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災害・緊急時の障害者支援 ~情報通信技術(ICT)の活用が鍵となる~

2012年05月08日

災害・緊急時において障害者は必要な情報が得られず、深刻な事態に陥るとされています。例えば、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた宮城県女川町では、住民死亡率は5.8%であったのに対し、障害(身体、知的、精神を含む)を持つ人の死亡率は15.6%に上りました。つまり、女川町では何らかの障害を持つ6人に1人が亡くなったのです。(日本障害フォーラムによる統計、2012年3月現在)

障害者が直面するこうした深刻な課題を少しでも軽減するには、どうしたらよいでしょうか。その解決にはICT(情報通信技術)の活用が鍵となることが、4月20日から3日間にわたって東京で開催された国連専門家会議「ICTと障害-アクセスと共生社会、すべての人のための開発へ」(国連経済社会局、日本財団、および国連広報センターが共催)において再認識されました。インターネットをはじめとするICTは、近年急激に発展しています。例えば、これまで聴覚障害者の多くは人に依頼して電話をかけていました。今では電子メールを使って、直接コミュニケーションを取るなど、情報の発信・収集が容易になりつつあります。このようにICTを最大限に用いることで、特に視覚・聴覚障害者を取り巻く環境は改善されています。

現在、日本においては東日本大震災の経験を踏まえ、様々な角度から地震・津波・原発事故の検証が行われています。こうした中、日本の関係者と海外からの専門家、障害者当事者が「障害とICT」をテーマとする国連会議に集い、貴重な提言を行ったことは意義深いことでした。今後の防災・減災政策は、障害者だけを対象とする特別なものではなく、障害者への対策が常に標準化して組み入れられ、コミュニティの構成員すべてを対象としたものであるべき、というのが今回の会議で生まれたコンセンサスの一つでした。すなわち、このような政策であれば、健常者のみならず高齢者・病人など弱い立場にある人々も含め社会全体に資するものになるからです。

しかし、ICTに頼るばかりでは問題解決にはならないとの指摘もあります。東日本大震災直後に被災地の障害者に支援を行う際、スマートフォンなどのICTの活用が不十分であったという現実が、今回の会議を共催した日本財団の笹川陽平会長から紹介されました。「障害者のみならず手話通訳者に至っても、日ごろからこうした(ICT)機器になじみがなく、新しい技術を受け入れることに抵抗を感じていたのです。普段からなじみの薄い機器を災害時に突然使えといわれても、それを使いこなすことは難しいですから」。障害者や彼らを支援する人々が日ごろからICTに親しんでいなければ、災害・緊急時にそれを有効活用することが難しいことが、今後の課題として浮き彫りになりました。

今回の国連会議でも明らかになったように、日本が東日本大震災を通じて得た経験が「ICTの活用による障害者の社会参画の推進」に活かされました。この分野に限らず、まだまだ日本には、世界と共有すべき経験や知見が数多くあるのではないでしょうか。

「ICTと障害」について、詳しくは以下をご覧ください。
4/21(土)開催 国際フォーラム:障害者の情報コミュニケーションアクセスと共生社会
国際フォーラム:障害者の情報コミュニケーションアクセスと共生社会:
日本の経験と国際貢献から https://www.unic.or.jp/news_press/info/2016/

国連専門会議「ICT(= Information and Communication Technology 情報通信技術) と障害-アクセスと共生社会、すべての人のための開発へ」4/19(木)~4/21(土)http://www.un.org/disabilities/default.asp?navid=46&pid=1596

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手話通訳を介して国連専門家会議でのまとめを発表するカナダからの参加者。左側のスクリーンに映し出される同時字幕通訳は、米国コロラド州の遠隔要約筆記会社によって行われた
ICTを活用してメモを取る米国からの参加者
国連専門家会議「ICTと障害-アクセスと共生社会、すべての人のための開発へ」の参加者は、13か国から集まった
会議冒頭で挨拶をする笹川陽平日本財団会長
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