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第77回国連総会でのアントニオ・グテーレス国連事務総長演説(ニューヨーク、2022年9月20日)

プレスリリース 22-057-J 2022年09月30日

議長、各国代表の皆様、

私たちの世界は、大きな問題を抱えています。

格差はますます深刻化しています。

不平等はますます拡大しています。

課題はさらなる広がりを見せています。

しかし、混乱に満ちた世界において、私たちが協力するとき、私の心に浮かぶのは約束と希望のイメージです。

この船はブレイブ・コマンダー号です。国連旗を誇り高く掲げて黒海を航行しました。

一見、黒海を行き交う他の船舶と何ら変わりはないように見えます。

しかし、よく見てください。

この船は、私たちが共に行動するときに何が達成できるかを、本質的に象徴しているのです。

この船には、何百万もの人々が飢餓の危機に瀕している「アフリカの角」地域へと向かうウクライナ産の穀物が積まれています。

ウクライナとロシアから食料や肥料を調達するための前例のない包括的な取り組みの一環として、まさに紛争当事者に導かれて、紛争地帯を航行しました。

困窮している人々が切実に必要とする、救援物資を届けるために。

商品市場を落ち着かせ、将来の収穫を確保し、あらゆる場所の消費者が支払う価格を引き下げるために。

ウクライナとロシア連邦は、トルコの支援の下、協力してこれを実現しました。計り知れない複雑さや反対意見、さらには戦争の最も苦しい時にもかかわらずです。

これを、海上の奇跡と呼ぶ人もいるかもしれません。

実際には、これは多国間外交の実践です。

黒海穀物イニシアティブは、待望の食料を満載した数十隻の船舶を安全に航行させる道を開きました。

それぞれの船はまた、今日最も希少な必需品の一つである“希望”を運んでいます。

各国代表の皆様、

私たちには希望が必要ですが、他にも必要なものがあります。

行動です。

世界的な食料危機を緩和するため、世界の肥料市場の逼迫に緊急に対処しなければなりません。

今年、世界には十分な食料があります。問題は流通です。

しかし、肥料市場が安定しなければ、来年の問題は食料供給そのものになるかもしれません。

すでに西アフリカなどの農家からは、肥料の価格や供給不足による耕作量の減少が報告されています。

ロシア産の肥料と、アンモニアを含む肥料原料の輸出を妨げる残りの障害のすべてを引き続き取り除いていくことが不可欠です。これらの製品は制裁の対象ではなく、私たちは間接的影響を排除するための努力を続けていきます。

ガス価格の高騰が窒素肥料の生産に及ぼす影響も大きな懸案事項です。これにも真剣に取り組まねばなりません。

いますぐ行動しなければ、世界の肥料不足はあっという間に世界の食料不足へと変貌してしまうでしょう。

各国代表の皆様、

私たちは全面的に行動しなければなりません。

幻想を抱くのはやめましょう。

私たちは荒波の中にいます。

世界的な“不満の冬”が迫っています。

生活費の危機が猛威を振るっています。

信頼が崩壊しつつあります。

不平等が爆発的に広がっています。

私たちの地球が燃えています。

人々は傷つき、最も脆弱な立場に置かれた人々が最も苦しんでいます。

国連憲章と、それが掲げる理想は危機にさらされています。

私たちには行動する責務があります。

にもかかわらず、世界はとてつもない機能不全に陥り、行き詰まっています。

国際社会には、私たちの時代の非常に大きな課題に取り組む準備も意欲もありません。

これらの危機が、まさに人類の未来と私たちの地球の運命を脅かしているのです。

ウクライナでの戦争や世界中で多発する紛争などの危機。

気候緊急事態や、生物多様性の喪失という危機。

開発途上国の悲惨な財政状況や持続可能な開発目標(SDGs)の行方という危機。

また、疾病を治療し、人々をつなぎ、機会を拡大する有望な新技術の暴走を防ぐ防護柵がないという危機。

私が事務総長に就任してからまもなく、遺伝子を編集するツールが開発されました。

テクノロジーと人間の神経系をつなぐニューロテクノロジーは、アイデアから概念実証の段階へと進展しています。

暗号資産や他のブロックチェーン技術は、広く普及しています。

しかし、多くの新技術には、危険信号がいくつも点灯しています。

憤り、怒り、否定的な感情を収益化するビジネスモデルに基づいたソーシャルメディアプラットフォームは、コミュニティーや社会に計り知れないダメージをもたらしています。

ヘイトスピーチ、誤情報、特に女性や脆弱な立場にいる人々をターゲットにした虐待が蔓延しています。

私たちの個人情報は、私たちの行動に影響を与えるべく売買される一方、スパイウェアや監視は制御がきかず、プライバシーへの配慮がまったくありません。

人工知能(AI)は、情報システムやメディア、そして民主主義そのものの誠実性を損なう可能性があります。

量子コンピューティングは、サイバーセキュリティーを破壊し、複雑なシステムの誤作動のリスクを高める可能性があります。

これに対処するグローバルな仕組みの確立は、まだ始まってさえいません。

各国代表の皆様、

これらすべてや、さらなる問題をめぐる進展は、地政学的緊張によって阻まれています。

私たちの世界は危機に瀕し、麻痺しています。

地政学的な分断は、

安全保障理事会の機能を弱らせ、

国際法を弱体化させ、

民主主義制度への人々の信頼を損ない、

あらゆる形の国際協力を弱体化させています。

このままではいけません。

G20のように、国際社会の一部のメンバーが多国間システムの外に設けたさまざまなグループでさえ、地政学的な分断の罠にはまり込んでいます。

ある時期、国際関係はG2の世界に向かっているように見えましたが、今はGゼロに行き着くおそれがあります。

協力もなく、対話もなく、問題解決に向けた団結した取り組みもないということです。

しかし、私たちが住んでいる世界は、協力と対話の論理しか前進する道がないのが現実です。

いかなる勢力もグループも、単独で主導権を握ることはできません。

世界規模の大きな課題が、有志による連合だけで解決されることはあり得ません。

世界の連合が必要なのです。

各国代表の皆様、

私は本日、世界の連合が早急に分断を乗り越え、共に行動しなければならない3つの分野について概説します。

それは平和の実現と維持という、国連の中核的使命から始まります。

世界の関心の多くは、依然としてロシアによるウクライナ侵攻に集中しています。

この戦争は、人権法と国際人道法の重大な違反を伴う広範な破壊を引き起こしています。イジュームの集団墓地に関する最新の報告は、極めて憂慮すべきものです。

戦闘で何千人もの命が奪われました。何百万もの人々が故郷を追われています。世界中の数十億人が影響を受けています。

私たちは、西と南の間の危険な分断の脅威を、目の当たりにしています。

世界の平和と安全に対するリスクは計り知れません。

私たちは国連憲章と国際法に従い、平和のために取り組み続けなければなりません。

その一方、紛争や人道危機が、多くの場合はスポットライトから遠く離れたところで広がっています。

国連の世界人道支援要請(Global Humanitarian Appeal)の資金ギャップは320億ドルと、過去最大規模に達しています。

動乱は次々と起きています。

アフガニスタンでは、経済が破綻し、人口の半数以上が極度の飢餓に直面する一方で、人権、特に女性と女児の権利が踏みにじられています。

コンゴ民主共和国では、東部の武装勢力が市民を恐怖に陥れ、地域の緊張を高めています。

エチオピアでは戦闘が再開しており、当事者が直ちに敵対行為を停止し、アフリカ連合(AU)の支援の下で和平交渉のテーブルに戻る必要性が強調されています。

ハイチでは、ギャングがまさに社会の根幹を破壊しています。

「アフリカの角」地域では、前例のない干ばつが2,200万人の命と生計を脅かしています。

リビアでは、分断が国を危険にさらし続けています。

イラクでは、継続した緊張が安定を脅かしています。

イスラエルとパレスチナでは、占領下での暴力の連鎖が続いており、2国家共存による解決に基づいた平和の見込みは、ますます遠のいています。

ミャンマーでは、惨憺たる人道、人権、治安状況が日増しに悪化しています。

サヘル地域では、人道的なニーズが高まるなか、憂慮すべきレベルの治安の悪さとテロ活動が拡大し続けています。

シリアでは、暴力と苦難が今もはびこっています。

数え上げればきりがありません。

一方、核による威嚇と、原子力発電所の安全性に対する脅威によって、世界の不安定さが増しています。

核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議は合意には至らず、イランとの核合意は予断を許さない状況が続いています。

しかし、かすかな希望もいくつか見えています。

イエメンでは、国の全土で停戦が不安定ながらも維持されています。コロンビアでは、和平プロセスが定着しつつあります。

私たちは、国際法の尊重と人権の保護に根ざした、より協調的な行動をあらゆる場所で起こす必要があります。

分裂された世界では、分断を修復するための対話と調停のメカニズムを作り出さねばなりません。

私が報告書『私たちの共通の課題(Our Common Agenda)』の中で「新たな平和への課題」の要素について概説した理由はここにあります。

私たちは、国連憲章に規定されているように、紛争の平和的解決に向けたあらゆる外交手段、すなわち交渉、調査、調停、和解、仲裁、司法解決を最大限に活用することを決意しています。

女性のリーダーシップと参画は、前面に、そして中心に据えられなければなりません。

予防と平和構築も優先させなければなりません。

それは、戦略的な先見性を強化し、暴力に発展する可能性のある火種を予測し、サイバー戦争や自律型致死兵器がもたらす新たな脅威に対処することです。

地域グループの役割を拡大し、平和維持と軍縮、不拡散を強化し、テロ防止対策を図り、説明責任を果たすことです。

そして、予防のためには人権が極めて重要であると認識することです。

私の「人権に関する行動呼びかけ」は、人権法、難民法、人道法の重要性を強調しています。

私たちはすべての行動において、人権の擁護が緊張を解消し、紛争を終わらせ、持続的な平和を築く道であることを認識しなければなりません。

各国代表の皆様、

私たちが終わらせなければならない闘いはもう一つあります。自然に対する自殺行為ともいえる戦争です。

気候危機は、私たちの時代の決定的な問題です。

あらゆる政府と多国間組織が最優先で取り組まなければなりません。

しかし、世界中で圧倒的な世論の支持があるにもかかわらず、気候変動対策は後回しにされています。

2030年までに排出量を45%削減しなければ、2050年までに世界の温室効果ガス排出量正味ゼロを達成する望みはありません。

しかしながら、排出量は記録的に増えており、2030年までに14%増加する見込みです。

私たちには、気候災害との遭遇が約束されているも同然です。

私は最近、パキスタンでそれを目の当たりにしました。巨大なモンスーンの豪雨によって国土の3分の1が水没したのです。

気候災害は、あらゆる場所で起きています。

地球はすべてを焼け尽くす政策の犠牲になっているのです。

この一年、欧州は中世以来最悪の熱波に見舞われました。

中国や米国などでの大規模な干ばつ。

「アフリカの角」を襲う飢饉。

絶滅の危機に瀕した100万種の生物。

どの地域も無縁ではありません。

そして、これはまだ序の口なのです。

今日の最も暑い夏が、明日の最も涼しい夏になるかもしれません。

一生に一度の気候ショックが、まもなく年に一度の出来事になるかもしれません。

そして、気候災害が起きるたびに、女性と女児たちが最も影響を受けることがわかっています。

気候危機は、道徳的・経済的不公正の事例を浮き彫りにしています。

G20は、世界の温室効果ガス排出量の80%を占めています。

しかし、最も貧しく最も脆弱な立場に置かれた人々、つまりこの危機の原因を最も作っていない人々が、最も残酷な影響を受けているのです。

その一方、家計が縮小し、私たちの地球が燃えている間に、化石燃料産業は何千億ドルもの補助金や超過利潤を享受しています。

各国代表の皆様、

ありのままを伝えようではありませんか。

私たちの世界は化石燃料に中毒的に依存しています。今こそ介入すべき時です。

化石燃料企業とその支援者の責任を問う必要があります。

これには、炭素汚染への投資や支払いを引き受け続けている銀行やプライベートエクイティ、資産運用会社やその他の金融機関が含まれます。

また、化石燃料産業を厳しい目からかくまって大金を稼いでいる巨大な広報機関も含まれます。

数十年前のたばこ産業がそうだったように、ロビイストやスピンドクター(情報操作専門家)が有害な誤情報をまき散らしています。

化石燃料の利害関係者は、広報での大惨事を回避することに時間をかけるのではなく、地球規模の大惨事を回避することにもっと時間を費やさなければなりません。

もちろん、化石燃料を一夜にして廃止することはできません。

公正な移行とは、誰一人として、またどの国も、取り残さないことを意味します。

しかし、化石燃料の生産者、投資家、支援者に通告すべき時が来ています。

汚染者は代償を支払わねばなりません。

本日、私はすべての先進国に対し、化石燃料企業の超過利潤に課税するよう求めます。

その税収は、気候危機による損失や損害に苦しむ国々と、食料やエネルギー価格の高騰に苦しむ人々の2方面に振り向けられるべきです。

エジプトで開かれる国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)に向け、私はすべての指導者に対し、パリ協定の目標を実現するよう要請します。

気候変動に対する野心を高めてください。変化を求める人々の声に耳を傾けてください。持続可能な経済成長につながる解決策に投資してください。

3つの分野を挙げましょう。

1つ目は、再生可能エネルギーです。

これは3倍の雇用を生み出すうえに、すでに化石燃料よりも安価で、エネルギー安全保障、価格安定、新たな産業に道を開きます。

しかし、開発途上国がこの転換を図るには、主要新興国の公正なエネルギー移行を支える国際的な連合などを通じた支援が必要です。

2つ目は、深刻化している気候ショックに各国が適応できるよう支援することです。

開発途上国におけるレジリエンス(強靭性)の構築は、信頼できるサプライチェーン、地域の安定、秩序ある移住への賢明な投資となります。

昨年グラスゴーで、先進国は2025年までに適応資金を倍増することに合意しました。出発点として、これが完全に果たされなければなりません。

少なくとも、適応が気候変動対策資金の半分を占めなければなりません。

多国間開発銀行は、さらに力を入れて成果を上げなければなりません。主要経済国はその株主であり、実現に貢献する必要があります。

3つ目は、災害による損失と損害への対応です。

終わりのない議論から脱却すべき時が来ました。脆弱な国々は意味のある行動を必要としています。

損失や損害は今発生しており、今人々や経済に打撃を与えているため、COP27から直ちに対処しなければなりません。

これは気候正義、国際的な連帯、信頼にかかわる根本的な問題です。

それと同時に、今後5年以内にすべての人やコミュニティー、国が効果的な早期警報システムにアクセスできるようにしなければなりません。

また、12月の国連生物多様性会議を成功させることで、生物多様性の危機に対処する必要があります。

世界は「ポスト2020生物多様性枠組み」に合意しなければなりません。これは、生物多様性の喪失を食い止めて逆転させるための野心的な目標を設定し、十分な資金を提供し、私たち皆が依存する生態系の破壊につながる有害な補助金を排除するものです。

私はまた、海洋の生物多様性の保全と持続可能な利用のための、法的拘束力のある国際協定の締結に向けた取り組みを強化するよう要請します。私たちは現在そして未来のために、海を守らなければなりません。

各国代表の皆様、

気候危機は、他の厳しい課題と同時に起こっています。

一世代に一度の世界的な生活費の危機が広がり、ウクライナでの戦争によって加速しています。

16億人の人口を抱える約94カ国(多くはアフリカ)は、究極の嵐に直面しています。パンデミックによる経済的・社会的影響、食料とエネルギー価格の高騰、債務負担の増大、インフレの高騰、そして資金へのアクセスの欠如に見舞われているのです。

こうした連鎖的な危機は互いに火に油を注ぎ合い、不平等を助長し、壊滅的な苦難をもたらし、エネルギー移行を遅らせ、世界的な金融崩壊の脅威をもたらしています。

社会不安は避けられず、紛争もそう遠くにはありません。

ただ、必ずしもこのような状況である必要はないのです。

極度の貧困や欠乏、飢餓のない世界は、実現不可能な夢ではありません。手の届くところにあります。

それこそが、2030アジェンダとSDGsが描く世界です。

しかし、それは私たちが選択したはずの世界とは違っているようです。

私たちの決定のせいで、持続可能な開発があらゆる場所で危険にさらされています。

SGDsはSOSを発しています。

貧困、飢餓、教育などの最も基本的な目標でさえ、覆されつつあります。

貧しい人が増え、飢えている人が増え、医療や教育を受けられない人が増えています。

ジェンダー平等は後退し、貧困から、性と生殖に関する健康における選択、個人の安全に至るまで、女性の暮らしは悪化しています。

各国代表の皆様、

開発途上国はあらゆる方面から打撃を受けています。

私たちには協調した行動が必要です。

私は本日、途上国の持続可能な開発を強力に後押しするために、G20の主導によるSDG刺激策(SDG Stimulus)の立ち上げを求めます。

バリ島で開催される次のG20サミットが出発点です。

このSDG刺激策には、4つの要素があります。

第一に、世界銀行と各地域の開発銀行などの多国間開発銀行は、SDGsへの投資に関連した途上国向けの譲許的な金融支援を増やさなければなりません。

銀行自体も直ちに財源を拡大する必要があります。

そして、困窮しているすべての国に資金が行き渡るよう、借り入れ条件を撤廃し、リスク許容度を高めなければなりません。

開発途上国、特に小島嶼開発途上国は、自国民とその未来への投資に必要な資金にアクセスするうえで、あまりにも多くの障害に直面しています。

第二に、債務救済です。

債務支払猶予イニシアティブは延長され、強化されるべきです。

また、債務問題を抱える、中所得国を含む開発途上国に対する効果的な債務救済のメカニズムも必要です。

債権者は、気候変動への適応を条件に債務を減免するスワップのような、債務削減メカニズムを検討すべきです。このような措置があれば、洪水だけでなく債務にも苦しんでいるパキスタンで、人々の命と暮らしを救うことができたかもしれません。

融資基準には、国内総生産(GDP)だけでなく、開発途上国に影響する脆弱性のすべての側面が含まれるべきです。

第三に、流動性の拡大です。

私は国際通貨基金(IMF)と主要中央銀行に対し、流動性ファシリティーと通貨枠を即時かつ大幅に拡大するよう要請します。

特別引出権(SDR)は、開発途上国が復興やSDGsに投資できるようにするうえで重要な役割を果たします。

しかしSDRは、既存の割り当てに従って配分され、最も必要性の低い国に恩恵を与えました。私たちは再配分を19カ月間待っていますが、耳にする金額はごくわずかです。

SDRの新たな配分は、公正さと開発途上国との連帯に基づき、これまでと違った形で処理されるべきです。

第四に、私は各国政府に対し、GAVIアライアンスやグローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)、緑の気候基金といった専門基金をより強化するよう求めます。

G20諸国は、SDGsのための追加融資として、これらの基金の拡大を引き受けるべきです。

各国代表の皆様、

明確にすべきことは、私が提案しているSDG刺激策は必要不可欠ですが、あくまでも暫定措置にすぎないということです。

今日のグローバル金融システムは、何十年も前に富裕国が自国の利益にかなうよう作り上げたものです。これは不平等を拡大し、定着させています。踏み込んだ構造改革が必要なのです。

私の報告書『私たちの共通の課題』では、先進国と開発途上国の間で力と資源のバランスを取り戻すための「ニュー・グローバル・ディール」政策を提案しています。

特にアフリカ諸国では、国際機関において相対的に十分に代表されていません。

私は、加盟国が2024年の「未来に関するサミット」を含め、これらのアイデアを具体的な解決策に落とし込む機会を捉えるよう願っています。

各国代表の皆様、

先進国と開発途上国、北と南、特権階級とそれ以外の人々との間にある乖離は、日に日に危険さを増しています。

それが地政学的な緊張と信頼の欠如の根底にあり、ワクチンから制裁、貿易に至るまで、グローバル協力のあらゆる分野に害を及ぼしています。

しかし、一丸となって行動することで、私たちはか弱いながらも希望の芽を育てることができるのです。

変革を求め、指導者に改善を要求する世界中の環境活動家や平和活動家たちに見られる希望。

より良い平和な未来のため、日々取り組む若者たちに見られる希望。

基本的人権を今も否定される人たちのため、先頭に立って闘う女性や女児たちに見られる希望。

より公正で平等なコミュニティーや国を築く方法を模索する市民社会全体に見られる希望。

致命的な疾病を予防し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを収束させるために懸命に対応しようとしている、科学や学術の世界に見られる希望。

世界中の人命救助に駆けつける人道支援の英雄たちに見られる希望。

国連は、こうした人々すべてと共に歩んでいます。

私たちは、崇高な理想を人々の生活の中に実現させなければならないことを知っています。

ですから、善意と信頼、すべての人間が共有する権利に基づき、共通の問題に対する共通の解決策を見いだしましょう。

世界の連合として、団結した国々として、一つになって取り組もうではありませんか。

ありがとうございました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。