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北朝鮮の人権状況に関する国連特別報告者 訪日調査(4月8~10日)終了にあたっての声明

プレスリリース 14-028-J 2014年04月10日

北朝鮮の人権:国連専門家の人権関連作業は、新たな段階へ

東京(2014410日)朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)の人権状況に関する国連特別報告者、マルズキ・ダルスマン氏は、2014年4月8日から10日にかけて実施した訪日調査を締めくくるにあたり、下記の声明を発表しました。

DPRKの人権に関する調査委員会(the Commission of Inquiry = COI)が先月、その作業を完了して以来、今回が私にとって初の訪日調査となりました。折しも国連人権理事会は2014年3月28日、圧倒的多数によりDPRKを強く非難する決議を採択したばかりです。委員会による調査結果と幅広い勧告は、DPRKの人権状況に関する行動の新たなページをめくり、これを新たな段階へと進めるものとして注目されています。

今回の訪日調査はもとより、9カ月にわたる調査委員会の作業にも全面的に協力いただいた日本政府、拉致被害者家族、市民社会、メディア、そして日本国民の方々に対し、深く感謝したいと思います。私たちが次の段階に進むための準備は整いました。私は6月に人権理事会に提出する次回の報告書で、訪日中に行った協議を中心的に取り上げるつもりです。

調査委員会の作業直後のフォローアップに着手することが、今回の訪日の目的でした。私はこの数日間、外務大臣、拉致問題担当大臣、被害者家族、市民社会をはじめとする関係者の方々とお会いし、今後進むべき道について話し合いました。多くの方面から、調査委員会の報告書に対する感謝の意が表明されました。これに対して私は、報告書を作成したのは調査委員会ではなく、言語に絶する残虐行為に耐え、その実態について勇気ある声を上げた被害者の方々であることを伝えました。

DPRKがこれほど長い間、自国民と、日本人を含む多くの外国人被害者に対する残虐行為の実態や深刻さを隠しおおせてきたことは、特別報告者として、そして調査委員会の一員として、私が最も大きな驚きを覚えた調査結果のひとつです。私は特に、今でもDPRK国内に抑留されていると見られる8万人から12万人の政治犯が置かれた状況を憂慮しています。これらの収容所は直ちに閉鎖し、抑留者を解放しなければなりません。

事実は世界に知れ渡っています。調査委員会の報告書は、同国で起きてきた広範な、目に余る人権侵害の全貌を明らかにしました。しかし、こうした人道に対する罪は今もなお続いています。

私はさらに活動を続けていきます。私たちがDPRKの実情を知っているというだけでなく、私たちが知っているということをDPRKが知っているということは重要な事実です。それが抑止力だけでなく、方向転換を促す誘因にもなり得るからです。変革は可能だと私が考える多くの理由のひとつは、ここにあります。私たちはこの機会を捉え、変革の実現に向けて協力しなければなりません。

私の所見を述べます。朝鮮半島では2月、数年間中断していた家族の再会が実現しました。これはちょうど、調査委員会がその報告書を公表した時期にあたります。また、委員会が人権理事会に報告書を提出する数日前には、横田めぐみさんの拉致以来、長い苦悩の年月を過ごしてきた家族の方々が、モンゴルでDPRK生まれの孫とひ孫に面会し、ひと時を過ごす機会を得ました。

これは単なる偶然に見えるかもしれません。しかし私は、真実の究明、国際的な監視、そして持続的な圧力が功を奏したものと考え、また、今後も功を奏し続けると信じています。私はこの理由から、委員会の活動完了後もDPRKの人権監視を続けることで、大きな機会が開けると考えています。

私は来週、他の委員会メンバーとともに、国連安全保障理事会の非公式アリア・フォーミュラ会合に出席し、拉致問題に関する重要な調査結果を含め、委員会の活動について報告することになっています。私たちは、国連の他のメカニズムにも働きかけ、国連システム全体による調査委員会報告書への協調的かつ断固たる対応を促進していくつもりです。

関係国政府の積極的な関与を緊急に必要とする問題としては、調査委員会の活動をフォローアップするために現場ベースの機構の構築を義務づける人権理事会決議の履行もあげられます。機会を捉えて勢いを維持し、監視の継続と証拠の文書化を確保するためには、これをなるべく早く実現する必要があります。

最後に何よりも、調査委員会は、特別報告者が関連するすべての国連人権メカニズムも関与させ、国際的な拉致、強制失踪および関連の問題に整合的かつ迅速に取り組むための戦略を策定することも提言しています。この問題は、私たちが今後の進展を図る中でも常に、フォローアップ作業に欠かせない要素となります。

委員会は、子どもを含む20万人以上が外国からDPRKに連行され、その多くが行方不明になっていることも突き止めました。この数字には、朝鮮戦争の関連でDPRKに入国したと見られる人々も含まれています。私は今回の訪日中、DPRKが拉致被害者として認めている日本人19人に加え、DPRKによる拉致の可能性が否定できない行方不明者が現時点で860人に上るとの情報も当局から得ています。

私はきのう、特別報告者としての訪日で初めて、拉致被害者の家族の方々、そして、幅広い市民活動家の方々と共に、私が策定すべき戦略や、その後の課題について話し合いました。こうした議論の中で、問題の解決と実質的な変革を求める一体感と決意が生まれたことに、私は大いに勇気づけられました。DPRKの人権に関する作業が新たな段階に入ろうとする中、私たちはこの希望と連帯の精神で、協力を深めていかねばなりません。

委員会による調査結果の重要性と、国際的な拉致・強制失踪問題の解明は、今後に向けた戦略の策定を図る私たち全員にとって、大きな力となりました。拉致はもはや日朝間の二国間問題ではなく、他の国々、ひいては国際社会全体に関係する問題となったのです。私たちは、この新たな戦略が国際的拉致・強制失踪問題への取り組みで成功を収められるよう、力を合わせなければなりません。

DPRKの人権に関するこの新たな活動段階では、すべての関係国政府、家族、市民社会、そして国連のメカニズムによる連携が必要になります。時間的余裕はありません。被害者家族、そして被害者自身の苦悩に終止符を打たなければならないのです。

私は特別報告者として、委員会の調査結果や勧告に反映され、また、人権理事会からもマンデートを与えられたとおり、引き続きDPRKへの働きかけを行いながら、責任の追及も続けていきます。

ありがとうございました。

以上

 

マルズキ・ダルスマン氏(インドネシア)は2010年8月、国連人権理事会により朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)の人権状況に関する特別報告者に任命されました。ダルスマン氏は特別報告者として、いかなる政府または組織からも独立し、個人としてその任務にあたっています。

ダルスマン氏は、国際独立有識者グループのメンバーで、1999年から2001年にかけては、インドネシア国家人権委員会委員長とインドネシア共和国検事総長を兼任。ベナジール・ブット元パキスタン首相暗殺に関する3名から成る国連調査委員会に加わったほか、スリランカに関する国連事務総長専門家パネルでは、議長を務めています。人権委員会は2013年3月、DPRKでの組織的、広範かつ深刻な人権侵害に関し調査、報告する3名から成る委員会のメンバーにもダルスマン氏を任命し、特別報告者と兼任させることにしました。

国連人権高等弁務官事務所国別ウェブページ – DPRK:

http://www.ohchr.org/EN/countries/AsiaRegion/Pages/KPIndex.aspx

DPRKに関する特別報告者の任務と作業については、下記をご覧ください。

http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/SP/CountriesMandates/KP/Pages/SRDPRKorea.aspx

DPRKに関する調査委員会については、下記をご覧ください。

http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/CoIDPRK/Pages/CommissionInquiryonHRinDPRK.aspx

 

さらに詳しい情報は、下記にお問い合わせください。

Esther Lam (+41 79 444 4332 / elam@ohchr.org)

東京(訪日中):妹尾靖子 国連広報センター広報官(03-5467-4451 / yasuko.senoo@unic.org

 

他の国連独立専門家に関する取材要請については、下記にお問い合わせください。

Xabier Celaya, UN Human Rights – Media Unit (+ 41 22 917 9383 / xcelaya@ohchr.org)

 

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安保理の非公式・非公開会合。理事国の呼びかけで開催されるが、参加は強制されない。政府や国際組織の代表、非政府の紛争当事者と直接に対話する機会を理事国に提供する。安保理議場や非公式協議室ではなく、その他の会議室を使って開催される。1992年、ベネズエラのディエゴ・アリア国連大使(当時)が安保理議長を務めた際に始めた慣行。

出典:Background Note on the “Arria-Formula” Meetings of the Security Council Members, Working Methods Handbook

http://www.un.org/en/sc/about/methods/bgarriaformula.shtml

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