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高齢者の虐待に関する国連事務総長報告
~見過ごされがちな高齢者の虐待~

プレスリリース 02/025-J 2002年03月20日

 高齢者の身体的、性的および感情的虐待は、その金銭的搾取とともに見過ごされがちであり、注目を集めるのは最も深刻な事件に限られています。2月26日、国連事務総長はニューヨークの本部で新しい報告書を発表し、このような高齢者の深刻な人権侵害と闘うためのグローバルな行動の必要性を強調しました。

 世界的な統計は極めて不足し、特に高齢者の家庭内での虐待が届け出られないケースが多いものの、国内のレベルでは数多くの調査が実施されています。

 調査によれば、高齢者に対する暴力と虐待の加害者は、家族、友人あるいは知人であることが最も多くなっています。しかし、高齢者を餌食とする他人や、高齢者に詐欺を働く企業も虐待の加害者となり得ます。

 国立高齢者虐待センターによれば、米国では、1986年から1996年の約10年間にかけ、虐待件数が2.5倍に増えています。この調査では、虐待の加害者は成人した子ども(37%)が最も多く、配偶者(13%)、および、その他の家族(11%)がこれに続くことが明らかになっています。

 オーストラリア、カナダおよび英国での調査によれば、虐待あるいは放置の経験がある高齢者は全体の3%~10%に上っています。アルゼンチンでは、都市部で調査対象となった高齢者のうち、45%が虐待を訴えていますが、中でも精神的な虐待が最も頻繁に起きています。

 米国の高齢者施設の調査によれば、看護職員の10%が少なくとも1回、高齢者を身体的に虐待したことを認めているほか、このような事件を目撃した者は全体の36%に及んでいます。また、職員の40%は過去1年間に入所者を言葉で虐待したことを認めており、精神的虐待を目撃したとする職員も81%に上っています。

 開発途上国については、統計データが特に少なくなっていますが、犯罪記録、メディア報道および小規模調査などの非統計情報源によれば、高齢者の虐待問題は広がりを見せています。例えば、高齢者(通常は女性)が、干ばつ、洪水あるいは疫病による死者など、コミュニティに降りかかる災いの元凶と見なされる場合には、「責任のなすりつけ」が生じます。コミュニティから逃げ出せなかった女性が追放されたり、拷問されたり、手足を切断されたり、さらには殺されたりする事件が発生しています。

 高齢者が他者に依存しているために、虐待を受けやすくなるケースも多く見られます。痴呆症や障害などによって精神的あるいは身体的なハンディを負っている人々が特に危険にさらされています。その他の危険要因としては貧困、子どもがいないこと、一人暮らし、および、社会的孤立があげられます。

 高齢者が虐待の事実を隠す動機としては、施設収容に対する恐れ、報復に対する恐れ、虐待者をその責任追及から守りたいとする欲求、恥辱感と世間体の悪さ、および、虐待を予期すべき、あるいは、当然のことと捉える犠牲者の感じ方があげられます。

 今回の事務総長報告は、一層の調査の必要性を強調するとともに、意識の向上と教育、法整備、および、介入・予防プログラムの確立を含め、この問題への対処方法を提案するものとなっています。 

 国連事務総長報告と高齢者虐待に関する資料の詳細は、国連広報局(DPI)のEllen McCuffie、電話:1(212) 963-0499あるいはLaufey Love、電話:1(212) 963-3507までお問い合わせください。

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