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~すべての年齢の人にとって暮らしやすい社会を築き上げよう~

プレスリリース 02/034-J 2002年04月15日

第2回高齢者問題世界会議(スペイン・マドリード、2002年4月8日~12日)
におけるコフィー・アナン国連事務総長の演説

 アフリカでは、老人が1人亡くなると図書館が1つ消えるといいます。地域によって言い回しは違うかもしれませんが、この言葉が意味するところは文化にかかわらず真実です。高齢者は、過去と現在、そして未来を結ぶ仲介者なのです。その知恵と経験は、社会にとってかけがえのない宝です。

 私たちは本日、高齢者の方々の貢献を讃えるとともに、高齢者が尊厳を保ちながら安全に暮らせるよう戦略を定めるために、ここに集いました。この会議は高齢者の方々のためのものなのです。

 また、スペインの皆さんがこの会議の開催に尽力してくださったこと、ならびに私たちの準備を手助けするに当たってビジョンを示し、専門的な判断を下し、リーダーシップを発揮してくださったことにも敬意を表します。

 高齢化に関して話し合うために世界各国の代表が集まり、政策の指針とすべき初めての世界的な文書が採択された日から、20年が経ちました。その後、世界は大きく変化しました。しかし、すべての年齢の、すべての人々にとって暮らしやすい社会を築くという基本的な目標は変わりありません。

 私たちは今、高齢者問題をもう一度見直す必要があります。世界は前例のない人口構成の変化を経験しているのです。現在およそ6億人である高齢者の数は、2050年までに20億人近くに達すると予測されています。これから50年もしないうちに、人類史上初めて、15才未満の人口を60才以上の人口が上回るのです。

 特に重要なのは、開発途上国のほうが高齢者数の増加が著しいということでしょう。これは最も注目すべき点です。今後50年間に開発途上国の高齢者は4倍になると推定されています。

 この尋常ならざる変化は、若者も老人も含め、すべてのコミュニティ、すべての組織、すべての個人にかかわっています。高齢化はもはや「世界の問題」のひとつではありません。20世紀には小さな扱いしかされない問題でしたが、21世紀には主要なテーマの1つになろうとしているのです。

 このような急激な変化は、グローバリゼーション、移住、経済的な変化によってすでに変容している世界に、非常に大きな課題を突きつけます。今日すでに私たちが直面している問題のほんの一部を挙げてみましょう。

- いっそう多くの人々が都会へと出ていくにつれて、高齢者は伝統的な家族の支えと社会的ネットワークを失い、社会の主流から取り残される危険が高まっています。

- 途上国では、多くの高齢者がHIV/エイズで孤児になった子どもたちの世話を余儀なくされています。現在、この病気による孤児は世界で1,300万人を超えています。

- 多くの先進国で、ゆりかごから墓場までの社会保障の考え方が急速に失われつつあります。労働人口の減少によって、高齢者が不十分な年金と医療しか受けられなくなる恐れがいっそう高まっています。

 今後、高齢者の人口が増えるにつれて、こうした課題も大きくなっていくでしょう。私たちは、今からその準備を始めなければなりません。21世紀の現実に合った高齢化対策の行動計画を作り出す必要があるのです。最優先の目標は次のような点です。

 より多くの人がよりよい教育を受け、長生きをし、健康でいられる期間が長くなるにつれて、高齢者はこれまでになく社会に貢献することができますし、実際に貢献しているのだということを認識する必要があります。社会とその発展への高齢者の積極的な参加を促すことによって、高齢者の貴重な能力と経験を生かすことができます。働くことが可能でそれを望む高齢者には、働く機会が与えられるべきです。また、すべての人が、一生にわたって学び続ける機会をもつことも必要です。

 支援のネットワークを築き、環境を整えることにより、より広い社会を取り込んで、世代間の連帯を強化し、高齢者に対する虐待、暴力、軽蔑、差別をなくすよう闘っていくことができます。

 予防を含む十分な医療を手の届く費用で提供することにより、高齢者が自立した生活をできる限り長く続けるのを手助けすることができます。

 この20年の間に、私たちがこうした目標を達成するのに役立つ多くの新しいチャンスが生まれていると思います。

 1990年代に開かれた各種の会議で、新しい国際的なコミットメントが達成されました。特に注目に値するのは「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals)」です。こうした各種の目標や宣言などが、人々の生活を向上させる青写真になっているのです。高齢者にとってよりよい生活を生み出すという目標は、広く人々の生活を向上させるという目標の一部でなければなりません。

 世界的に、情報技術の利用と市民社会のエンパワーメントという革新が進行しています。これによって私たちは、あらゆる年齢の人にとって暮らしやすい社会を作るという目標の達成に向けて、必要なパートナーシップを築くことができます。高齢者に対して主たる責任を担っているのは政府ですが、政府は、非政府組織(NGO)、企業、国際組織、教育関係者や医療関係者、そしてもちろん高齢者自身の団体まで、幅広い組織とうまく連携していく必要があります。

 そして、私は、より大きなメッセージを世界に発信してくれることを願っています。高齢者というのは特殊なカテゴリーではありません。私たちは誰しも年を取るのです―もし運がよければ。

 私たちには、こうしたパートナーシップを強化するすばらしい機会があります。パートナーシップの問題について一言申し上げるなら、ここマドリードでこの会議と並行して開かれているNGO会議、およびつい最近バレンシアで開かれた国際的な科学フォーラムを通して、先に述べたようなパートナーシップを強化する必要があるということです。そして、こうしたパートナーシップを強化することができます。この意味で、これらの実現に手助けしてくださっているスペイン政府とスペイン市民の皆さんにもう一度お礼を申し上げたいと思います。

 私たちを待ち受ける課題もチャンスもとても大きなものです。私は、皆さんが本会議の最終文書について十分に協議し合意に達するよう全力を尽くしてくださるものと信じています。

 そうすることによって、先ほども述べたように高齢者というのは自分とは別の人たちの1グループではないという大きなメッセージを発信することができると思います。私たちはみな、運がよければ、いつの日か老いるのです。ですから、高齢者を他人と考えるのをやめ、将来の自分たちだと考えましょう。そして、高齢者というのは一人ひとりそれぞれのニーズと長所をもった個人であって、年齢だけでひとくくりにすることはできないのだということを認識しましょう。

 最後に、ここで打ち明けます。私はきょう、64才になりました。ですから、すべての高齢者を代表して、ビートルズの歌を引用しながら皆さんに尋ねてみたいと思います。「私が64才になっても、あなたはまだ私を必要としていますか。まだ私を養ってくれますか。」

 皆さんはきっとイエスと言ってくださると信じています。21世紀、高齢者は人々に支えられ、そして必要とされるのです。

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