対応する事後的なアプローチでは、世界の人々の期待を裏切ることになると痛感している」

今後を見据え、グテーレス事務総長は次のように強調しています。これからの一年間、「国連は危機を予防し、リスクを管理し、すべての人々にとって持続可能な未来を築くために、報告書『私たちの共通の課題』で示した長期戦略を追求しながら、強靭性を構築し、苦難を軽減することを引き続き支援する」

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原文(English)はこちらをご覧ください。

【関連資料】事務総長報告『私たちの共通の課題(Our Common Agenda)』概要の日本語訳