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シリア危機と国連の対応【ウィークリー・アップデート第97号】6/3付資料

2015年06月08日

国連広報局(DPI)は、シリア危機への国連の様々な対応をまとめた資料を週に一度発表しています。以下はその日本語訳です。

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ウィークリー・アップデート

国連広報局(DPI)第97号/201563

 

◆デ・ミストゥーラ特使、ジュネーブ協議枠組内での会談を継続

ステファン・デ・ミストゥーラ国連シリア担当特使61、ユスフ・アブドゥルカリム・ブ・ブチェーリ国連常駐代表を長とするバーレーン王国代表団と会談し、シリア紛争の政治的解決と現状の進展についての同国政府の見解を聞きました。会談後、特使は「この4年にわたる激しい紛争は、軍事的手段によっては誰も勝利できないことを証明しています」と述べました。

62にはシリア正教会首座兼アンティオキア・全東方総主教のイグナティウス・アフレム2世との会談が行われ、シリアとその地域社会の平和な将来についての意見を聞きました。特使は会談後、「シリアの平和を目指すうえで、宗教指導者とそのコミュニティーの意見を聞き、考慮に入れることは大変重要です。こうした代表者は、将来のシリアにおける平和創造と和解の促進に不可欠な役割を担います」と発言しました。

529には、シリア危機に取り組む米国の市民社会組織の代表と会談しました。特使は会談後、とりわけアドボカシー活動に取り組む組織と、化学兵器攻撃や砲撃の被害者を救うため日々命を危険にさらしている医師たちの話から、この紛争で最も高い代償を払っているシリア一般市民の日常の現実をあらためて思い知らされたと語りました。また、国外に移住した人々の要望について考える機会にもなったと述べました。他に、ベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、スイスのヨーロッパ各国代表団との会談も行われました。

528、特使は経済学者のアレフ・ダリラ氏と会談し、シリアの現状と紛争の展開について意見を聞いたほか、政治プロセスの開始に向けてシリア側を支援する手段について話し合いました。また、一部の安保理非常任理事国(チリ、ヨルダン、リトアニア、マレーシア、ニュージーランド、ナイジェリア、スペイン、ベネズエラ)の代表とも会談し、継続中の政治的努力と国連が担いうる役割について話し合いました。

―詳しくは以下をご覧ください。

www.un.org/press/en/2015/db150529.doc.htm

www.un.org/press/en/2015/db150528.doc.htm

 

◆国連特使、70人以上の市民が死亡したアレッポ空爆を非難

ステファン・デ・ミストゥーラ国連シリア担当特使5月30日の報道声明の中で、シリア北部のアレッポで政府軍ヘリコプターから投下された樽爆弾により70人以上の市民が死亡した事件を強く非難しました。「シリア軍ヘリコプターがアレッポのアル・シャール地区の一般商業区域を空爆したとの報は、国際社会から最大級の非難を受けてしかるべきです」と特使は述べ、武力紛争における民間人保護は国際人道法の根幹であり、あらゆる状況において区別なく適用されると力説しました。

―報道声明は以下をご覧ください。
www.un.org/sg/offthecuff/index.asp?nid=3970

―UN News Centre 記事は以下をご覧ください。

www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=51011#.VW331s_BzGc

 

◆国連人道問題担当高官 「絶望的状況とさらなる絶望」からのシリアの救済を安保理に要請

ヴァレリー・エイモス国連人道問題担当事務次長(当時)528の安全保障理事会でのブリーフィングの中で、15の理事国からなる理事会に対し、政治的な差異にとらわれず、「解決困難」な長引くシリア紛争の解決策を見つけるため結束するよう強く促しました。事務次長は、民間人保護の確保、紛争当事者による国際法上の義務の順守、40万人を超える市民に対する包囲の終結、説明責任確保のためのあらゆる方策の検討、人道的取り組みへの資金援助の拡大と人道援助の非政治性の尊重などの具体的措置を通じ、「リーダーシップを発揮し責任を果たす」よう安保理に求めました。

―UN News Centre 記事は以下をご覧ください。

www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=50995#.VW360s_BzGc

―エイモス事務次長(当時)の声明は以下をご覧ください。

https://docs.unocha.org/sites/dms/Documents/USG%20Valerie%20Amos_Statement%20to%20Security%20Council%20on%20Syria_28%20May%202015%20CAD.pdf

 

◆ヤルムーク・キャンプの生徒が全国試験を受験

パレスチナ難民の生徒らが、全国試験を受験するためキャンプ外で2週間過ごした後、包囲状態にあるダマスカスのヤルムーク難民キャンプに戻り始めています。参加したのは、第9学年(日本の中学3年に相当)の生徒計152名です。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)とシリアのパレスチナ・アラブ難民総局(GAPAR)の支援により、152名の生徒たちはこの2週間、ヤルムークを離れてUNRWAパレスチナ学校とGAPARが運営するダマスカスのサイード・アル・アス・インスティテュート・イン・アライアンスに寄宿しました。UNRWAの教員がボランティアで生徒たちの受験準備に協力し、カウンセラーが心理社会的な支援を行いました。

―詳しくはUNRWAプレスリリースをご覧ください。

www.unrwa.org/newsroom/press-releases/overcoming-unimaginable-odds-continue-their-education-yarmouk-students

 

◆人道問題調整事務所(OCHA: 緊急対応基金に関する最新報告(201515月)

新設されたシリア緊急対応基金(ERF)は2015年1月、救命のための冬季対応策のプロジェクト6件に400万米ドルを充当しました。加えて2015年5月には、国内NGOによる医療プロジェクトを含む3件のプロジェクトが循環ベースで承認されました。他に、デリゾールの包囲地区への空輸計画を支援するプロジェクトを審査中です。承認されたプロジェクトの大半にはアクセス困難地域のニーズ対応を目的とした要素が含まれており、2015年末までに基金の50%をNGOに振り向けるとのシリアERFの方針に沿い、助成を受けるNGOの数を増やす努力が行われています。

―詳しくは以下をご覧ください。

http://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/26_may_2015_syria_erf_update_0.pdf

 

国連の事務局、機関、基金および計画へのリンク:

国連広報局(DPI)シリア特集ページ:

http://www.un.org/apps/news/infocusRel.asp?infocusID=146

 

国連の人道関係機関:

国連児童基金(UNICEF)

http://www.unicef.org/media/index.html

世界食糧計画(WFP)

http://www.wfp.org/countries/syria

人道問題調整事務所(OCHA)

http://www.unocha.org/crisis/syria

世界保健機関(WHO)

http://www.who.int/countries/syr/en/

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)

http://www.unhcr.org/pages/4f86c2426.html

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)

http://www.ohchr.org/en/NewsEvents/Pages/NewsSearch.aspx?CID=SY

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)

http://www.unrwa.org/

 

ソーシャルメディア:

Twitter: https://twitter.com/UN

Flickr: http://www.flickr.com/photos/un_photo/

YouTube: http://www.youtube.com/unitednations

Tumblr: http://united-nations.tumblr.com/

 

フォトギャラリー:

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)

http://www.unhcr.org/pages/49c3646c25d.html

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)

http://www.unrwa.org/photogallery.php

人道問題調整事務所(OCHA)

http://www.unocha.org/media-resources/photo-gallery

国連児童基金(UNICEF)

http://www.unicef.org/photography/photo_2013.php#UNI82253

統合地域情報ネットワーク(IRIN)

http://www.irinnews.org/photo/

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ヤルムーク難民キャンプで生活するパレスチナ難民の生徒152名が、全国試験の受験のためにキャンプ外で2週間を過ごし、再びキャンプへと戻り始めている。受験準備には国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員らがボランティアで協力した©UNRWA
エイモス国連人道問題担当事務次長(当時)は5月28日の安全保障理事会でのブリーフィングを行い、政治的な差異にとらわれず、長引くシリア紛争の解決策を見つけるため結束するよう強く促した©UN Photo/Eskinder Debebe