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ホロコースト犠牲者を想起する国際デー(1月27日)に寄せる 潘基文国連事務総長メッセージ

プレスリリース 08/005-J 2008年01月25日

私たちはきょう、3回目の「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」を迎えました。国連総会が全会一致で宣言したこの日、私たちは全世界のホロコーストの生存者や遺族の方々との連帯を確認します。ホロコーストが起きなかったか、誇張されていると主張する人々もいます。私たちは老若男女を問わず、ナチスとその共犯者たちの手で命を奪われたあらゆる人々を決して忘れないという決意を改めて示すことで、こうした主張に応えるのです。そして、ユダヤ人全体の3分の1と、その他少数者が組織的に殺害されたことで、世界が失った計り知れない財産を悼むのです。

しかし、死者を想起し、追悼するだけでは不十分です。それと同時に、今を生きる人々の教育や育成、ケアも怠ってはなりません。子どもたちには責任感を植え付け、あらゆる市民の権利を保護、推進する社会を作れるようにせねばなりません。不寛容が根づいてしまう前に、多様性を尊重する心と、不寛容の脅威を敏感に感じ取る警戒心を育まなければなりません。そして、正しい道を選び、悪に立ち向かうために必要な勇気と道具を子どもたちに与えなければならないのです。

世界人権宣言採択60周年にあたる今年は、特別な機会といえます。国連はこの記念すべき1年間を通じ、「私たちすべてに尊厳と正義を」という理念を世界各地に普及するキャンペーンを展開していきます。ホロコーストという悪夢から覚めやらぬ世界で、世界人権宣言はあらゆる人々に固有の尊厳と平等という、今では当たり前の原則を初めてグローバルに掲げました。キャンペーンは私たちにこのことを改めて認識させるものです。

人権を当たり前と考えてはなりません。誰でもどこでも、人権を知り、理解し、享受できるようにすることで、人権が日常的現実となるよう、その堅持、保護、そして擁護に努めようではありませんか。多くの場合、人権の保護をもっとも必要とする人々は、世界人権宣言の存在について、そして、それが自分たちのために存在するのだという事実について、知らされる必要がある人々でもあるのです。

きょうは、世界中の人々にこうした権利を改めて知らせる日です。私たちは、アウシュビッツをはじめとする収容所で、また、それ以降のジェノサイドや残虐行為で、人権を踏みにじられた人々に思いを馳せます。そして、ホロコーストの教訓を私たちの、さらには子孫の実生活に生かしていくことを誓うのです。今年の国際デーにあたり、この使命を全うする決意を新たにしようではありませんか。

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