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国連アカデミック・インパクト参加大学に聞く 東北大学編①

2013年01月21日

国連広報センターは2012年11月下旬、東北大学を2011年の国連デーから1年ぶりに訪れ、大学の震災復興と持続可能な社会の実現に向けた取り組みについて視察しました。震災後1カ月という早い段階に「災害復興新生研究機構」を立ち上げ、大学が一丸となって進めているプロジェクトについて、震災復興推進担当理事を務める原 信義先生からお話を伺いました。

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「災害復興新生研究機構が目指すのは、学術横断的な調査・研究を通して人類に共通する災害復興問題への貢献をすることです。世界の中で、これだけの災害を経験した唯一とも言える大学として、私たちはその成果を社会に還元しながら復興に役立ちたいと考えています」。原先生はまず、この度の震災で大きな被害を受けた東北、ひいては日本の復興の先導を目指す大学のミッションについて熱く語り始めました。

災害は、地球上どこにでも起こり得るもの。人類社会が持続可能性を追求する上で、今日日本が直面している困難は、いずれも世界が直面する可能性のある課題です。原先生は、文理にわたり10の学部・16の大学院・6の研究所を持つ東北大学の「総合力」を強みとして復興に貢献したいと述べています。「研究が進めば、日本に限らず世界の防災、減災に役立つ情報を発信できます。プロジェクトには10年程度の通常より長い時間をかけて、しっかりと行っていきます」

これらプロジェクトは、行政、地域、企業など幅広いパートナーと連携をはかりながら、東北大学の教員と学生が中心となって行っていきます。「災害復興新生研究機構」の下、8つの分野で進められているプロジェクトは以下のとおり。

1)世界的な災害科学の研究拠点として「災害科学国際研究所」を設け、文理融合型の国際的な研究を推進する

2)地域医療を担う医療人を育成、被災地住民の長期的な健康調査を含む複合バイオバンク事業を展開し、地域医療の再生・復興に貢献する

3)東北復興のための次世代エネルギー研究開発により、災害に強い先進的な街づくりを推進する

4)東日本大震災で浮き彫りになった情報通信インフラの問題点を解決していく

5)漁業や水産業の復興のために、地震と津波が海洋環境・海洋生態系に与えた影響を調査する

6)放射性物質によって汚染された生活環境の復旧技術の開発、および、被災動物の放射線量を評価し生態系への影響を調査する

7)東北地域の産業と社会の復興のために、政策提言や課題解決のための情報発信を行うとともに、地域の産業復興に貢献できる革新的なプロデューサーを育成する

8)被災地の経済復興の基本となる産業基盤の革新・強化を行うため、大学の持つ技術やノウハウを活用し、事業化などを図る

これら8つの分野の中で、特に原先生が強調されたのは「災害科学国際研究所」の新設についてです。「この研究所は、世界への情報発信と連携も主眼としています。なぜなら、未曾有の被災をもたらした東日本大震災規模の災害に対して、巨大災害への備えのパラダイムを作り上げることは、東北大学の単独の力では到底不十分だからです。被災地はもとより国内外の大学、企業、自治体などとの連携が欠かせません。その意味で、UNAIの枠組みで積極的に発信することも考えたいと思っています」と原先生は、大学の意欲的なビジョンを語りました。

これに加え、東北大学教職員が自主的に取り組む復興支援プロジェクトとして「復興アクション100+」も実施されています。この度、国連広報センターが視察した「食・農・村の復興支援プロジェクト」もそのひとつです(このインタビューについては、別途詳しくお伝えします)。

東日本大震災の被災地域の中心にある総合大学、東北大学。原先生のお話から、復興に全力投球する大学の使命感をひしひしと感じました。

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【関連資料】

東北大学、国連アカデミック・インパクトに参加し、国連デー2011を開催

東北大学の「国連アカデミック・インパクト(UNAI)」加盟を記念し、国連デー記念シンポジウムが2011年10月24日、東北大学キャンパスで開催されました。東日本大震災発生から約8カ月、被災地東北から震災の教訓を世界へ発信しようと、アカデミアのみならずビジネス、自治体、市民社会、大学生、国連諸機関が参加し議論が交わされました。被災地の復旧や持続可能な社会の構築に向けた数多くの教訓やグッド・プラクティスが提起されたことが、国連デー@東北大学での最も大きな成果といえるでしょう。同イベントの詳細は、小冊子「東日本大震災に学ぶ『東北から世界へのメッセージ』~持続可能な社会をめざして」をご覧ください。

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東北大学理事で震災復興推進を担当する原 信義 教授
東北大学を訪れ、震災復興と持続可能な社会の実現に向けた取り組みについてお話を伺う国連広報センターの妹尾靖子広報官
総合地域医療研修センターでは、シミュレーターを使った各種医療技術トレーニングを行っている©東北大学
被災自治体と連携し、「防災の日」には津波避難訓「カケアガレ!日本」に協力©東北大学
海洋調査船による環境調査を実施し、震災の影響把握と観測システム構築をめざす©東北大学
放射性物質によって汚染された生活環境の復旧技術の開発に取り組む©東北大学
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