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拷問の犠牲者を支援する国際デー(6月26日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ

プレスリリース 04/063-J 2004年07月09日

国連の「拷問の犠牲者を支援する国際デー」は、拷問その他の残虐、非人道的あるいは品位を傷つける取り扱いを許すことも、見逃すこともできないということを世界が改めて確認する機会です。また、このような行為を断罪し、拷問の犠牲者にとっての正義を求めるという、私たちの決意を新たにする日でもあります。しかし、それは何よりもまず、拷問行為を防止し、その犠牲者を支援し、実行犯を処罰し、このようなことが二度と起きないようにするために、政府が十分な取り組みを行っているかどうかを自問自答する日です。

悲しいことに、拷問その他の残虐、非人道的あるいは品位を傷つける取り扱いは、あまりにも多くの国々で、あまりにも当たり前に行われているのが現状です。それでも、このような行為ははっきりと、絶対的に禁止されています。すべての国々は、自らの司法管轄権あるいは実効的支配が及ぶすべての領域で、これに従う義務があります。この義務は戦時、平時に関わらず、いかなる状況でも当てはまります。たとえ拷問が別の呼び方をされていても、それを許すことはできません。婉曲な表現を用いて法的義務を逃れるようなことがあってはならないのです。

各国は拷問の実行犯の不処罰を絶対に許さないことを含め、その義務を全うしなければなりません。何らかの形態の拷問やその他残虐、非人道的あるいは品位を傷つける取り扱いを考案したり、その実行権限を与えたりした者や、このような罪を実際に犯した者は必ず処罰すべきです。独立機関はこれらの責任者を訴追しなければなりません。また、処罰は犯罪の重大性に見合ったものとしなければなりません。

「市民的、政治的権利に関する国際規約」と「拷問及びその他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰を禁止する条約」を批准した多くの国々は、国際慣習法上の義務を自主的に受け入れています。私はきょう、これら2つの中心的な人権条約と、拷問禁止条約の選択議定書を批准するよう、すべての国々に呼びかけます。また、各国に対し、拷問に関する特別報告官やその他関連の人権機構を自分たちの国に招くよう呼びかけたいと思います。

私はきょうの機会を捉え、拷問に耐えて生き残った人々とその家族の苦痛を和らげるために世界中で努力している人々にも、敬意を表したいと思います。「拷問の犠牲者のための国連自発的基金」は、犠牲者に医療面と精神面のケア、法的・社会的援助および資金援助を提供するNGOを多く支援しています。私は、このような支援を可能にしている政府その他の拠出者に対し、感謝の気持ちを表すとともに、国際社会のあらゆるメンバーに対し、基金を支援していただくよう呼びかけたいと思います。

国連は、人間の尊厳と価値に対する信念を再確認することを目的に創設されました。それは自由を拡大し、生活水準を改善することに他なりません。拷問という惨劇を地上から消し去らない限り、この約束の実現など机上の空論に過ぎません。今年の拷問の犠牲者を支援する国際デーにあたり、この使命を果たす決意を新たにしようではありませんか。