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G20サミット:デジタル・トランスフォーメーションに関するセッションにおけるアントニオ・グテーレス国連事務総長挨拶(インドネシア・バリ、2022年11月16日)

プレスリリース 22-084-J 2022年11月19日

適切な政策を実施すれば、デジタル技術は、とりわけ最貧国における持続可能な開発にこれまでにない弾みをつけることができます。

それには、接続性の向上とデジタル・フラグメンテーション(デジタル世界の分断化)の緩和が求められます。

また、デジタル格差に架ける橋を増やし、障壁を減らすこと。

そして、一般の人々の自律性を高め、悪用や偽情報を減らすことも。

デジタル・テクノロジーは、ガイダンスや防護柵がなければ、言論の自由の抑圧から国境を越えた悪意ある干渉、ネット上での他人、主に女性を標的としたハラスメントに至る害を及ぼす大きな危険性を秘めていることも明らかです。

そこで私は、2024年の国連総会での「未来サミット」で、テクノロジー企業、市民社会、学界などの意見を取り入れて各国政府が合意することになる、万人に開かれた自由で包摂的かつ安全なデジタルの未来に関する「グローバル・デジタル・コンパクト」を提案しました。

このデジタル・コンパクトは、私たちの生活のあらゆる側面に影響するテクノロジーを導く唯一の首尾一貫したアプローチである人権にしっかり根ざしています。

その目的は、3つの分野で成果を上げることです。

第一に、普遍的な接続性とは、インターネットにつながっていない30億の人々にリーチすることを意味します。その大多数がグローバル・サウスに生きる人々です。私たちは、デジタル・リテラシーを促進し、女性や女児、移民、農村部の住民や先住民にデジタル世界へのアクセスを提供してデジタル格差を解消しなければなりません。

第二に、人間中心のデジタル空間は、言論の自由、表現の自由、インターネット上の自律性とプライバシーの権利を保護することから始まります。

しかし、言論の自由とは、フリーパスではありません。

グローバル・デジタル・コンパクトでは、各国政府、テクノロジー企業、ソーシャルメディア・プラットフォームが果たす責任を考慮し、民主主義、人権、科学を弱体化させるネットいじめや致命的な誤情報をなくさなければなりません。

私はまた、人々が作り話ではなく事実に基づいて選択できるようにする、公開情報の誠実性を高めるグローバルな行動規範をつくることも要請しました。

第三に、データは、持続可能な開発を促進する、未開拓の大きな可能性を秘めています。

私たちは、持続可能な開発目標(SDGs)の前進を把握して影響を測定する上で必要なデータの半分しか持ち合わせていません。その一方、人々の個人データは、時に政治的支配のために、時に商業的利益のために、本人認識や同意なく利用されているのです。

デジタル・コンパクトは、各国政府がテクノロジー企業などと協力して、データの安全かつ責任ある利用を促進する方法に焦点を当てることができます。

G20諸国による支援は、デジタル時代を確実に、安全で、包摂的で、変革的なものにする助けとなれるのです。

ありがとうございました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。