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国連ミレニアム開発目標(MDGs)2013 【概観】

プレスリリース 13-037-J 2013年07月03日

ミレニアム開発目標(MDGs)の達成期限が近づく中、グローバル経済・金融危機の影響にもかかわらず、多くの分野で進展が見られています。各国政府、国際社会、市民社会、民間部門が本格的な取り組みを続ければ、いくつかの重要目標は2015年までに達成されるでしょう。とはいえ、十分な進展が見られているとは言い難い分野も多くあります。特に最も遅れが目立つ地域では、前進を一気に速め、最大限の前進を達成するため、なお一層の取り組みが緊急に必要とされています。国際社会は、これまでの実績を誇りにしつつ、今の勢いをさらに強めることで、2015年までにできるだけ多くの目標を達成し、すべての人にとっての前進を実現すべきです。

MDGs ― 達成を遂げた、または達成に近づいた諸目標
                                             
・世界的に、極度の貧困の中で暮らす人々の割合は半減
世界は期限より5年早く、貧困削減目標を達成しました。開発途上地域では、1日1ドル25セント未満で暮らす人々の割合が、1990年の47%から2010年の22%へと低下しました。1990年から2010年にかけ、極度の貧困状態で暮らす人々はおよそ7億人減ったことになります。

・20億人以上が改良飲料水源にアクセス
過去21年間で、21億人以上が改良された飲料水源を利用できるようになりました。全世界で飲料水として改良された水源を利用する人々の割合は、1990年の76%から2010年には89%にまで上昇しました。飲料水に関するMDGs目標は、急激な人口増にもかかわらず、期限より5年早く達成されたことになります。

・マラリア、結核対策でも長足の進歩
2000年から2010年にかけ、マラリアによる死亡率は全世界で25%以上低下しました。この期間に110万人がマラリアによる死亡を免れたと見られます。結核による死亡率も、全世界レベル、また、いくつかの地域で、2015年までに1990年の水準の半分に低下する見込みが大きくなっています。1995年から2011年にかけ、結核患者延べ5,100万人の治療が成功し、2,000万人の命が救われました。

・開発途上地域の都市と大都市圏では、スラム居住者の割合が減少中
2000年から2010年にかけ、2億人以上のスラム居住者が改良水源、衛生施設、耐久性のある家屋または十分な居住空間を手に入れたことで、1億人というMDGs目標を超える成果が達成されました。全地域の多くの国々で、都市部スラム居住者の割合削減に大きな進展が見られています。

・債務負担の軽減と貿易環境の改善で、開発途上国にとって公平な競争条件が実現
全開発途上国の輸出収入に対する債務返済額の割合は、2000年の約12%から2011年には3.1%にまで低下しました。2011年には関税免除の市場アクセスも拡大し、輸出全体の80%に達しました。後発開発途上国の輸出品は、最も大きな恩恵を受けています。平均関税率も史上最低の水準にあります。

・飢餓削減目標達成まであと少し
全世界の栄養不良者の割合は、1990~1992年の23.2%から、2010~2012年の14.9%へと低下しました。取り組みに再び拍車がかかっていることから、2015年までに飢餓に苦しむ人々の割合を半減させるという目標は、達成可能と見られます。とはいえ、世界では今でも8人に1人が慢性栄養不良の状態にあります。

多くの分野で、進展の加速とさらに大胆な行動が必要
                                              
・環境の持続可能性に対する深刻な脅威で、新たなレベルのグローバル協力が必要に
全世界の二酸化炭素(CO2)排出量は加速度的に増大し、現在の排出量は1990年の水準を46%以上も超過しています。森林の消失も恐ろしいペースで続いています。海洋漁業資源の乱獲により、漁獲高も減少しています。保護区に指定されている陸地と海洋の面積は増えているものの、個体数と分布がともに縮小していることで、鳥類、哺乳類などの生物種がますます速いスピードで絶滅へと向かっています。

・幼児生存率の大幅改善にもかかわらず、最若年世代に対する義務は果たせず
世界的に、5歳未満の幼児死亡率は、1990年の出生千人当たり87人から、2011年には51人へと41%減少しました。この目覚しい成果にもかかわらず、2015年までに幼児死亡率を3分の2削減するという目標を達成するためには、さらに進展が必要です。幼児の死亡は、最貧地域の生後1カ月以内の乳児にますます集中する傾向にあります。

・ほとんどの妊産婦死亡は予防可能にもかかわらず、この分野での進展は不十分
全世界の妊産婦死亡率は、1990年の出生10万人当たり400人から、2010年の210人へと、この20年間で47%低下しました。4分の3の削減というMDGs目標を達成するためには、加速度的な介入の拡大と、女性と子どもに対する政治的支援の強化が必要となります。

・抗レトロウイルス療法とHIV感染予防に関する知識の拡大を
新規のHIV感染件数は減少しているものの、2011年末時点でのHIV感染者数は3,400万人に上ると見られます。2010年までに抗レトロウイルス療法を必要な人々全員に普及するというMDGs目標は達成できませんでしたが、今のペースで前進が続けば、2015年までにこの目標を達成することは可能です。最終的な目標はHIVのまん延を防止することにありますが、HIVと感染防止に関する知識は許しがたいほど低い水準に止まっています。

・初等教育を受ける権利を奪われた子どもの数は依然として過大
2000年から2011年にかけ、学校に通えない子どもの数は1億200万人から5,700万人へとほぼ半減しました。しかし、学校に通えない子どもの数の減少ペースは、ここに来て大きく落ち込んでいます。進展が行き詰まったことで、2015年までに全世界で初等教育を完全普及させるという目標達成の見込みは遠のいています。

・衛生分野で目覚しい成果も、まだ不十分
1990年から2011年にかけ、19億人が公衆便所、水洗トイレその他の改良衛生施設を利用できるようになりました。こうした成果にもかかわらず、MDGs目標の達成には、より大幅な進展が必要となっています。そのカギを握るのが、屋外排便をなくすことと、適切な政策を策定することです。

・援助資金の総額減少で、最貧国に最も大きな悪影響
2012年の先進国から開発途上国への正味援助額は、合計で1,260億ドルとなりました。2011年に比べ4%の減少となっていますが、2011年の援助総額も2010年の水準を2%下回っていました。この減額で不当に大きな影響を被っているのが、後発開発途上国です。2012年の後発開発途上国に対する二国間政府開発援助(ODA)は13%減少し、約260億ドルとなっています。

一層の改善の妨げとなることが多い格差を注視する必要

・縮まらぬ農村・都市格差―リプロダクティブ・ヘルス・サービスやきれいな飲料水へのアクセスは最たる例
2011年、農村部での出産に熟練医療従事者が付き添った割合は、53%にすぎませんでしたが、都市部ではこの割合が84%に上っています。改良飲料水源を利用できない人々の83%は、農村コミュニティで暮らしています。

・最貧層の子どもたちが学校に通えない傾向
最貧層世帯の子どもが学校に通えない確率は、最富裕層世帯の少なくとも3倍に上ります。小中学校就学年齢の子どもについては、最富裕層世帯を含め、女児のほうが男児よりも学校に通えない確率が高くなっています。

・決定権限でジェンダー間の格差続く
政府の最高意思決定レベルから家庭に至るまで、公的領域、私的領域を問わず、女性は依然として、自らの暮らしに影響する決定に男性と平等の立場で参加する機会を奪われています。

2015年までのMDGs達成をグローバルな優先課題とし、将来的な開発行動に向けた安定的基盤の整備を   
                                              
繁栄、平等、自由、尊厳、そして平和が共存する世界を実現するための取り組みは、2015年以降も続くことになります。国連は政府や市民社会その他のパートナーと連携することで、MDGsによって生まれた勢いをさらに強め、野心的ながら現実的なポスト2015年開発アジェンダを策定しようとしています。MDGsを成功のうちに締めくくることは、これに続く開発アジェンダにとって重要な礎石となります。また、これまでに得られた経験や教訓は、継続的な進展への見通しをさらに高めることでしょう。

この報告書の幅広い統計データに基づく分析は、MDGsの多くが、すべてのステークホルダーによる行動の集約によって達成されたことを示しています。その一方で、多くの課題も積み残されています。この報告書の結果は、2015年という達成期限までに残されたわずかな期間に、私たちの取り組みをどこに向けなければならないかを明確に示してくれています。

呉紅波
経済社会担当事務次長

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