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第2回ホロコースト犠牲者を想起する国際デー(1月27日)
に寄せる潘基文国連事務総長メッセージ

プレスリリース 07/005-J 2007年01月30日

ホロコーストは私たちの歴史上類を見ない、そして否定の余地のない悲劇でした。それから数十年を経た現在も、ユダヤ人をはじめとする数百万人の人々が組織的に殺害された事実が与えた衝撃は、揺らぐことはありません。ナチスがその悪行にもかかわらず、熱心な支持者たちを引きつけることができたという事実は、今でも恐怖を呼び起こします。そして何よりも、苦痛は消え去っていません。それは年老いてゆく生存者たちにとっても、蛮行への転落を目撃した私たち人類全体にとっても同じことです。

思い出すという行為は、亡くなった方々に敬意を払うことに他なりません。しかし、それだけでなく、人間による残虐行為を食い止めようとする私たちの取り組みにおいても、極めて重要な役割を果たします。反ユダヤ主義や、その他様々な形態の不寛容が新たに噴出しないよう、私たちが警戒し続けることができるからです。また、ホロコーストは決して起こらなかったか、誇張されているなどという誤った主張に反論する上で、不可欠な手段でもあります。

よって、「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」は、私たちが人権を守ってゆくという決意を新たにすべき日といえます。アウシュビッツで、また、その後起きたジェノサイドや残虐行為により、この理想は無残にも汚されてしまったからです。

私たちはこのことを単に想起するに留めるのではなく、将来の世代がこの歴史をきちんと知るようにせねばなりません。ホロコーストの教訓は、今日の世界に生かされなければなりません。そしてすべての人々が、国連の掲げる保護と権利を享受できるよう、私たちが全力を尽くさねばならないのです。

今年の国際デーにあたり、私はこの任務を全うする強い決意を改めて表明するとともに、すべての人々に対し、人間としての尊厳を求める共通の取り組みに加わるよう呼びかけたいと思います。