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持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム 閉会における 事務総長挨拶 (ニューヨーク、2018年7月18日)

プレスリリース 18-043-J 2018年07月27日

©UN Photo/Loey Felipe

持続可能な開発に関する8日間の「ハイレベル政治フォーラム」は2030アジェンダの変革ビジョンに対する決意を新たにし、私たちが今いる場所を確認するための時間でした。

今回の協議は、46カ国の自発的レビューと合わせ、アジェンダ履行の決意を表明する場になったと確信しています。

また各国政府の他のレベル、すなわち国内および地域の当局の熱意も示されました。

今回の協議には、ますます拡大し重要度を高めつつある市民社会、民間部門、学界などによる取り組みが反映されています。

また実際に、世界中で様々な分野において重要な進歩が見られており、妊産婦および幼児死亡率の減少、基礎教育の拡大、電力へのアクセスの改善、さらに多くの分野があります。

しかし今回の協議では、“誰も置き去りにしない”という私たち共通の誓いにおいて基盤となる他の分野で、私たちが立ち遅れている、あるいはむしろ後退していることも明らかになりました。

栄養不良に陥っている人の数が10年ぶりに増加しており、その主な原因は紛争、干ばつ、そして気候変動と関連した自然災害です。

ジェンダー不平等により女性は依然として抑圧され、基本的権利と機会を奪われています。

そして持続可能な最重要インフラに対する投資はいまだに全く不十分です。

同時に私たちの目の前には、加速する気候変動、紛争と不平等の増大、人権の衰え、未曽有の世界的人道危機、そして根絶されない貧困と飢餓など、多くの難題が立ちはだかっています。

2030アジェンダと持続可能な開発目標(SDGs)は、公正なグローバリゼーションの構築を目指した私たちの一致団結した対応です。

この数十年で驚異的に拡大したグローバル経済の生んだ格差に対応すべきである、という認識を表すものです。

私たちのあらゆる取り組みに2030アジェンダのエッセンスを取り入れる必要があります。

それにはどうしたらいいでしょうか。重要な道筋をいくつか挙げてみましょう。

第1に、世界の若者がもつ変革のパワーを動員する必要があります。9月には若者を支援し関与させるため国連の戦略を立ち上げる予定です。

教育は極めて重要です。エンパワーメントに必要なツールとして、ジェンダー平等とすべての人にやりがいのある人間らしい仕事を促進するために、そして私たちの生産、消費、および生活の仕方を変えるため、教育は不可欠です。

第2に、温室効果ガスの排出を抑制する必要があります。

気候変動は私たちの動きを上回る速度で進んでいます。にもかかわらず、約束を履行するための政治的意思は不十分です。

気候変動対策の基盤となるのは、気候変動に関するパリ協定です。

その主な目標は、地球の温度上昇を摂氏2度未満、また可能な限り1.5度近くにまで抑えることです。

しかしパリ協定は不十分であることを私たちは認めなければなりません。

摂氏2度をかなり下回るのに必要な経済的、社会的変革のためには、まさに産業とエネルギーの革命が必要ですが、私たちはまだそこに至っていません。

私は2019年9月に気候サミットを招集し、より野心的な気候対策を働きかけるつもりです。皆様が気候対策に向けた大胆なリーダーシップと革新的な行動のための道を開いて下さることを期待しています。

第3に、SDGs投資の資金不足は膨大であり、急を要します。特に脆弱な国では、2030アジェンダ履行に必要な巨額の資金供給を解放しなければなりません。

各国は内部資源を動員するため全力を尽くさなければなりません。しかし国際社会も、違法な資本の流れ、マネー・ローンダリングや脱税と闘うなど、可能な限りあらゆる手段を講じてこれらの国々の取り組みを支援できるようにする必要があります。

9月には2030アジェンダの資金調達に関するハイレベル会合を招集する予定です。

第4に、テクノロジーにはSDGsの実施を可能にする大きな力を秘めています。しかしそれは排除と不平等の原因になることもあります。

私たちは先進技術の恩恵をすべての人のために活用する必要があります。先週、私はこの課題に集中して取り組む「デジタル協力に関するハイレベルパネル」の設置を新たに発表しました。

最後に、様々な組織をさらに強化する必要があります。

今年見直しが行われた目標においても、また各国の自発的レビューにおいてもこれは明白でした。

平和で包摂的な社会のためには、正義、効率性、透明性、説明責任、そして参画が必要です。これは2030アジェンダを履行し、すべての人権を実現し、社会的一体性の土台となる信用を確固たるものにするために、組織が守るべき原則です。

今日のグローバル化した世界では、開発を単に紛争防止のツールとしてのみ見ることはできません。開発は強靭な社会と平和な世界のための条件作りにおいても非常に重要な役割を果たします。しかし開発はそれ自体が目標であり、国連の活動の中心的目的でなければなりません。

私たちは紛争の要因に対応し、平和の維持と持続可能な開発に必要な長期的能力と組織を支援する必要があります。

多国間主義こそが、私たちが直面している複雑で互いに絡み合った長期的課題に立ち向かうための唯一の方法です。

移民および難民のためのグローバル・コンパクトの協議における最近の結論は、極めて勇気づけられる内容です。SDGsの実現に欠かせない問題に対応するには、包括的で大胆な国際協力が不可欠です。

また、国連が各国政府による2030アジェンダへの対応を支援する態勢を整えられるよう、加盟国が国連開発システム(UN Development System)の改革を受け入れているのも喜ばしいことです。

常駐調整官システムを稼働させることが重要な次のステップであり、2019年の移行期間にすでにシステムへの資金提供に協力する意思を示してくれている各国に感謝します。

すべての政府、すべての人が、健全な地球の繁栄と平和のための目標である2030アジェンダのもとに集結することができます。

フォーラムの閉会にあたり、ともに働き、革新的ソリューションを共有し、私たちが自らのために定めたアジェンダを守る決意を新たにしようではありませんか。

確固たる行動を示すことにより、持続可能な開発のための2030アジェンダに必要な変革が確実に進んでいることを証明しようではありませんか。

ご協力ありがとうございました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。