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コフィー・アナン国連事務総長 紛争下の文民保護に関して安保理で演説

プレスリリース 00/40 2000年04月25日

過去の進歩を再検討、今後のアプローチを勧告

 私はきょう、皆様とともに、武力紛争下の文民の保護に関するこの重要な討論に参加でき、嬉しく思います。私はカナダの外務大臣を歓迎するとともに、この問題を国連システム全体の優先課題とすることに対する同人の献身的努力に感謝したいと思います。

 私はまた、この会合に参加いただいた赤十字国際委員会(ICRC)のヤコブ・ケレンベルガー新会長にも、歓迎の意を表したいと思います。武力紛争下の文民に関する昨年の第1回目の討論は、私達の誓いの言葉を、世界でもっとも弱い立場にある人々にとってよりよく、より安全な現実へと変えていくために不可欠な本日の話合いのたたき台となりました。
 私は安全保障理事会と総会がともに、昨年の討論を受けて具体的な措置を講じたことを嬉しく思います。
 総会はその努力を法的保護の強化に注ぎました。具体的には、「児童の権利に関する条約選択議定書」に関する作業部会による案文の採択、ならびに、1994年の「国際連合要員および関連要員の安全に関する条約議定書」を強化・延長するための努力の拡大があげられます。
 安全保障理事会もまた、文民の保護を強化するための行動をとりました。こうした努力はシエラレオネ、東ティモールおよびコンゴ民主共和国における平和維持活動の設立となって、もっとも具体的な形で結実しています。
 国連シエラレオネ・ミッション(UNAMSIL)および国連東ティモール暫定行政機構(UNTAET)は、文民の保護について特別な措置を講じている一方、UNAMSILおよび国連コンゴ民主共和国ミッション(MONUC)は、子供保護アドバイザーの展開を通じ、子供の保護に対する支援を提供しました。
 安保理と総会での努力は、事務局と国連の諸機関、および、その非政府パートナーにより、さまざまな形で支援されています。私たちは国内避難民の保護の強化にも努めていますが、最近では今年の2月、国内避難に関する私の代表がブルンジを訪れ、政府に対し、再編成キャンプの解体を促しました。
 アフリカのその他の地域では、国連難民高等弁務官(UNHCR)がタンザニア、ケニア、ギニア、リベリアおよびシエラレオネにおいて、性的暴力の防止・対策プログラムを実施しています。また、国連児童基金(UNICEF)、世界保健機関(WHO)および武力紛争下の子供のための事務総長特別代表は、現地の私の代表と協力し、予防接種キャンペーンを可能にするため、アンゴラ、東ティモール、シエラレオネおよびスリランカにおいて、「平穏の日」取極めの交渉を行いました。
 武力紛争下の文民保護に関する私の報告書には、多くの勧告が含まれています。私はきょう、このうちの3つの勧告について特別の注意を喚起し、安保理にその実施を一層前向きに検討するよう促したいと思います。
 勧告のうちもっとも広範な意味を持つのはおそらく、緊急展開軍の創設に関するものでしょう。私がこの措置を求めた同じ週に、東ティモールにおける出来事は、このような能力の必要性をもっとも如実に示しました。幸いにもこのケースでは、オーストラリア政府が他の安保理理事国の支援を受け、空隙を埋めるための介入を行いました。
 それでも、東ティモールでの危機は、国連がより体系的な緊急対応能力を備えることの重要性を強く認識させました。私は皆様に対し、こうした努力を支援するとともに、紛争下に文民を保護する国連の能力の根本的な強化に向け、一層の措置を検討するよう促します。
 私が触れておきたい2番目の勧告は、攻撃あるいは紛争の激化が差し迫っているという十分な兆候があり、場合によっては、安保理が予防展開を行っているようなケースに関するものです。
 今年の2月、私たちは中央アフリカ共和国で、このような任務をやり遂げました。予防措置のプラス効果はまた、プレブラカ半島の安定要素としての国連プレブラカ監視団(UNMOP)の役割によっても、引き続き立証されています。私は、平和的な論争と暴力的紛争の道をはっきりと隔てられることが分かっている場合、安保理が監視員および実状調査ミッションの派遣を含め、今後の予防ミッションの創設を検討する用意を示していることを歓迎します。
 紛争がすでに、文民の大量避難を引き起こしている場合、その保護を強化する上で不可欠な要素は、難民キャンプの治安を改善することにあると言えます。きょう、私が指摘したい第3の勧告は、この点を主眼とするものでした。私の報告書提出以来、UNHCRその他は、難民キャンプおよび居住地の治安、および、その文民的かつ人道的性格に関連して、数多くのイニシアチブをとってきました。こうした努力には、ケニアとタンザニアにおける現地治安担当機関に対する物的支援、および、スウェーデンの警察官が現地警察と共同で活動することを可能にしたマケドニアの難民キャンプにおける取極めが含まれています。
 また、アルバニア、ギニア、リベリア、チャド、中央アフリカ共和国およびコンゴ民主共和国では、多くの難民を国境地帯から移動させる努力も行われています。さらに、ザンビアでは、UNHCRがアンゴラとの国境で、国際移住機関(IOM)および世界食糧計画(WFP)と密接に協力し、航空あるいは陸上輸送により難民を他の場所に移す作業を行っています。
 今後の紛争状況によっては、文民の保護のため、暫定的な安全地帯や回廊の設置を検討することが必要となるでしょう。私は、このような措置が可能であるかどうかを検討する用意がある安保理を歓迎します。
 しかし、私は、当事者の同意が得られる見込みがない状況において、このような安全地帯の設置には信頼できる部隊のプレゼンスが必要であることを強調しなければなりません。
 安全保障理事会でこのようなオープンな討論が行われることは、いずれの紛争においても、私たちの第1の責務が、戦闘とは何ら関係なく、その継続から得るものを何も持たず、窮乏を極めているときに国際社会を唯一の頼みの綱とする罪のない文民の保護にあるという認識の高まりを如実に示すものです。
 その声に応えることは国連憲章による私たちのもっとも重要な義務です。私は今回の安保理での討論が、そのための努力にさらにはずみを与えるものと期待しています。