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COP27閉幕にあたってのアントニオ・グテーレス国連事務総長声明 (エジプト シャルム・エル・シェイク、2022年11月19日)

プレスリリース 22-075-J 2022年11月25日

国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)のホストを務めてくださったエジプト政府とサーメハ・シュクリ議長に感謝いたします。

また、サイモン・スティル国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局長をはじめ、事務局のすべての皆さんの努力を称えたいと思います。

そして、代表団の皆様と、実際の気候行動を起こすよう首脳たちに呼びかけるべくシャルム・エル・シェイクを訪れた市民社会の皆様に敬意を表します。

実際の気候行動こそ、私たちに必要なことなのです。

COP27の開催地は、シナイ山からさほど遠くありません。シナイ山は、多くの信仰やモーゼあるいはムーサーの物語の中心地です。

まさにふさわしい場所です。気候の混乱は、聖書の記述をほうふつとさせる規模の危機だからです。

兆候は、あらゆる場所に見られます。(旧約聖書出エジプト記の)「燃えているのに燃え尽きない柴」の代わりに、私たちは燃える地球に直面しています。

この会議は、当初から正義と野心という、2つの優先テーマで進められてきました。

パキスタンの国土の3分の1を浸水させた先の洪水の犠牲者をはじめ、気候危機の原因にほぼ関与していないにもかかわらず、その最前線に立たされている人々に対する正義。

1.5℃の上限を維持し、人類を気候の崖から引き戻す野心。

今回のCOPは正義に向けて、重要な一歩を踏み出しました。

私は、損失と損害(ロス&ダメージ)の基金を設立し、今後運用するという決定を歓迎します。

明らかにこれは十分ではありませんが、壊れた信用を再構築するために非常に必要とされてきた、政治的なシグナルです。

気候危機の最前線に立たされている人々の声を聞かなければなりません。

国連システムは、あらゆる局面においてこうした取り組みを支援します。

正義は、他にもいくつかのことを意味していなくてはなりません。

開発途上国に対し、年間1,000億ドルの気候変動対策資金を提供するという、大幅に遅れている約束をようやく履行すること。

適応資金を倍増させるための、透明性と信頼できるロードマップ。

多国間開発銀行や国際金融機関のビジネス慣行を変えること。

これらの機関は、より多くのリスクを受け入れ、開発途上国向けの民間資金を合理的な利率で体系的に活用しなければなりません。

しかし、はっきり申し上げましょう。

私たちの地球は、いまだ緊急治療室にいるのです。

私たちは直ちに排出量を劇的に削減しなければなりませんが、この問題は今回のCOPでは取り上げられませんでした。

損失と損害の基金は欠かせませんが、気候危機が小島嶼国を地図上から消し去り、アフリカの一国全土を砂漠に変えてしまうようであれば、解決策にはならないのです。

気候野心という点で、世界にはまだ大きな飛躍が必要です。

越えてはならない一線は、私たちの地球が1.5℃の気温上限を超えてしまうという線です。

1.5℃の希望をつなぎとめるためには、私たちは再生可能エネルギーに大規模な投資を行い、化石燃料への中毒を断ち切らねばなりません。

私たちは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンをめぐる競争の際のように、開発途上国が最下位に終わるようなエネルギーの争奪戦を避けなければなりません。

化石燃料に倍賭けすることは、問題を倍増させることです。

「公正なエネルギー移行パートナーシップ」は、石炭の段階的廃止と再生可能エネルギーの拡大を加速させる、重要な道筋です。

しかし、それだけでは不十分です。私が「気候連帯協定」をこれほどまでに推している理由はここにあります。

すべての国が1.5℃目標に従って、この(2030年までの)十年間で、排出削減に向けた一層の努力をする協定。

そして、主要新興国が再生可能エネルギーへの移行を加速できるよう、国際金融機関や民間セクターと共に、財政的・技術的支援を動員する協定。

これは、1.5℃の上限を実現可能なものとするため、そしてすべての人がその役割を果たす上で不可欠なのです。

COP27は多くの宿題を残して閉幕しましたが、時間は残されていません。

私たちはすでに、パリ協定と2030年期限の中間点にいるのです。

私たちは総力を挙げ、正義と野心を推進しなければなりません。

これには、気候危機を深刻化させ、種を絶滅に追いやり、生態系を破壊している自滅的な自然との戦争を終わらせる、という野心も含まれます。

来月の国連生物多様性条約第15回締約国会議は、自然に基礎を置く解決策の力と先住民のコミュニティーの重要な役割を活かした、次の10年に向けた、野心的でグローバルな生物多様性の枠組みを採択する時です。

そして、正義と野心には市民社会の声が欠かせません。

世界で最も重要なエネルギー源は、人々の力です。

気候行動の人権の側面を理解することが非常に重要である理由は、ここにあります。

気候擁護者たちは、若者たちの良心の声に導かれ、最も日の当たらない日々にもこの課題を進めてきました。

そうした人々を守らなければなりません。

私は、全員に向かい、私たちはあなた方のいらだちを分かち合うと伝えます。そして、私たちはこれまで以上にあなた方を必要としているのです。

シナイ半島の物語とは異なり、私たちは山頂の奇跡を待つことはできません。

私たち一人ひとりが、日々前線で闘わなければならないのです。

共に、気候正義と気候野心のための闘いを、絶えず前に進めようではありませんか。

私たちの命のためのこの闘いに、私たちは勝利できますし、勝たねばならないのです。

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原文(English)はこちらをご覧ください。