• プリント

国連 政治局アフリカⅠ部 次長 鈴木 彩果 さん

UNICブログもご覧ください -鈴木彩果次長、キャリアセッション「平和をつくる仕事の舞台裏」で語る

今回は、エジプトから南アフリカにわたるアフリカ東部をカバーする政治局アフリカⅠ部の次長を務める鈴木彩果次長より、お話をうかがいました。鈴木次長は、複数のNGOで多彩な経験を積み、若くして国連本部PKO局にて13年勤務した後、現在の政治局へ移りました。

【聞き手】国連広報センター所長 根本かおる

voice5_1鈴木 彩果(すずき あやか)
国連 政治局アフリカⅠ部 次長

コロンビア大学・バーナードカレッジにて政治学学士を取得した後、同大学国際公共政策大学院(Translation of the School of International and Public Affairs)にて「多次元グローバルセキュリティ」を専攻し国際関係論修士号を取得。1990年代中頃、地球規模問題に取組む国際議員連盟(Parliamentarians for Global Action:PGA)のプログラム・ディレクターを5年程務めた。その間、平和と民主主義及び女性の政治的エンパワーメントを担当。1999年より13年間にわたり国連PKO局にて勤務。2012年より政治局へ移り現在に至る。

国連の現場と本部で信念を貫く仕事を

鈴木次長は、家族の仕事の関係で子どもの頃からアメリカと日本を行き来し双方の文化に触れたことから、漠然と国際的な仕事をしたいと思っていたそうです。12歳でアメリカに移り住み、冷戦の終わりの80年代に10代を過ごしました。そして、大学生・大学院生の頃には国際紛争の解決に貢献できる仕事に惹かれ、平和と安全保障の仕事へと歩み始めました。鈴木次長は「やりがいを感じ、信念を持てる仕事をしたい」と、その道を今でも貫いています。

「大学院を卒業する頃には、既にInternational Peace Academy(現在、International Peace Institute)でのインターンシップやコンサルタントの仕事経験がありました。当時、国連のような大きな組織で働くことよりも、階級にとらわれずに多種多様な仕事と責任を経験できる組織に魅力を感じていたので、3つのNGOで経験を積み、その後Parliamentarians for Global Action(100ヵ国の国会議員の組織)で平和、民主主義プログラム及び女性の政治的エンパワーメント・プログラムのディレクターとして5年程勤務しました。そんな中、新たにPKOを設立するにあたってスタッフを探しているという事務総長室に働いていたNGOの元同僚の紹介がきっかけで、国連で働き始めました」

voice5_2

ジュネーブ平和構築プラットフォーム2010年次フォーラムにDDR※セクションのチーフとして参加[2010年11月](鈴木次長:右端)

「仕事の流れは、計画的にスケジュールをコントロールすることはできません。なぜなら、政治局、PKO局ともに、毎日何が起こるか分からないからです。通常は、書類の編集や、会議のスケジュールが詰まっていますが、現在アフリカの26カ国を管轄しているので、ほぼ毎日何か事件が起こります。その都度、事務総長の声明文や安保理のブリーフィングを作成するなど、直ぐに優先業務は入れ替わります。仕事の性格上24時間オンコールといった感じですね。大変な重責を担っていてやりがいはあるものの、本部にいる時は自分たちが取り組んでいることの成果が現場と比べると分かりにくいという点もあります。やりがいを肌で感じられるのは、やはり現場ですね。2005年にハイチへ行きました。当時とても治安が悪くレッドゾーンだった場所が、私がハイチを去る時には、自動車で普通に通れるほど治安が改善されたのです。そして大統領選挙が民主的に行われました。ミッションのインパクトを実感できた貴重な仕事の一つです」

voice5_3

UNDPと共同でスーダンのDDR※評価ミッションに参加[2009年10月](鈴木次長:左手前2番目)

voice5_4

装甲車両に乗ってソマリア大統領との会談に向かう
[2013年3月](鈴木次長:右側)

※DDR(Disarmament, Demobilization and Reintegration): 武装解除・兵士復員・社会復帰

本部でのやりがいもさることながら、手応えのある現場での経験は今でも鈴木次長の心に強く残っています。しかし、良い面ばかりが成果として続くわけではありません。それでも、仕事に取り組むモチベーションを維持する源として、「仕事への信念」があるそうです。
「日本人は、もっと自信を持つべきだと思います。文化的にサービス精神に優れていて、計画性、専門性ともに高く、私の同僚でも日本人の特徴を高く評価する人は非常に多いです。しかし、これまでの日本はどちらかと言うと、予算の分担率の高さに対して、政策討論などでの存在感はあまりありませんでした。最近はPKOにも参加して、改善は見られますが、日本が世界に貢献している点が上手くPRできていないことが残念です。日本人の若い人たちは、なるべく外へ出て経験を積んだ方が良いと思います。国連に限らずとも、NGOで様々なことを経験し、ステップ・バイ・ステップでキャリアアップしてゆくのです。どういうスキルを身に付けたいのか、何を経験したいのか、を考えて職場や職務を選び、経験を積み重ねることで『自分は何でもできるんだ!』と自信を持てるはずです」

鈴木次長の息抜きは、ヨガや友人とのディナー。そして国連以外の女友達と定期的に開催する「ブッククラブ」です。様々な分野の第一線で活躍する友人たちと始めた会合は、もう15年目になるそうです。参加者が同じ本を読み、その本について語る会で、常にリアルな世界で働くプロフェッショナルな女性たちが参加していることから、あえてフィクションの本を選ぶそうです。趣味の違う女性同士が集まって、自分では選ばない本を読むことができ、これまで100冊以上の本を読んでいるとか。

voice5_5

ヨガでリフレッシュ(鈴木次長:右から3番目)

鈴木次長の快活にインタビューに応えるエネルギーが、とても印象的でした。「平和と安全保障」への取り組みは、短期的に改善されるものではなく、例え改善されても、長期的にその状態が続くとは限りません。しかし、声なき声に耳を傾け、手を差し伸べるという国連の活動に、強い憧れを感じました。また、日本人の持つ公平性や倫理観は、組織を管理する上でも非常に貴重な特徴だと言われるそうです。国連で活躍できる日本人職員が、求められているのだと、このインタビューで強く感じました。

文:国連広報センター インターン 山田朋枝