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国際疫病対策の日(12月27日)に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長メッセージ

プレスリリース 20-102-J 2020年12月29日

初の「国際疫病対策の日」は、多くの人々が恐れていたシナリオが悲劇的にも現実のものとなった年の末に訪れました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が170万を超える人々の命を奪い、経済に大きな打撃を与え、社会を混乱させ、世界の脆弱性を白日の下にさらす中で、医療緊急事態に対する準備態勢の価値が、これまでになく痛感されています。私たちは、COVID-19の世界的大流行(パンデミック)を抑え、復興を図る中で、次のパンデミックのことも考えなければなりません。残念なことに、同じような感染力を持ちながら、致死性がさらに強いウイルスの発生は、想像に難くないからです。

私たちはすでに、この一年の経験から多くの教訓を得ることができます。

備えは最大の投資であり、緊急対応の費用よりもはるかに少なく済みます。社会にはユニバーサル・ヘルス・カバレッジを含め、さらに充実した医療制度が必要です。人々と家族にはより手厚い社会的保護が必要です。最前線のコミュニティーには、適時の支援が必要です。各国には、より実効的な技術協力が必要です。そして私たちには、人間と家畜の動物生息環境に対する侵害にもっと注意を向ける必要があります。新たに発生しているヒト感染症の75%は、人畜共通感染症だからです。

この作業を進めるにあたり、私たちは科学をよりどころとしなければなりません。国内的にも国際的にも、連帯と協調は欠かせません。すべての人が安全でない限り、誰も安全ではないからです。

世界保健機関(WHO)をはじめとする国連システムは、より健全な世界を構築し、持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための幅広い作業の一環として、疫病対策の強化を図る政府とすべてのパートナーへの支援を固く決意しています。

この国際デーは、予防接種で画期的な成果を残したフランスの生物学者、ルイ・パスツール氏の誕生日にあたります。私はその業績を称えるとともに、驚くべき使命感で今回の緊急事態への対応を全世界で導いてきた今日の医療従事者や最前線で働く人々、エッセンシャルワーカーの方々に敬意を表します。今回のパンデミックからの復興にあたり、世界が次の疫病の流行に備えられるよう、私たちの予防能力を高めることを決意しようではありませんか。

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