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アミーナ・モハメッド国連副事務総長による国連砂漠化対処条約(UNCCD) 第14回締約国会議(COP14)ハイレベル協議開会挨拶

プレスリリース 19-078-J 2019年09月09日

今回の会議のホスト国であるインド政府、ならびにこの会議に対するかつてない期待の高まりをとらえ、その重要性に焦点を当てる機会を与えていただいたUNCCD事務局長に感謝いたします。

通常であれば、私はここで、条約25周年をお祝いし、事実として「機会の拡張に関するデリー宣言(Delhi Declaration on Unlocking Opportunities)」の採択が大きな成果であることを申し上げるだけで十分のはずです。

しかし、今は通常の時期ではありません。

重大な時期に当たるからです。

つまり、皆様の作業を会議の閉幕で終わりにするのではなく、大がかりな取り組みの始まりとすることが大切だからこそ、私はここにいるのです。それは、皆様が検討している解決策の規模を拡大することであり、交渉や計画から個別的、集団的な行動とインパクトへと軸足を移すことでもあります。私たちはすでに、2030アジェンダ実現に向けた時間枠の3分の1を使ってしまったからです。

ニューヨークでのサミットを控え、緊急対策を活性化するための時間は2週間しかありません。

土地、生物多様性、気候に関し、こうした対策を緒に就けることを目的とし、密接に関連づけられた3つのリオ条約が採択されていますが、これらはまだ十分に活用されているとは言えません。

最新の科学的データを見ると、大がかりな取り組みに着手すべき時期がすでに来ていることが痛感できます。温室効果ガス排出量の4分の1は、土地の劣化に起因しています。100万種の生物が絶滅の危機に瀕し、私たちが食べ、飲み、呼吸するものすべてを提供する生態系を脅かしています。しかも、砂漠化や土地の劣化、干ばつの影響を受けて暮らしている人々は、世界人口の実に半数にも上っているのです。

さらに悪いことに、土地の健全性が損なわれるにつれ、その副作用も危険度を増します。

土地と生態系サービスの損失により、GDPが年間10%縮小し、暴力的紛争や強制的移住の可能性が増すことを、私たちは本当に無視する余裕などあるのでしょうか。しかもこうしたリスク、そして、すでにその影響を受けている人々は、地球全体に広がっています。

ドイツでは昨年、干ばつでライン川の海運が影響を受け、工業生産が落ち込みました。

米国では毎年、土壌流出で440億ドルにも上る被害が出ています。

北極圏やアマゾンでは山火事が発生しています。

中東やサヘルは砂嵐や干ばつに襲われました。

小島嶼国や沿岸のコミュニティーは海面上昇による不安を抱えています。

そして、ヒマラヤのコミュニティーでは、女性と女児が、条約成立時よりも長い時間を薪集めに費やしています。

地球全体で、土地の悲鳴は人間の悲鳴となっています。

それでも、私たちが緊迫感と野心を持って取り組めば、この同じ土地が、私たちの求める答えを数限りなく提供してくれるのです。

それは、人間が単に生き残るだけでなく、豊かに生きるための答えに他なりません。

私は、ここにいらっしゃる皆様全員が、この取り組みを決意していると信じています。

私たちの行動の野心とスピード、そして成果を高めるために、私は3つのことができると考えています。

第1に、縦割り型思考を捨てようではありませんか。それは私たち自身と、私たちの野心にとって障害となるからです。多くの利益を生み出せる協力と行動を優先させねばなりません。

例えば、私たちは今も8億2,000万人が空腹を抱えていることを知っています。しかも、今後数十年で食料需要が50%増大すると見られる中で、農作物の収量は低下しています。

1億5,000万ヘクタールの農地を回復すれば、毎年さらに2億人に食料を供給できるでしょう。

同時に、それによってレジリエンスも高まるほか、小規模農家の所得は年間300億ドル以上、増加することになるでしょう。しかも、年間さらに2ギガトンの二酸化炭素が吸収されることにもなります。

第2に、私たちの資源を賢く活用、投資しようではありませんか。

数日前、国連グローバル・コンパクトとイタリアのエネルギー企業Enelは、SDGsと関連づけられた初の一般財源債の発行を発表しました。これにより15億ドルが調達されています。募集の3倍に当たる応募があったという事実は、大きな需要の存在をはっきりと示しており、さらに多くの企業が追随するきっかけとなるはずです。

これらはどれも素晴らしいニュースです。しかし、土地の劣化が私たちに毎年、数兆ドルの被害を及ぼし、この債券が解決しようとしている排出量の問題それ自体をさらに悪化させているという事実に、変わりはありません。

私たちが土地の劣化を食い止めれば、こうした予防可能な損失もなくなります。

私たちが土地を回復し、効果が実証されている自然に基礎を置く解決策に投資すればどうなるでしょうか。

それはUNCCDの履行につながります。

また、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に基づき自国が決定する貢献も実現できます。

そして、自然と生物多様性を豊かにします。

そして第3に、個別的、集団的行動のインパクトを広げるために、さらに革新的なパートナーシップを構築しようではありませんか。

事務局長が先程お話しになった茶栽培者の例でも、回復技術は拡大していることが分かります。

インドでは、50万人を超える労働者がTrusteaと連携し、自分たちの茶畑と未来の姿を変えています。一方、Trusteaは地球環境ファシリティ(GEF)、国連環境計画、レインフォレスト・アライアンスと連携し、4カ国でのインパクトの拡大と、全世界の消費者による選択の改善を図っています。土地の回復と収量の向上は貧困、生物多様性、気候変動に関する各国の約束実現に貢献しています。

このように現地に根づき、効果的に結び付いた思考があったからこそ、私たちのホスト国は、世界最速レベルの経済成長を遂げつつ、40%以上も貧困を削減することができたのです。

このことは、行動すべき理由を極めて具体的に示しています。行動を起こす場合に、社会、経済、環境のいずれかの前進を選ぶ必要などありません。それぞれのコミュニティーで、そしてそれぞれの国で、私たちはすべてを手にすることができ、また、そうせねばならないからです。

私はこの理由から、今回のCOPについて、次の点を嬉しく思っています。

• 各々の締約国とステークホルダーに対し、より大きな規模でより大胆な行動をとるよう強く促していること
• その一方で、これら3つの牽引要素を密接に整合させ、
• 縦割り思考の克服と、
• 資源の持続可能な管理や土地回復への賢明な投資を図っていること
• そして、変化を加速するパートナーシップを構築していること

皆様、

これからの10年をターゲットに関する議論に費やす余裕など、私たちにはありません。

正しい方向、すなわち行動とインパクトに向けて共通のアジェンダを前進させる時間は、2週間しかないのです。

私たちは1つの機会、1人の子ども、1人の女性、1人の男性、1人の茶栽培者、1つの企業、1件の土地回復プロジェクトからスタートし、そのうえで規模の拡大、スピードの加速、効果的な接続を図ることができます。

今という重要な時期に、それは私たちの個別的、集団的な責任でもあります。

壮大な取り組みにはなりますが、私たちが力を合わせれば、その達成は可能なのです。

ありがとうございました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。