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初の「平等な賃金の国際デー」に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長メッセージ(ニューヨーク、2020年9月18日)

プレスリリース 20-064-J 2020年09月18日

全世界で数十年にもわたって、賃金平等を目指した積極的な行動がとられ、数十件の賃金平等に関する法律が成立しているにもかかわらず、いまだに女性の賃金は男性の1ドル当たり80セントにも達していません。子どものいる女性や有色人種の女性、難民や移民の女性、そして障害を持つ女性にとって、この数字はさらに低くなっています。

仮に40年前に、私がこのことを聞いたとしても、私はきっと衝撃を受けていたことでしょう。しかし、世界経済フォーラムによると、この格差を埋めるためには、さらに257年が必要です。

初期兆候を見る限り、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)の影響により、男女の賃金格差はさらに広がることになると見られます。そこには、最も大きな打撃を受けているサービス業や接待業、インフォーマル・セクターで、女性が多く働いているという事情もあります。

女性の職場での不平等な地位は、生活の他の側面でも不平等性をもたらしています。女性の仕事には、健康保険や有給休暇といった手当が付くことが少ない傾向にあります。女性に年金受給権がある場合でも、給与が低いことによって、老齢年金の給付額も低くなってしまいます。

賃金平等法は、この格差を是正できていません。解決策を見つけるためには、問題をさらに深く掘り下げ、取り組みをさらに強化する必要があります。

男女の賃金格差に対する認知度を高めることは、重要な一歩です。よって私は、初の「平等な賃金の国際デー」を歓迎するとともに、その制定を実現した人々すべてにお祝いを申し上げます。

私たちは、女性がなぜ、賃金の低い仕事に追いやられるのか、ケア部門の仕事を含め女性が圧倒的に多い職業の給与が低いのはなぜか、パートタイムで働く女性がこれだけ多いのはなぜか、子どもを持った男性の給与は上がることが多いのに対して母親になった女性の給与はなぜ下がるのか、より賃金の高い職業に就こうとする女性はなぜ障壁に突き当たるのか、を問いたださなければなりません。

その解決策として、男女をめぐる有害な固定観念に終止符を打つこと、制度的な障壁を撤廃すること、家族の中で責任を平等に分担することなどが挙げられます。

私たちは、女性が不当に大きな責任を担っている無給のケア労働を認識し、再分配し、評価する必要があります。

COVID-19のパンデミックは、ジェンダーの不平等をはじめ、あらゆる不平等に付け込み、これを白日の下にさらしました。私たちは復興への投資を進める中で、この機会に、女性に対する賃金差別に終止符を打たねばなりません。

賃金平等は女性にとってだけでなく、すべての人が尊厳と正義を感じられる世界を構築するためにも欠かせないのです。

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