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アントニオ・グテーレス国連事務総長 「ドライブ・フォー・ファイブ:思春期の女子教育のための行動の呼びかけ 」(ニューヨーク、2020年2月11日)

プレスリリース 20-010-J 2020年02月19日

よりよい世界を実現するための最優先課題は何かと聞かれたら、私は間違いなく「質の高い教育をみんなに」と答えるでしょう。そして、その最優先課題の中でも最も優先されるべきは、すべての女児に対する質の高い教育です。いつの日か私たちの社会で実質的なジェンダー平等を達成するための唯一の道は、私たちの教育制度の中でジェンダー平等を達成することから始まるからです。

ですから私は、思春期の女子教育のための行動を呼びかけるこの「ドライブ・フォー・ファイブ(The Drive for Five)」を、皆様とともに支援できることを嬉しく思います。

そして私は、メアリー・ロビンソン、ボノの両氏とともに登壇できることも、嬉しく思っています。おふたりはこれまで、平和や人権、持続可能な開発、国連の理念の推進に対するコミットメントを、数多くの形で示してきたからです。

事務総長として、そして特に元教員として、私は思春期の女子教育の促進が極めて重要であることを身にしみて感じています。

それは持続可能な開発目標(SDGs)を達成し、よりよい世界を実現するために欠かせない基盤です。

私は若者や活動家、教育者たちをこの極めて重要な課題への取り組みに向けて結集させたアイルランド政府に感謝いたします。教育はあらゆる社会の成功と安寧に必要だからです。

そして、ここですでに何度も指摘されているとおり、教育はジェンダーの平等にも欠かせません。

良質の教育は、女性の生活の質を向上させ、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会にも道を開くことができます。

それはまた、不透明な未来に対応し、差別や暴力に立ち向かい、性と生殖に関する健康を含め、医療に関する決定を下すために必要なライフスキルを女性と女児に与えるものでもあります。

さらに広く見れば、教育は貧困の削減に役立ち、経済成長を促進することで、子どもや家族、社会に裨益します。

今年は第4回世界女性会議(北京女性会議)の25周年に当たります。

私たちはこの四半世紀に、大きな前進を遂げましたが、まだ大きな格差は残っています。

確かに、これまでになく多くの女児が学校に通えるようになりました。

就学者数で男女平等を達成する国も増えました。

しかし、初等教育レベルで平等が進んでいても、思春期の少女は依然として大きなハンデを背負っています。

また、女子教育の比率は上昇しているものの、先進国、途上国ともに、深く根を張った職業上の性的分離の是正には至っていません。

世界的な男女の賃金格差も、20%と高止まりしています。

そして、教室では男子と同じ成績を残せても、社会的、制度的な障壁によって、女児は今でも科学、技術、工学、数学というSTEM分野のキャリアから遠ざけられています。

2月11日の「科学における女性と女児の国際デー」にあたり、私たちはこの点を特に重視しています。

私たちはきょう、女性科学者による偉業を祝うとともに、女児がSTEM教育を平等に受け、こうしたスキルを活かせる就業機会が得られるようにする必要性を強調します。

これらは未来の仕事であり、女性が平等の役割を果たさない限り、私たちの社会でジェンダーの平等を達成することはできません。

私は、ジェンダーの問題は力関係の問題だと確信しています。私たちは依然として、男性が支配する文化を持ち、男性が支配する世界で暮らしています。しかし、今日の世界はジェンダー平等とパリティーからほど遠いとはいえ、私たちが均衡に向けて段階的に歩を進めていることは認めざるを得ないでしょう。

現在のところ私が最も憂慮しているのは、全世界のシリコンバレーをはじめとする技術関係の職業で、さらに男性優位の文化と男性優位の状況が広がっているという事実です。こうした拠点は、その技術によって、未来の経済や社会を決定づける中心地であるということを忘れないでおきましょう。ですから、未来の技術を定める、そして未来の技術をデザインするという意味で、私たちがこの傾向を逆転することができず、実質的な男女平等も達成できなければ、均衡に向かいつつある現在の動きは、再び逆戻りするおそれがあります。だからこそ、STEM分野での女子教育は特に、将来のジェンダー平等という観点からも、絶対に欠かせないものとなります。

公平な女子教育は、貧困への取り組みでも中心的な役割を担います。

全世界で何百万もの思春期の少女たちが、貧困や学校衛生施設の不備、無償の育児や介護の義務、児童婚をはじめとする有害な文化的慣習により、教育を打ち切られています。

その他にも、戦争や市民の暴動、自然災害、人道危機によって退学を強いられる女児もいます。

こうした問題に対処するためには、女性や女児に対する教育の価値を低く捉えたり、その教育内容を制限したりする根強い固定観念や社会規範を覆す取り組みが必要です。

若い女性が激動する仕事の世界に備えられるようにするための新たなスキルの構築と、どこで暮らしていても女性と女児が教育を受けられるようにするためのモバイル・ラーニングにも投資しなければなりません。

ですから、きょうのイベントはまさに時宜に適っています。

思春期の少女にとっても、社会全体にとっても、教育はよりよい未来に欠かせない柱です。

北京会議や、女性と平和、安全に関する安全保障理事会決議1325を含め、周年祭を数多く控える今年、そしてSDGs達成に向けた国連「行動の10年」全体を通じ、思春期の少女にとっての優先課題や、その声と権利を、世代間の変革の中心に据えていかねばならないのです。

ありがとうございました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。