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国連、グローバル・ヘルスに関する「これまでで最も包括的な合意」を歓迎(UN News 記事・日本語訳)

2019年10月08日

世界保健機関(WHO)やその他のパートナーによる支援を受け、モザンビーク保健省がベイラで実施したコレラ予防接種キャンペーン(2019年)© OCHA/Saviano Abreu

アントニオ・グテーレス事務総長は9月23日、各国が4つの主要なプライマリー・ヘルス・ケア分野の完全普及に向けて努めることを約束したユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に関する国連の政治宣言を「すべての人に健康を届けるための旅路」において「重要なランドマーク」であると述べ、これを歓迎しました。

各国首脳と閣僚、保健分野のリーダーや政策立案者、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進者が一堂に会した会合で、事務総長はUHC政治宣言を「グローバル・ヘルスに関して成立したこれまでで最も包括的な合意であり、2030年までにUHCを達成するためのビジョン」であると評価しました。

世界のリーダーたちは、国連総会ハイレベルウィークの冒頭にあたり「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:より健康な世界をともに築こう(Universal Health Coverage: Moving Together to Build a Healthier World)」をテーマで開かれた会合で、この公約を発表しました。

事務総長は、この「顕著な成果」により、今後10年間でHIV/エイズ、結核、マラリアを含む感染症への取り組みと同時に、充実した強靭なプライマリー・ヘルス・ケア・システムを通じ、非感染性疾患や、抗菌薬耐性という脅威の高まりに対処するという点でも、前進が後押しされることになると語りました。

「政治宣言は、性と生殖に関する医療や権利に対する普遍的アクセスを確保する必要性も明言しています」事務総長は続けて、このように述べています。「女性と女児の福祉と尊厳を守ることは欠かせません」

事務総長は、UHCの実現に向けて「投資のペースを速める」ため、緊急な「財源のパラダイム・シフト」を求めています。

事務総長は「各国の大胆なリーダーシップ」の重要性を強調し、「みんなで、すべての人に健康を届けていこうではありませんか」と述べました。

特権ではなく、普遍的な権利

ティジャニ・ムハンマド=バンデ第74回総会議長は開会の辞で、必須の医療サービスへのアクセスを「特権ではなく、普遍的な権利としなければならない」と強調しました。

「私たちが合意したSDGs(持続可能な開発目標)を達成するためには、世界各国が医療研修、医療インフラ整備などの点で、相互に恩恵を得られるようにしなければなりません」総会議長はこのように述べています。

さらに、人々が「手ごろな価格で予防的、治療的、回復的医療サービス」を利用できるようにすることで「あらゆる人により健康な生活」を保証するため、「私たちの保健制度を強化する」ことにこそ、UHCの目標があると語りました。

総会議長によると、質の高い医療を手に入れるため、加盟国は「統合的で効率的、かつ安全で人間中心のケア」などを通じて相互の支援を図るとともに、「とりわけ疾病の予防をはじめ、恩恵をさらに得られるようにする」ための投資を継続しなければなりません。

議長は結びで、私たちが直面する「深遠な」課題に触れ、次のように述べました。「私たちが国際協力を維持し、その強化に努め、すでにある機会を活用しつつ、さらに多くの機会を作り出すことができれば、こうした課題を一緒に解決できると確信しています」

「政治的な選択」

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とは、すべての人がその支払能力に関係なく、必要な時に、必要な場所で、金銭的苦境に陥ることなく、必要な医療を受けられることを指します。

テドロス・アダノム・ゲブレイェスス世界保健機関(WHO)事務局長は、この歴史的な会合で世界のリーダーを前に、UHCは「政治的な選択であり、世界のリーダーはきょう、その選択を行う用意があることを示した」と述べました。

この宣言の前日、WHOとパートナーは、今後2030年までに健康保険の対象者を2倍に増やさなければ、最大で50億人が十分なサービスを受けられなくなると警告していました。

加盟国は宣言の採択にあたり、医療費の自己負担による金銭的苦境を防ぐための政策への投資を約束しました。そこには、病気を予防し、女性と子どもの健康を守るという点で、インパクトの大きい保健介入を実施するというねらいもあります。

人間開発面での成果

一方、デイビッド・マルパス世界銀行グループ総裁はこの会合で、世界銀行と国際金融公社(IFC)が「作業の性質の変化」に鑑み、22カ国の数千万人に金融保護を提供すべく、「モバイル医療保険プラットフォームの展開を支援」していることを明らかにしました。

「健康上のアウトカムを改善するためには、健康以外のところにも目を向けねばなりません」総裁はこう警告しています。「そのためには、教育の改善、社会事業の拡大、雇用の創出により、コミュニティーを支援しなければなりません」

マルパス総裁によると「子どもの成長阻害、女子教育、家族を脆弱な状態で放置する社会的セーフティーネットの不備」などの問題に取り組まなければ、保健施設やワクチン、ヘルス・テクノロジーへの投資が「無駄になって」しまいます。

また、ビル&メリンダ・ゲイツ財団のメリンダ・ゲイツ共同会長は「約束を結果」に変える上で、「本格的な仕事に取りかかるべき」時は今だと断言しました。

「私たちのすべてに果たすべき役割があります」ゲイツ氏はこう語っています。「ドナーと各国政府は、これまでのやり方から一歩踏み出し、大多数の人々のニーズに一生取り組むプライマリー・ヘルス・ケア制度の拡充を図る必要があります」

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に関する第74回総会ハイレベル会合(2019年9月23日)© UN Photo/Kim Haughton

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原文(English)はこちらをご覧ください。