本文へスキップします。

  • プリント

ここから本文です。

デジタル協力の拡大は「生死に関わる問題」であることをCOVID-19が明らかに(UN News・日本語訳)

2020年08月18日

デジタル協力の拡大は「生死に関わる問題」であることをCOVID-19が明らかに

2020年6月11日-新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的大流行を見せる中、必須の医療情報にアクセスできない人々にとって、デジタル格差の管理改善が「生死に関わる問題」になっている ― アントニオ・グテーレス国連事務総長は、急速なテクノロジーの変化に関するオンラインでのハイレベル会合でこのように述べました。

「COVID-19は、デジタル協力の緊急性から私たちの目を逸らすどころか、この協力がこれまでになく重要になっていることを明らかにするとともに、私たちが直面する課題が相互に結びついていることを実証しています」グテーレス国連事務総長は、国連総会で開催中の「急速なテクノロジーの変化が持続可能な開発目標(SDGs)とそのターゲットに及ぼす影響に関するテーマ別ハイレベル討論」で、このように発言しました。

事務総長は、ワクチン研究やオンライン学習モデル、電子商取引(eコマース)、在宅勤務ツールなど、COVID-19の世界的大流行(パンデミック)への対応のほぼあらゆる側面で、デジタル技術が中心的な役割を担うことを指摘したうえで、オンラインにアクセスを持つ人と持たない人の間に存在するデジタル格差が「不平等の新たな顔」として、女性と女児、障害を持つ人々、そして「あらゆる種類の少数者」が受ける社会的、経済的不利益をさらに大きくしかねないことを指摘しました。

 

コロナ後のロードマップ

グテーレス事務総長はこの会合で、コロナ後の世界に対する社会的影響は、まだわかり始めたばかりだと述べました。

「しかし、一つだけ確かなのは、私たちが復興と再建を進める中で、デジタル技術がこれまでにも増して、さらに顕著かつ重要になるだろうということです」

事務総長は、インターネットにアクセスを持たない人々が、さらに置き去りにされてしまうという危惧を表明するとともに、デジタル協力に関するハイレベルパネルによる2018年の報告書が、テクノロジーの最適化と同時に、その潜在的な負の影響の緩和を取り上げていることに触れました。

そして、今のデジタル時代にふさわしい人的・制度的能力の向上、デジタル環境における人権の擁護、サイバートラストとサイバーセキュリティの構築、デジタル協力に関する新たなグローバル体制に関する合意を含め、デジタル格差を縮めるための報告書の提言がすべて、同じくきょう発表された国連のデジタル協力のためのロードマップに盛り込まれていることも明らかにしました。

「グローバルな協力を結集することで、デジタル格差を縮め、潜在的な害悪を減らさない限り、私たちがデジタル時代の利益を全面的に得ることはできません」事務総長はこのように主張しています。

グテーレス事務総長は「地球規模のビジョンとリーダーシップ」が緊急に必要とされていることを強調したうえで、今回のロードマップは「デジタル時代の人間をつなげ、尊重し、保護する」ため、ともに具体的な行動を取るよう、あらゆる人に呼びかけるものだと述べました。

「私たちが今という、これまでに例を見ない時につかんだチャンスを活用できたかどうかは、将来の世代が判断することになるでしょう」事務総長はこう締めくくっています。

 

SDGsの達成に大きな影響

ティジャニ・ムハンマド=バンデ第74回国連総会議長は、開会の辞で、COVID-19のパンデミックによって、誰もが「働き方、教え方、学び方、さらには死者の悼み方や人の癒され方さえも変える」よう強いられていることを認めました。

ムハンマド=バンデ議長によると、デジタル格差の問題点には、アクセスにどのような不平等があるのかということだけでなく、急激なテクノロジーの変化がいかにして、このような格差を広げかねないかということも含まれています。

「認識の欠如や接続コストの高さにより、教育の機会が失われかねません」議長はこう述べるとともに、「すでに今世紀を決定づける特徴となっている」デジタル・リテラシーは、社会が人権から気候危機 (目標13)に至るまで、SDGsを全体的に包含する将来的課題にいかに取り組むのかを決定づけることになると付け加えました。

総会議長はまた、「貧困(目標1)と飢餓(目標2) を根絶し、すべての人に質の高い教育を実現する(目標4)ことが、以前よりもさらに急務になっている」とも述べています。

このような背景から、議長は「その経済的、社会的、倫理的影響を含め、急激なテクノロジーの変化への配慮と対応」を確保する責任が、国際社会にあると主張しました。

 

影響は女性にも

ムハンマド=バンデ総会議長はまた、女性と女児のデジタル世界への全面的参加(目標5)に対する障壁除去のペースを速める必要性も重視し、「安価で質の高い教育へのアクセス制限と、文化的規範が依然として、多くの女性のデジタル分野への進出を阻んでいる」ことを強調しました。

また、2020年がSDGsに関する「行動の10年」の初年にあたることを指摘したうえで、「持続可能な開発のための2030アジェンダを達成するという、私たちの約束を見失わないよう、気を引き締めなければならない」とも述べています。

「私たちは、最新テクノロジーの将来性をSDGsの達成加速に向け、しっかりと活用しなければなりません」総会議長はこのように締めくくりました。

* *** *

原文(English)はこちらをご覧ください。

【関連記事】国連事務総長、国際社会にデジタル協力の拡大を呼びかけ(プレスリリース・日本語訳)

 

COVID-19 RESPONSE