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COP27首脳会議でのアントニオ・グテーレス国連事務総長による開会挨拶(シャルム・エル・シェイク、2022年11月7日)

プレスリリース 22-066-J 2022年11月09日

シシ大統領、
このような素晴らしいホスピタリティーと、卓越した会議運営に感謝いたします。

気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)のシュクリ議長、
陛下
各国代表の方々、
友人の皆様、

あと数日で、私たちの地球の人口が、新たな閾値(いきち)を超えようとしています。

80億人目の人が誕生するのです。

この節目は、この気候変動会議とは何であるかを大局的にみるきっかけとなります。

「80億人目の赤ちゃん」が成長して、こう問いかけたとき、私たちはどう答えるのでしょう。

「あなたたちは、私たちの世界のため、私たちの地球のために、チャンスがあったときに何をしたのですか?」

各国代表の方々、

この国連気候会議は、その答えが私たちの手中にあることを再認識させるものです。

時は刻一刻と過ぎていきます。

私たちは生死をかけた闘いの中にいます。

そして私たちは敗北しつつあります。

温室効果ガスの排出量は増え続けています。

世界の気温は上昇し続けています。

私たちの地球は、気候変動による混乱が取り返しのつかないものとなる臨界点へ、急速に近づいています。

私たちは、気候変動地獄へと向かう高速道路を、アクセルを踏んだまま走っているのです。

ウクライナでの戦争やその他の紛争によって多くの流血と暴力が生じ、世界中に劇的な影響を与えています。しかし、私たちの関心を気候変動からそらすことは受け入れられません。当然ながら、平和への努力や甚大な苦難を終わらせる支援に共に取り組まなくてはいけません。

しかし気候変動は、時間軸も規模もそれとは異なります。

私たちの時代の決定的な問題であり、

今世紀の中心的な課題です。

それを後回しにすることは、容認できず、言語道断であり、自滅的でもあります。

実際、今日の紛争の多くは、気候変動による混乱の拡大と結び付いています。

ウクライナでの戦争は、化石燃料への中毒的依存がもたらす深刻なリスクを露呈させています。

今日の差し迫った危機は、環境行動を後退させたり、グリーンウォッシング(見せかけだけの環境配慮)をしたりする言い訳にはなりません。

むしろ、より緊急かつ強力に行動し、効果的に説明責任を果たすべき理由なのです。

各国代表の方々、

人間の活動は気候問題の原因です。

そのため、人間の行動が解決策にならねばなりません。

再び野心を高めるための行動。

そして、特に南北間の信頼を再構築するための行動。

科学は明白です。気温上昇を1.5℃に抑えるには、2050年までに世界全体で排出量正味ゼロを達成する必要があります。

しかし、1.5℃目標は生命維持装置につながれた状態で、その装置はガタガタと音を立てています。

私たちは、取り返しのつかない局面へと、危険なほどに近づいています。

そうした悲惨な運命を回避するため、すべてのG20諸国は今、つまり、この(2030年までの)十年間で、移行を加速させなければなりません。

先進国はその先頭に立つ必要があります。

しかし、世界の排出量の上昇カーブを抑制するためには、新興国もまた極めて重要です。

昨年グラスゴーで、私は石炭から再生可能エネルギーへの移行を加速させるため、排出量の多い新興国に支援の連携を呼びかけました。

私たちは「公正なエネルギー移行パートナーシップ」によって前進してはいますが、さらに多くの対応が必要です。

COP27の開幕にあたり、私が先進国と新興国の間の歴史的な協定となる「気候連帯協定」を呼びかけている理由はここにあります。

すべての国が1.5℃目標に従って、この(2030年までの)十年間で、排出削減に向けた特別な努力をする協定。

新興国が再生可能エネルギーへの移行を加速できるよう、富裕国や国際金融機関が資金・技術援助を提供する協定。

化石燃料への依存と石炭火力発電所の新設をやめ、2030年までに経済協力開発機構(OECD)加盟国で、2040年までにその他の地域で石炭を段階的に廃止する協定。

すべての人に普遍的かつ安価で持続可能なエネルギーを提供する協定。

先進国と新興国が共通の戦略の下に結束し、人類の利益のために能力と資源を結集する協定。

二大経済大国である米国と中国は、この協定を実現するための取り組みに参画する、特別な責任を負っています。

これは、私たちが気候目標を達成するための唯一の希望です。

人類は協力するか、滅びるかの選択を迫られています。

つまり「気候連帯協定」と「集団自殺協定」のどちらを選ぶかということなのです。

各国代表の方々、

私たちは、迫り来る気候崩壊に対するレジリエンス(強靭性)を高めるため、適応の面で進展することも切実に求められています。

今日、およそ35億人が、気候変動による被害に極めて脆弱な国々で暮らしています。

グラスゴーでは、先進国は2025年までに、適応支援を年間400億ドルへと倍増させると約束しました。

これがどう果たされるかについてのロードマップが必要です。

そして、これは最初の一歩にすぎないことを認識しなければなりません。

適応資金のニーズは、2030年までに年間3,000億ドル以上に増加する見込みです。

気候変動対策資金の半分は適応へ向けられなければなりません。

国際金融機関と多国間開発銀行は、ビジネス慣行を改め、適応資金を拡大し、民間資金をよりよく動員して気候行動に大規模投資を行うための役割を果たす必要があります。

「適応パイプライン・アクセラレーター」のような取り組みを通じて、特定された優先課題に資金が流れるよう、各国やコミュニティーもそれにアクセスできなければなりません。

各国代表の方々、

それと同時に、私たちは厳しい事実を認識しなければなりません。世界中に膨大な苦痛をもたらす壊滅的な出来事が増えていくことに、適応することはできないということです。

気候変動がもたらす致命的な影響は、今ここにあります。

損失と損害は、もはや覆い隠すことはできません。

これは、道徳的要請です。

これは、国際的な連帯、そして気候正義に関わる根本的な問題です。

気候危機に最も寄与していない人々が、他者が起こした悪行の何倍もの報いを受けているのです。

多くの人々が、事前の警告や準備を行う術もない無防備な状態で、被害に遭っています。

私が、5年以内に全世界で早期警報システムを整備するよう求めている理由は、ここにあります。

また、すべての国の政府に対して、化石燃料企業の超過利潤に課税するよう要請している理由もここにあります。

その資金を、食料やエネルギー価格の上昇に苦しむ人々や、気候危機による損失と損害に見舞われている国々に振り向けようではありませんか。

損失と損害への対応について、今回のCOPは、課題の規模と緊急性を反映した明確かつ期限付きのロードマップに合意する必要があります。

このロードマップは、資金調達のための効果的な制度的取り決めを実現しなければなりません。

損失と損害について具体的な成果を得ることは、COP27の成功に対する各国政府のコミットメントを測る試金石となります。

各国代表の方々、友人の皆様、

朗報は、私たちが何をすべきかをわかっていて、仕事を成し遂げるための財政的・技術的手段があるということです。

今こそ、履行のために各国が団結すべき時です。

全面的な国際連帯を図るべき時なのです。

すべての人権を尊重し、環境保護派と社会のすべての当事者が気候変動対策に貢献するための安全な場を保証する連帯。自然との戦争は、それ自体が重大な人権侵害であることを忘れてはなりません。

より迅速かつ大胆な気候行動に向けて、私たち皆が総力を挙げる必要があります。

機会の窓はまだ開いていますが、一筋の細い光しか残されていません。

地球規模の気候変動との闘いは、私たちの監視の下、(2030年までの)極めて重要な十年間で、勝敗が決することになります。

一つ確かなことは、あきらめた者は必ず負けるということです。

ですから共に闘い、勝利しようではありませんか。

80億の人々のために、そしてこれからの世代のために。

ありがとうございました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。