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人身取引(特に女性と子ども)に関する特別報告者の訪日 2009年7月12-18日

プレスリリース 09-033-J 2009年07月16日

訪日の概要と目的

特別報告者のジョイ・ヌゴジ・エゼイロ氏は2009年7月12日から18日にかけて来日し、日本における特に女性と子どもの人身取引被害者の人権について調査する予定です。特別報告者は東京と名古屋で政府代表やNGOその他の市民社会メンバーと会談します。今回の訪日の目的は、これら多様な関係者と接触し、立法や統計情報、考えられる根本的な原因、さらには国際的、地域的な人身取引対策協力など、人身取引関連の幅広い問題に関する情報を収集することにあります。特別報告者はまた、人身取引被害者の社会復帰や被害者が受けた人権侵害の救済に向けて日本政府やパートナーが講じている措置を含め、被害者に対する保護と支援についても重点的に調査する予定です。

特別報告者の調査権限

特別報告者には下記を含め、人身取引のあらゆる形態と兆候を調査する権限があります。

(1)子どもの人身取引:性的搾取や養子縁組、労働(家事、子守り、物乞い、薬物密売をはじめとする犯罪行為など)、さらには武力紛争への参加(傭兵や子供兵士、性的奴隷として)を目的とした子どもの人身取引が行われています。当初、性的な目的で取引されるのは女子だけだと考えられていましたが、スポーツなど思いもよらない分野で男子が取引され、性的搾取を受けるという事件が急増する中で、こうした従来の考え方は成り立たなくなっています。

(2)強制労働その他の搾取を目的とした男性の人身取引:大きな関心の的とはなってこなかったこの種の人身売買も、増加の一途をたどっているのが現状です。建設や農業のほか、漁業や鉱業でも、労働搾取を目的とした男性と男子の人身取引が目立っています。

(3)強制結婚や強制売春、性的搾取、強制労働(家事、工場や炭鉱での労働その他の労働形態を含む)を目的とした女性と女子の人身取引:性的目的の人身取引に大きな関心が寄せられ、入手できる人身取引データもこの側面に集中していることは、無理からぬことといえます。特別報告者は特に、家事労働その他の部門での労働搾取を目的とした女性の人身取引について、さらに調査を行う予定です。

(4)臓器や身体の一部、細胞組織を目的とした人身取引:この種の人身取引について、事実や数字をつかむことはきわめて困難ですが、市場の発達で増大の傾向が見られることから、適切な介入枠組みを作るという意味で、綿密な調査が必要です。

(5)その他、儀礼目的での人身取引や受刑者の人身取引なども、散発的に見られています 。

人身取引 – 国際レベルでの概観

「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(特に女性と子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書」は「人身取引」を次のように定義しています。

「搾取の目的で、暴力その他の形態の強制力による脅迫もしくはその行使、誘拐、詐欺、欺もう、権力の濫用もしくは脆弱な立場に乗ずること、または、他の者を支配下に置く者の同意を得る目的で行われる金銭もしくは利益の授受の手段を用いて、人を獲得し、輸送し、引き渡し、ぞうとく蔵匿し、または収受すること。搾取には、少なくとも、他の者を売春させて搾取することその他の形態の性的搾取、強制的な労働もしくは役務の提供、奴隷化もしくはこれに類する行為、隷属または臓器の摘出を含める」

117国以上がこの議定書(パレルモ議定書)に署名しています。日本はパレルモ議定書(2002年12月に採択)に署名していますが、まだ批准はしていません。

特別報告者は権限の遂行にあたり、「人権と人身取引について推奨される原則とガイドライン(Recommended Principles and Guidelines on Human Rights and Human Trafficking)」も参照します。この原則とガイドラインは人権高等弁務官事務所(OHCHR)が、人身取引とその被害者の保護に関する実用的で権利重視型のアプローチによる政策指針を提供し、人身取引を防止するための国内、地域および国際レベルの法律や政策、介入に人権の視点を簡単に盛り込めるようにすることを目的に策定したものです。

世界的なレベルでは、国連薬物犯罪オフィス(UNODC)が2007年3月、アラブ首長国連合の名義で寄せられた無償資金協力により「人身取引と闘う国連グローバル・イニシアティブ(UN.GIFT)」を発足させました【http://www.ungift.org/ungift/index.html 参照】。このイニシアティブは国際労働機関(ILO)、国際移住機関(IOM)、国連児童基金(ユニセフ)、人権高等弁務官事務所(OHCHR)、全欧安保協力機構(OSCE)との協力により運営されています。UN.GIFTは、グローバルな問題には全世界各国の取り組みを土台とするグローバルな多角的戦略が必要だという原則に基づいています。利害関係者には、実施中の取り組みを調整し、知識と認識を高め、技術援助を提供すること、国家・非国家主体の能力を育成すること、共同歩調をとるためのパートナーシップを作り上げること、そして何よりも、各々がこの闘いで確実に責任を果たすことが求められます。UN.GIFTは政府、企業、学界、市民社会、メディアなど、あらゆる利害関係者と連携し、相互の活動支援、新たなパートナーシップの構築、さらには効果的な人身取引対策手段の開発を図っています。

2009年5月13日、国連総会は「人身取引を終わらせるための集団行動」に関する双方向テーマ別対話(Interactive Thematic Dialogue)を開催しましたが、これには特別報告者も参加しています。
【http://www.un.org/ga/president/63/interactive/humantrafficking.shtml 参照】

特別報告者略歴

ナイジェリア出身のジョイ・ヌゴジ・エゼイロ氏は2008年8月1日、人身取引(特に女性と子ども)に関する特別報告者に就任しました。エゼイロ氏は人権を専門とする弁護士で、ナイジェリア大学の教授も務めています。また、エヌグ州女性問題・社会開発省名誉委員、国家政治改革会議代表など、政府の要職も歴任しています。さらに、各種国際機関の顧問を務めた経験があるほか、特に女性の権利に関するNGOの活動にも携わっています。人権や女性の権利、シャリア法など、さまざまな分野で幅広い著作もあります。

特別報告者の人権理事会に対する年次報告書(2009年3月提出)は以下のサイトでご覧になれます。
【http://www2.ohchr.org/english/issues/trafficking/docs/HRC-10-16.pdf】

人身取引(特に女性と子ども)に関する特別報告者の権限について、さらに詳しくは、人身取引(特に女性と子ども)に関する特別報告者ウェブサイトをご覧ください。
【http://www2.ohchr.org/english/issues/trafficking/standards.htm 参照】

特別報告者は2010年初頭に開催される人権理事会次会期で、訪日報告書を提出する予定です。

さらに詳しい情報については以下にお問い合わせください。
For more information, please contact Valentina Milano
Phone: +41 79 444 6129, e-mail: vmilano@ohchr.org

Office of the High Commissioner for Human Rights – Media Unit
Rupert Colville, Spokesperson: + 41 22 917 9767
Xabier Celaya, Information Officer: + 41 22 917 9383

For inquiries and media requests: press-info@ohchr.org

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