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国際平和維持要員デー(5月29日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ

プレスリリース 03/045-J 2003年05月29日

「国際平和維持要員デー」は、世界各地で活動している平和維持要員の皆さんの犠牲的行為と献身的な取り組みを記念する国際デーで、今年から設けられました。苦しんでいる人々を助け、紛争当事者の和解を促すために、これまでに多くの国々で国連平和維持要員が成し遂げた仕事を讃える日です。
 55年前、新しい旗の下で、新しい任務を遂行するため、兵士たちが戦場に赴きました。それは「平和を築く」という任務であり、人類史上、先例のないものでした。それは、人間がもつ究極の善をもって究極の悪に立ち向かい、それを打ち負かそうとする試みでした。寛容さをもって暴力に、穏健さをもって権力に、平和をもって戦争に立ち向かったのです。
 今日の平和維持の任務は当時よりもずっと複雑になっています。平和維持要員の義務と責任は拡大しました。
 もちろん、私たちは今もなお、停戦と非武装地帯の監視を通して信頼を築くという非常に重要な仕事を行っています。
 しかし同時に、今日の平和維持要員は、治安維持と訓練に従事し、裁判官、検事としての役割を果たし、医療と教育の管理を実行し、人権とジェンダーの平等が守られるよう監視活動を行います。コソボと東ティモールでは、平和維持部隊が政権を発足させました。またアフガニスタンでは、新政権による法秩序の確立を手助けしています。
 現在、3大陸において14の活動に37,000人近くの国連平和維持要員が配置されています。その出身国は89カ国にも及びます。しかし、この半世紀の間に平和のために命を賭した1,800人以上の平和維持要員の偉業は、どんな数字をもってしても言い表すことができません。「国際平和維持要員デー」を迎えた本日、究極の犠牲を払った一人ひとりに敬意を表しましょう。
 国連平和維持活動はこれからも継続します。平和維持活動そのものが戦争を終わらせることはできません。しかし、戦いの再発を防ぐ役割を果たすことはできます。何より、平和維持活動は、紛争解決のための時間と空間を与えます。平和のチャンスを提供するのです。
 私は、いま任務についている平和維持要員の皆さん、そしてこれまでに任務についた皆さんに、心から敬意と感謝を捧げます。こうした皆さんの献身のおかげで世界に安全がもたらされているのです。