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国連小島嶼国会議、モーリシャスで閉幕
~国際社会の決意新たに、とアナン事務総長~

プレスリリース 04/014-J 2004年01月22日

国連小島嶼国会議は2005年1月14日、小諸島の脆弱性を認識し、その持続可能な開発を支援する取り組みの促進を確認し、その証として、行動計画の実施を進める前向きな戦略「モーリシャス戦略」と政治宣言「モーリシャス宣言」を全会一致で採択しました。

モーリシャスのポールルイで閉幕した「小島嶼開発途上国の持続可能な開発のための行動計画の実施状況を審査する国際会議(International Meeting to Review the Implementation of the Programme of Action for the Sustainable Development of Small Island Developing States)」には114カ国から18人の大統領、副大統領および首相、約60人の閣僚、ほぼ2,000人の代表団、市民社会代表およびジャーナリストのほか、15の国連機関と国際機関も参加。モーリシャス共和国の主催による5日間の会議は、インドの援助によって新設された素晴らしい会議場で行われました。

最終日に開かれた記者会見で、コフィー・アナン国連事務総長は次のように語りました。「ここモーリシャスで開かれた小島嶼開発途上国会議に極めてハイレベルの参加があったことは、私にとって感慨深いことでした。環境的に脆い、経済規模が小さい、世界市場から遠く離れている、エネルギーコストが高い、ゴミ処理が困難など、これら諸国は多くの問題を抱えています。今回の会議は、国際社会全体がこうした課題への関心と、これに対処する決意を新たにしたことを示しています」

会議の主要な成果文書となったのは、バルバドス行動計画の実施促進を目指す「モーリシャス戦略」です。戦略では、2004年12月26日のインド洋での津波や、最近のカリブ海と太平洋におけるハリケーンやサイクロン、台風による悲劇的な影響で明らかになったとおり、小島嶼開発途上国(SIDS)が「自然と環境上の災害の強度と頻度、その影響の増大という点で、世界でもっとも脆弱な地域に所在しており、並外れて甚大な経済的、社会的、環境的被害に直面している」ことを強調。神戸で開かれる国連防災世界会議の場で、保険や再保険の分野を含め、SIDSの具体的な懸案事項を検討するよう提案しています。

アナン国連事務総長は、地球規模の早期警報システム設置の呼びかけが会議で強く支持されたことを喜ばしく思うと述べ、このような警報システムは津波だけでなく、高潮やサイクロンなど、その他の脅威も対象とすべきだとの見解を改めて表明しました。

通商問題に関し、モーリシャス戦略は「ほとんどの小島嶼開発途上国はその狭さや構造的な不利、脆弱性などにより、グローバル経済への統合に特殊な困難を覚えている」との認識を示しています。戦略はまた「世界貿易機関(WTO)の審議と政策決定プロセスへの」小島嶼開発途上国の「全面的かつ実効的参加を促進する取り組みを強化する重要性」も認識しています。

一方、モーリシャス宣言ではさらに、SIDSの「災害抵抗力強化と持続可能な開発にとって」国際貿易が重要であることを認識。金融機関を含む国際機関に対し、SIDSの「構造的な不利に適切な配慮を行う」よう呼びかけています。

気候変動に関し、モーリシャス宣言は、「小島嶼国はすでに、気候変動の大きな悪影響を被っている」との考えを示し、これらの国々にとって「気候変動の悪影響と海面上昇への適応は引き続き重大な優先課題である」と主張。また、「優先事項としてエネルギー効率の改善と再生可能エネルギーの開発、利用に加え、化石燃料利用技術の高度化とクリーン化」を促進することも謳っています。

会議事務局長のアンワルル・チョウドリー氏は閉会式で、次のように述べました。「実施プロセスの手始めとして、モーリシャス戦略実施のためのロードマップを策定すべきだと考えます。このようなロードマップは、全体的な指針の役割を果たし、さまざまなステークホールダーによる活動の調整に役立つことでしょう。また、モニタリングと再検討の基盤の役割も果たし、進捗状況の評価にも役立つでしょう。さらに私は、動態的なモニタリング・システム設置の呼びかけを新たにしたいと思います。モニタリングは単なる現状把握に終わるべきではなく、実施に際する抜け穴や失敗、手抜きなどを明るみに出し、矯正措置を講じられるようなプロセスとすべきです」