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国連事務総長、エイズの挑戦に立ち向かうよう各国政府に要請

プレスリリース 01/22-J 2001年02月28日

-世界が一丸となってエイズの蔓延を食い止める努力を-

コフィー・アナン国連事務総長は、220日に発表された報告書において、HIV/エイズを「私たちの時代の最も恐るべき開発への挑戦」であると宣言し、世界が一丸となって足並みの揃った強力な対策に取り組むよう各国政府に求めた。

この報告書は、2001625日-27日にニューヨークで開かれるHIV/エイズ国連特別総会の準備の一環として発表された。この報告書に基づき、226日の週に、特別総会の第1回実務者協議が行われることになっている。

報告書は、各国に対し、エイズ危機への対応において政治的、経済的な取り組みを強化・拡大することを求めている。エイズの流行の加速とその地球的な影響を懸念する国連総会は、200011月、政治的最高レベルでHIV/エイズ特別総会の開催を決定した。この総会は、20009月に開かれたミレニアム・サミットにおいて、世界の指導者たちにより採択された「国連ミレニアム宣言」の現実的な行動要求に従うものである。

具体的には、この報告書は、エイズの流行を食い止める次の7つの重要課題に取り組むことを世界各国の政府に求めている。

・実効力のあるリーダーシップと強調
・エイズの社会的・経済的な影響の緩和
・特定の社会集団における
HIV感染の危険性の削減
HIV感染予防に関して合意された目標の達成
HIV/エイズに感染した人々に対する確実な治療と支援
・適切かつ効果的な国際的物資の開発
・必要な財源の確保

この報告書に強調された課題の1つに関して、アナン事務総長は、「リーダーシップは有効な対策のために不可欠である」と述べている。「国際社会が直面する主な問題の1つは、そうした献身的なリーダーシップを発展させ、支えることである。これは、この病気の特性を社会全体に明確に理解させ、国家的な対策を前進させるためのかなめである。」

核となるもう1つの課題は、この病気の社会的、経済的な影響を緩和することである。多くの国において、エイズは数々の重要な社会領域を大きく揺るがしている。その悪影響は、経済の発展、教育、医療、農業において明白である。加えて、報告書によると、紛争、戦争、経済の不安定性、男女の不平等、社会的な排除が人々のHIV感染への危険性を高めているという。

また、この報告書は、HIV/エイズの蔓延を抑制するために予防の努力を強化することが重要であり、予防のための支出は将来的コストの削減と感染の影響を防ぐのに役立つと述べている。特に予防対策が効果を発揮するのは、母子感染の防止である。短期間の抗レトロウィルス治療を行うと、胎児への感染を2050%削減することができる。

医療制度を強化することが必要であるのに加えて、日和見感染のための薬剤と抗レトロウィルス療法を手の届く値段にするという問題にも対処しなければならない。薬剤の値段の高さは、医療へのアクセスを妨げる最大の障害の1つである。薬剤価格の引下げは、20005月から始まった国連システムといくつかの研究開発中心の製薬会社との話し合いによって、ある程度の成果が上がっている。また、商標登録による法的な保護を受けていない抗レトロウィルス薬の販売が進んでいることも、価格の引下げに貢献している。しかし、こうした努力が一定の実を結んでいるとはいえ、HIVやエイズに感染している人々の大多数にとって、まだまだケアや治療は手の届かないものであり、この状況を改善するにはさらに多くの努力が必要であると報告書は述べている。

また、この報告書には、とりわけ重要なのは有効なケアや治療へのアクセスが今なお不平等だという問題に対処することだと述べられている。そのためには、階層化された価格設定、供給業者間の競争、地域全体での調達、ライセンス契約、貿易協定における健康保護対策の効果的な利用など、考えられるあらゆる手段を用いることが必要である。

さらに、アナン事務総長は、HIV/エイズの抗HIV薬やワクチンを製造するための重点的な研究開発を国際的に進めること、および拡大しつつあるこの病気の課題に立ち向かう資源を大幅に増加させることを求めている。

特別総会の目標の1つは、資金が著しく不足しているエイズ対策に関して、経済的な責任を強化するよう求めることである。

得られた教訓

エイズは劇的に拡大し、今も広がり続けているが、20年前に問題が表面化して以来多くの教訓が得られているため、この病気に打ち勝つ可能性はこれまでになく高まっている。

HIV/エイズに関する集合的な経験が高まったおかげで、今や、HIV/エイズを抑制し、その蔓延と影響を劇的に削減することが技術的、政治的、経済的に可能だと自信をもっていえる状態になった」とアナン事務総長は報告書で述べている。

2000年の末までに、世界中で2,180万人がHIVまたはエイズで命を落とし、感染者も3,610万人(子どもを含む)にのぼっている。また、2000年に、世界で530万人が新たに感染し、300万人が死亡したと推定される。この年間死亡者数は過去最高である。

しかし、報告書によると、エイズのこれ以上の拡大は予防できるという。ほとんどすべての環境で実行されている大規模な予防プログラムにより、若い人々と貧困層を中心にHIVを抑制することが可能だとはっきりと示されているからである。

また、対策を成功させるにはそれがコミュニティに根ざしたものでなければならないこと、若者と女性の社会的能力の拡大が向上が不可欠であること、ならびにHIVまたはエイズの感染者を対策の中心に据えるべきであることについても言及されている。基本となるのは、人権に基づくアプローチである。この病気を恥辱とみなす偏見をなくすことは、対話を阻む主な障害、すなわち拒否や羞恥と戦う上で重要な手段となるばかりでなく、それ自体が人権擁護のための緊急課題なのである。

複雑なモザイク

これまでに私たちが学んだ重要な教訓は、エイズの病気の拡大には複雑な要素が絡み合っており、複数の面から取り組まなければならないということである。病気の危険性、感染危険性に影響を与える各種の要因、病気が及ぼす影響のすべてに対処しなければならない。

「エイズは開発に大きな危機をもたらしている。この病気は、何百万もの働き盛りの人々の命を奪う。家族を分断し、貧困に陥れ、労働力を弱め、多くの子どもたちを孤児にし、コミュニティの社会・経済構造を脅かし、国の政治的安定を揺るがす」とアナン事務総長は述べている。これまでの経験から、単発的な活動では継続的な成果を上げることができないこと、そしてHIVの危険性を減らし、人々の行動を変化させるための対策は、多様な政府機関と社会・経済・医療分野の関係者が協力してはじめて効力をもつことが明らかになっている。

エイズは、今や世界のあらゆる地域に広がっている。しかし、最も深刻な影響を受けているのはサハラ以南のアフリカ諸国である。HIVに感染している世界の成人の70%と子どもの80%、またエイズの流行が始まって以来この病気で死亡した世界の人口の4分の3がアフリカに集中している。推定によると、2000年、サハラ以南のアフリカでは380万人がHIVに感染し、240万人が死亡した。アフリカでは、エイズが死亡原因の第一位になっているのである。

アジアでは、これまでのところ、アフリカほど高い感染率は見られない。感染者が15才から49才の人口の1%を超えるのは、カンボジア、ミャンマー、タイの3ヵ国だけである。しかし、感染率は上昇している。2000年、南アジアおよび東南アジアでは78万人の成人が感染した(そのうち約3分の2が男性である)。東アジアおよび太平洋諸国でも、13万人の新たな感染者が報告されている。

世界のエイズの状況において最も著しい動きを見せているのは、東ヨーロッパと旧ソ連諸国である。これまで非常に低い感染率を特徴としていたこの地域で、新たな感染者が劇増しているのである。新たな感染者の数は、1999年末には42万人であったが、1年後の2000年末には少なくとも70万人にのぼっている。

ラテンアメリカでは、2000年に推定15万人の成人と子どもが新たに感染し、合計感染者数が140万人になった。カリブ海諸国はサハラ以南のアフリカに次いで世界で2番目にHIV感染率が高く、エイズはすでにこの地域の若い男女の死亡原因のトップになっている。

所得の高い国々では、1990年代後半にエイズに関連する死亡者数が大きく減少した。有効な抗レトロウィルス療法により、感染者の生存年数が延びているためである。しかし、明るいニュースばかりではない。予防の努力が失速しているのに加え、新たな感染者が減る兆しが見られないのである。何年も前からエイズに関する認識が高まっているにもかかわらず、2000年、西ヨーロッパで3万人、北アメリカで45千人が新たに感染した。

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