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世界環境デー(6月5日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ

プレスリリース 03/046-J 2003年06月05日

~途上地域の患者と死者の80%は水関連の病気に原因~

 2003年の世界環境デーのテーマ「水-20億人が水のために生命の危険にさらされている」は、人間の生存と持続可能な開発にとっての水の中心的な重要性を物語っています。
 
 ミレニアム・サミットと持続可能な開発に関する世界サミットで、国際社会は安全な水と衛生設備を提供するための測定可能な期限付きの公約を定めました。安全な飲料水と基本的な衛生サービスを持続的に利用できない人々の割合を、2015年までにともに半減させるというこれらの目標値はそれ自体、非常に重要です。同時に、幼児死亡率の低減、マラリア対策、極端な貧困と飢餓の根絶、女性のエンパワーメント、および、スラム住民の生活改善を含むその他のミレニアム開発目標を達成する上でも、不可欠な課題です。
 
 現在の統計データは嘆かわしい状況を示しています。6人に1人は、安全な飲料水をいつも利用できずに暮らしています。その2倍以上にあたる24億人は、十分な衛生設備を利用できません。水関連の病気は8秒に1人の子どもの命を奪っているほか、開発途上地域での患者と死者の原因の80%を占めています。私たちはこれらの病気が簡単に予防できることをずっと以前から知っているだけに、この状況はなおさら悲劇的だといえるでしょう。
 
 開発途上地域における給水サービスの整備は、ここ20年間で全体的に進展を見せていますが、こうした進歩の大部分は人口の増加によってかき消されています。気候変動、汚染および過剰消費により、世界の各地で水不足の恐れが強まっています。私たちにとっての課題は、貧困層をはじめとするすべての人々に給水サービスを提供すること、特に、世界の水使用量の大半を占めながら、日常的に非効率的な水利用が行われることの多い農業において、水の生産性を極大化すること、および、複数の国々が共有する河川と地下水脈が公平かつ協調的に管理されるようにすることにあります。
 
 新鮮な水とともに必要なのが、新鮮な思考です。私たちは水の価格設定方法を学ばなければなりません。場合によっては、このことは利用者に現実的な代価を支払わせることを意味しますが、すでに疎外されている人々からこの不可欠な資源を奪うことがあってはなりません。水に対して最も高い代価を支払っているのは概して最低所得層であるという事実は、今日の水にまつわる世界情勢において、過酷極まりない皮肉な現象のひとつといえます。
 
 新鮮な思考とは、確実で公平な水供給を確保するための実用的で適切な解決策を見出すことでもあります。シンプルでお金のかからない解決策もあります。例えば、雨水捕集はアジアだけでも20億人にのぼる人々の役に立つとみられています。給水最終段階での浄水と基本的な衛生習慣に関する公衆衛生教育を行えば、汚れた水を原因とする病気を世界中で減らすための大きな一歩となるでしょう。
 
 十分な衛生設備の提供と持続可能な淡水供給には、インフラと技術への多額の投資が新たに必要となるでしょう。合意された目標を達成するためには、安全な飲料水と衛生設備への支出を2倍以上に増やさなければならないとみられます。
 
 国際淡水年にあたる今年の世界環境デーを機に、水と衛生設備の不足のために死んでいく20億人の仲間たちの窮状に対処すべく、できる限りの努力を誓おうではありませんか。